恒例の宇宙備忘録。予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる、楽しめる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は、前編として2018年1~4月の分をば。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ここではとても書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいからDVD・ソフトつきで3000円くらいまでですね。それぞれの特徴は、12月28日公開の次回(中編)の最後にまとめておきましたので、参考にしてくださいませー。

1月~2月

元旦は満月です。ちなみに年で1番大きく見える満月でございます。

ただ、天文イベントとして外せないのは、1月31日の皆既月食です。月食は満月の時にしか起こりません。1月の2度目の満月が月食の日なのですね。このとき、「満月なのに欠けた」月が見え、さらに「赤黒い満月」が見えます。「赤黒い」まで行く皆既月食が日本で見られるのは3年ぶりでございます。お月見をするだけなので、特に道具は必要ございません。以前の皆既月食の様子は、NASAのサイトの動画映像をごらんください。

月食、つまり月が欠け始めるのは、20時48分で、終わるのが翌日0時11分。このうち、月が完全に欠けて赤黒く見えるのは21時51分~23時8分でございます。

ところで、日本で3年ぶりともうしましたが、まあ、世界的には半年に1度程度は起きているのでございます。月食が起きているときに、日本で月が見えていないとあかんので、たまたまのめぐり合わせということでございます。

なお、「インターバルタイマー」をつかって月食の連続写真を撮影し、「比較明合成」するとなかなか芸術的でございます。一眼レフカメラはもとより、GoProなどのアクションカメラでも撮影できますので、おためしあれ。上記のキーワードで検索すると「こうやればいいんだよ」的なサイトがでてまいります。

一方、冬の空は明るい星が多く、すごく見ごたえします。ってのは、毎年書いていますなー。これは毎年同じなのでございます。冬は、星が、きれい。テッパンでございます。そうそう、それから色もカラフルで、星の色は、科学者は青白いO型から、B、A、F、G、K、赤いM型とおおざっぱに6つに分けているのですが、これが明るい星で、一通りそろっているのもポイントです。

なお、その中でアルデバランというK型(オレンジ色)の星が、1月27日の夕方に月に非常に近づきます。おうし座のアルデバランという星を覚えるチャンスでございます。

そうそう、ロケット&宇宙機関係はどんなもんでしょうか。正直、最近は民間がジャカスカ打ち上げをしていて、なんだかニュースじゃないなーって感じになってきました。なんというか、ロケット打ち上げがフツーなんですよね。それはそれですごいことでございますが。ただ、「日本は」とか、「科学探査は」と限定すると、やはりトピックといっていいでしょう。

日本ではまずJAXAの固形燃料ロケットのイプシロンロケット3号機の打ち上げがアナウンスされています。1月17日の朝6時~6時35分に予定されていますね(本原稿執筆時点)。搭載衛星は、高性能小型レーダ衛星(ASNARO-2)です。「災害状況把 握・国土管理・資源管理等の分野での利用を目的」とバリバリの実用衛星です。これまでは「惑星望遠鏡衛星」だったり、「ジオスペース探査衛星」と科学研究が目的でしたが、実用よりですね。イプシロンもフツーのロケットシリーズに位置づけられるということなんでしょうか。

あと、2018年1月のニュースになるかもわからんので書いておきますが。2017年12月28日に小型ロケットSS-520ロケットによる人工衛星打ち上げ実験が行われます。これ、2017年のはじめに失敗したやつで再チャレンジですな。わからんというのは、こういう実験って、よく予定が延期されるのです。すでに1回延期されていまして、もうちょい延期されると2018年1月になるのですね。実験期間としては2月までのうちにやるとアナウンスされています。まあ、順調ならば2017年12月28日に打ち上げられるはずですけどね(本原稿執筆時点)。

2月には中国が、地震電磁観測試験衛星「CSES1」を打ち上げる予定です。地球観測衛星なんですが、地震の電磁観測って…たしかにEarthquake(地震)とありますな。地震発生の前後に電磁波の異常があるんじゃないの? という話はよく聞きますが、未科学だったはず。まじめに取り組むのでしょうかね。

3~4月

  • 星空の方は、3月4日の夕方の空に、金星と水星が接近します。水星は3月の半ばまで金星の上に見えます。これは珍しいことで水星を見つけるチャンスです。付近には冬の明るい星がたくさんありますが、金星も水星も日の入り後低空です。西が開けたところで見るといいですねー。

  • 宇宙探査では、3月に、日本の民間チームHAKUTOによる、月ローバー「SORATO」が打ち上げられる予定です。インドチームと相乗りして月に向かい、月に着陸します。これGoogleによる賞レースLunar XPRIZEで、3月末までにやらないと失格なので、大幅な遅れはおそらくないはずです(本原稿執筆時点)。

  • さらに3月に、インドの月探査機チャンドラヤーン2号が打ち上げ予定です。上のSORATOとは違うロケットで打ち上げられます。

  • 2018年の科学技術週間は、4月16日(月)~22日(日)でございます。国立の施設を中心に、全国の研究施設の一般公開などが行われます。特に21(土)、22(日)に集中しますなー。研究施設が集中する茨城県のつくば地区は(東京・秋葉原からつくばエキスプレスで1時間かかりません)例年、期間中の1週間、JAXA、理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構などムネアツな多数の施設が一般公開されます。研究者も大サービスで、かなーり楽しいらしいので、期間が近づいたら、ホームページをチェックしてパンフレットをダウンロードするのが吉でございます(原稿執筆時点では、まだ平成29年度版です、まあこれをネタにいろいろ予想できますけど)。

次回の中編では、5-6月分を掲載する予定です。

(次回は12月28日に掲載します)

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。