ある日、公園の植物案内で、やたら「バラ科」が目立つのに気がつきました。それで調べてみたら、桜もイチゴもアーモンドまでバラ科でびっくりしたので、記事にしてみましたよ。
最近の大きめの公園は、なかなかオシャレですな。昔だとおばちゃんがやっている売店でフランクフルトを焼いていたりしてましたが、最近ではオープンテラスのカフェだったりいたします。
種類豊富な「バラ科」の植物たち
ある日、フショー東明、某大型都市公園で、人と待ち合わせをしていました。相手が遅れるというので、カフェの外ベンチでスマホなぞいじっていたら、なんということでしょう。電源があがりかけていたのですね。
待ち合わせでスマホが切れるのもこまったので、暇つぶしにその辺をキョロキョロと見まわしていて気がついたのです。樹木などの案内プレートに、やたら「バラ科」の文字が多いことに。
桜もバラ科、梅もバラ科、桃もバラ科
まず、バラがバラ科なのは当たり前ですな。まあ、公園にバラを植えるのはよくあるので、これはいいでしょう。
で、やはり公園に多い樹木の桜、これもバラ科です。まあ、桜がそうなんだから、梅と桃もかなあと思ったら、案の定バラ科でした。公園でながめていて、あ、そうなのかと思ったのが、ユキヤナギですな。白っぽい花ですよね。まあ、たしかに花の形が桜に似ているといえば、そうですな。
ただ、ヤナギはヤナギ科なんですな。枝振りからヤナギって名前がついただけで、ヤナギとユキヤナギはかなりちがう植物なのですな。ややこしい。
バラ科の果物は? リンゴもイチゴも梨もバラ科
それから、桜や桃、梅といえば、フルーツです。フルーツで調べてみると、イチゴもリンゴもバラ科でした。イチゴやリンゴは、あまり花をイメージできないのですが、写真を見るとたしかにバラというか梅や桜に似ています。
リンゴがバラ科なら、梨もそうなのかといえば、そうでした。洋梨ももちろんバラ科です。また、桃がそうならスモモ(プラム)もかなといえば、これもあたり。プルーン、ビワ、ネクタリンもバラ科でございます。ただ、コケモモはツツジ科です。さらに、イチゴもラズベリーもブラックベリーもバラ科ですが、ブルーベリーはちがってツツジ科でございました。
ていうか、身近なフルーツをふりわけてみると、こんな感じになりますな。身近さは、近所のスーパーの売り場を見て考えてみましたよ。見てのとおり、アップルとパイナップルはだいぶちがう植物ですよ。
バラ科の果物は? フルーツの科一覧表
科 | フルーツ |
---|---|
バラ科 | 桜ンボ、梅、桃、スモモ(プラム)、ネクタリン、アンズ、ビワ、イチゴ、キイチゴ、リンゴ、梨、洋梨、プルーンなどなど |
ミカン科 | ミカン、オレンジ、はっさく、夏ミカン、グレープフルーツ、レモン、ライム、シークァーサー、マンダリンなどなど |
ブドウ科 | ブドウ、山ブドウなど |
バショウ科 | バナナなど |
パイナップル科 | パイナップルなど |
ツツジ科 | ブルーベリー、コケモモなど |
そのほか、ブナ科:クリなど、クワ科:いちじくなど、カキノキ科:カキなど、ミツハギ科:ざくろなど、クロ梅モドキ科:なつめなどとなっています。
調べているうちに、へぇぇとなっちゃいました。読む方はそうでもないでしょうかね。まあ、ともかく、バラ科のバラエティさには、舌を巻きますな。種類だとミカン(柑橘類)も相当ですが、あれとこれが同じかという感じは柑橘類にはあまりありません。食べるときのすがたのバリエーションが、バラ科は幅広いですからねー。
バラ科の植物の見分け方は「花の特徴」にあり
ところで、何をもってバラ科にいれるのでしょうか? 科とか属とかいう、生物の分類については、むかーし、書いたことがあります。
【合わせて読みたい】:地球上の生物は推定870万種。実はその9割が発見されていない
とりあえずは、分類がおおざっぱなほうからドメイン、界、門、綱、目、科、属、種。となっています。
人間とサルは、同じサル目(もく)ですが、科はちがいます。ヒト科には、人間(ヒト)、チンパンジー、ゴリラなどが入りますが、ニホンザルはサル科なんですな。ちなみに目の上の綱では哺乳綱となります。科とか属とかいう分類のおおざっぱさが何となくイメージできたでしょうか?
で、植物のなかでも、花を咲かせるのは被子植物門となり、さらにおおざっぱな分類なんですな。その中でのバラ科というのですから、まあ、かなり狭い分類なわけです。そのなかに、梨からイチゴから、桜からバラまでぜーんぶ入っているというのは、かなりオドロキでございます。
ちなみに、バラ科は何をもってバラ科というかというと、花の特徴でわけられているそうです。
バラ科の花の特徴
- 5弁の花びらを持つ
- 花びらは、1枚1枚分かれている
- おしべが真ん中に、わんさかある
ただ、これだと「八重桜は?」「バラも花びらたくさんあるで」となるわけですが、これらは演芸改良されたものなんですな。また「木か草か」「とげがあるかないか」は、分類上はあまり重要じゃないのですな。子孫を残すための花。そこの形式が似ているというのが、重要なポイントなんですな。子供の残し方はあまり変化させないという考えなんですなー。
果物・野菜も、バラ科の食べ物全般で似たアレルギー物質が……
ということで、今回は、公園で驚いたから調べてみたって話なのですが、最後にもうひとつ。
アーモンドもバラ科なんですと! どう見てもマメにしか見えないのですがね。まあでも、ナッツだと、ピスタチオはウルシ科といろいろです。ナッツはたいてい種なのですが、まあ種は科によらず固いですからね。似ていても全然違うということなんですなー。
逆に、似ちゃってこまることもあります。アーモンドはアレルギー症状を出すことがあるわけですが、バラ科の果物全般に似たような傾向があるそうです。イチゴでアレルギー、リンゴでアレルギー……えー、って感じです。苦しんでいらっしゃる方もいるんでしょうね。
調べて知ったのですが、大変ですね。しかし、バラ科全般で似たようなアレルギー物質を作るのですな。そんなところは似なくてもいいのに、と強く強く思いますねー。いやはや。
著者プロフィール
東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。