筆者は、昨夏にICT支援員の資格を取得しました。ただ、企業に勤めている都合上、教育の現場でリアルに支援することはできません。そこで、夜な夜な教育の未来を考えていこうと考えてみました。最初は、「デジタルスクール」というテーマを思いつきましたが、小さな机にパソコンを置くと教材やノートが置けない。そこで、「デスクトランスフォーメーション(DX)」について執筆しようと思いました。
「まなびのOS」って何?
スマートシティを実現する中核機能に「都市OS」があります。OSという名前ではありますが、Windowsのようなコンピュータソフトではありません。人や街から吐き出されるさまざまなデータを扱う、データ連携基盤のことを指します。
都市OSは運用管理、セキュリティやユーザー認証、データ管理など、OSと呼べるほど多くの機能を持っています。このスマートシティを実現する仕組みは、スマートスクールでもそのまま適用できるのではないかと思い、考えてみました。
教育先進国ランキングにおける日本の位置とは?
時折、新聞で取り上げられる、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査「PISA(Programme for International Student Assessment)」があります。
これは、3年に1度OECD参加国の中で順位を競うものです。前回のPISA2018調査では、15歳(日本では高校1年生)の「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野について学習到達度の調査を実施しました。
中心分野を「読解力」に設定されたPISA2018調査の結果が2019年12月4日に発表されました。日本は「読解力15位」、「数学的リテラシー6位」、「科学的リテラシー5位」となり、「読解力」は前回8位から大きく順位を下げてしまいました。
日本の子供は賢いがコンピュータが使えない
前述したように、PISA2018の「読解力の調査」で、日本は504点で平均より上ですが、前回のPISA2015調査と比べて順位が下がってしまいました。この結果について、文部科学省・国立教育政策研究所は、「自分の考えを他者に伝える能力に課題がある」と考察しています。
しかし、問題は他にもあります。2016年12月21日のASCIIニュースの記事「日本の子供は賢いがコンピュータが使えない」で取り上げられているように、PISA2015からコンピュータでの調査(コンピュータ使用型調査:CBT)に変更になりました。
国立教育政策研究所は、「読解力の向上に向けた対応策について」というドキュメントにおいて、日本の子供は「紙ではないコンピュータ上の複数の画面から情報を取り出し、考察しながら解答する問題などで戸惑いがあったと考えられる」と指摘していました。
スマホは操作するがパソコンには触れない
PISAでは、学習到達度調査に加えて「ICT 活用調査」も行っています。「コンピュータ」「スマートフォン」「ゲーム機」など、さまざまなデジタル機器の利用状況について調査しています。その中の「学校・学校外でのデジタル機器の利用状況」では、日本は学校の授業(国語、数学、理科)におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中最下位だったことがわかっています。
ほかにもさまざまな分析がなされていますが、要するに、日本の子供たちは「自宅で触れるパソコンがない」「授業でPCの操作経験が少ない」ということです。
次回はリベンジなるか?
内閣府の「Society5.0」や「デジタル田園都市国家構想」を実現するために、コンピュータを使ったプログラミングを含むSTEAM教育は欠かせません。また、2021年に実施する(予定だった)PISAの「数学的リテラシー」調査でも、論理的な考え方や問題解決能力を重視する「コンピューテーショナル・シンキング」分野が追加されます。
(予定)と書きましたように、実は、昨年に実施し今年結果が出る予定でしたが、新型コロナウイルスの影響を受け、2021年に実施予定の「PISA2021」を2022年に、1年延期することが決定されました。
今年度から高校の1人1台端末の整備が進み、「情報I」の学習も始まると思いますが、少しタイミングが合わないようです。「PISA2022」はどんな結果となるのでしょうか!(ちなみに、PISA2022の実施時期は、2022年6中旬~8月上旬の予定のようです)
参考資料
令和元(2019)年 12 月 文部科学省 国立教育政策研究所 「OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)Programme for International Student Assessment」 ~ 2018 年調査国際結果の要約~
OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
文部科学省・国立教育政策研究所 令和元年12月3日