ただいま最新スマート望遠鏡「eVscope2」が手元にあります。フランス大使館から連絡があり、製造販売元のUnistellar社から評価用にお借りしているものです。フランス・マルセイユから直送されたeVscope2をさっそく使いはじめましたので、レポートいたします。以前レポートしたeQuinoxも返却前でしたので、比較使用もしてみました。
結論からいうとeVscopeの楽しさそのままに、いいとこ増えた感じです。ご参考になれば。
フランスUnistellar社のeVscope、新世代の、小型スマート望遠鏡でございます。
これまで、どこでもサイエンスでも、第205回、第206回、第214回、第215回、さらに前回(第218回)もちょろりと紹介してまいりました。毎回、結構な方に読んでいただいているようで、注目されているのがよくわかります。実は、周囲でもチラホラとユーザーが増えてきております。
さて、そんなときに、最新機種の「eVscope2」が発表されました。連載第215回で紹介した通り、センサーの大型・高精細化とニコン製の電視ビューファインダー(EVF)がポイントです。そして値段は40万→53万円(バックパック付)とガーンと上がりました。
まあ、もともと小型、家庭用の望遠鏡としてはガーンという値段でございます。桁が違う感じです。でも、まあ、おもしろいのは間違いないし、「誰か独身貴族が購入したらみせてもらおうっと。」と思っておりました。
そんなおり、なんとなんと、在日フランス大使館! からマイナビニュース宛てに連絡があり、試用してみませんかと。はーい! しますします。というわけで、なんとフランスから直送された「eVscope2」を使ってみました。
結論としては、eVscopeの楽しさ、手軽さはまったくそのまま、質がちょいあがったというところです。
現在、ビューファインダーなしで初代eVscopeと同じセンサーのeQuinoxが併売されていて、どっちがいいの? プラス13万円(バックパック抜きなら15万円)の価値があるの? というところですが。まあ、その辺の判断の参考に少しでもなればなによりです。
あ、そうそう、名前が似通っているので、eVscope2は2、eQuinoxはQ、eVscopeは初代と書くことにしますね。
わかっていたけど、サイズ全くおんなじ
さて、2(eVscope2)ですが、スペックで知っていた通り、初代(のeVscope)、そしてEVFがないタイプのQ(eQuinox)とほぼ同じ大きさ、外観、重さでございました。
私がとても気に入っている収納しやすいバックパックもそのままです。ベランダに2とQ(両方試用中)二台並べてみましたが(恥ずかしいのでマスクします)本当にはっきりいって、気をつけないと、取り違えてしまいます。三脚やキャップなど完全に同じですしね。スペック上は初代もQも2も光学性能は全く同じです。コントロールするアプリも同じです。ビューファインダーの調整というオプションはさすがにQではマスクされますけどね。
初代、Qと比較すると2がマイナーバージョンアップであることがよくわかります。
センサーサイズの違いがよくわかる月の写真
一方、センサーのサイズは大きくなりました。その分、写る範囲は広くなっています。それがよくわかるのが月でございます。初代とQだとちょっとあふれる感じだったのが、すっぽりおさまるようになります。月の写真はコンデジや普通の望遠レンズ手持ちでも手軽にとれるので、わざわざeVscope(どのモデルも)を使わないでもよいのですが、まあ、違いはよくわかりますよねー。
なお、2は単に「広角」というだけでなく、画素数が従来より1桁あがって、解像度があがっています。
感度については、Qの方がスペックは上です。また、画像処理の加減で変わります。それよりも2が画角が広がったことにより、星の数が増えることがよくわかります。これは単純に見栄えがするので、特に電視ビューファインダーで見たときは「おーっ」というのが倍増な感じがします。また、さすがニコンさんが作っただけあって見え味もよいです。まあ、桁違いとはいいませんが、倍増というのが感覚としてはちょうどいいかなと思います。でも、素人にみせたら、前より良くなったといわれましたよ。
さて、2では、他にもいろいろ見てみました。四角かったり、丸い枠があったりは、アプリで選べます。四角いのがセンサーをまるまる使った画像になります。
さんかく座の銀河「M33」、渦巻きが見応えがあります。
真横から見た銀河「NGC891」、真ん中の黒い暗黒星雲の帯が印象的。ここで恒星が生まれているんですなあ。
「M93星団」、星団はビューファインダーで見ると、宝石箱を見ているようで美しいです
「アンドロメダ銀河」、でかすぎてはみ出します。銀河鉄道999が行った先ですな
「クレオパトラの目」、惑星状星雲です。そんなのがあるの知らんかった。アプリが「おすすめ」というので向けてみたら、美しい。中心にある恒星から出る強烈な紫外線でガスが光っている様子で美しい
なお、eVscopeは、多少薄雲がかかっていても、画像処理によってそれなりに画像を見せてくれます。その辺がスゴイところですし、天候が不安定な日本でもありがたいですな。
それにしても、本当に「お手軽」であるのが楽しい限りです。値段に見合うかは、人によりかと思いますし、なにしろ10分の1の投資で、これよりずっとスゴイ映像を見ている人たちも大勢います。「電視観望」でググってみてください。
でも、eVscopeはともかくお手軽。何度も書いていますが、いろんなものをつなぎ合わせないといけないのが、ワンパッケージでポンでできちゃう。そして2では、その質があがって、ちょっとかゆいところに手が届くようになった。というところです。
そういうことで、今のところ唯一の存在ですが、ライバルがでて切磋琢磨してほしいジャンルではございますな。