どこでもサイエンスの半年ごとの恒例、「宇宙、どうでしょう」でございます。宇宙に関することといえば、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は、2017年7~12月の半年分をば。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ここではとても書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいから月替わりのカレンダータイプ、そしてDVD・ソフトつきムックで3000円くらいまでですね。前回の「宇宙、どうでしょう」の記事にまとめてありますので必要に応じてご参照あれ。

7月~8月

夏は、なんか、天体観察なシーズンですね。夜は暖かいし、休みに田舎に行くってこともアリだし、流れ星も大目。お店で配っているフリーペーパーからなにから「星をみましょう」な特集をしがちでございます。

で、夏は実際四季のなかでベストかというと、うーむ、まあ、中くらいかなーというところですね。田舎にいければ、天の川を見るのは夏の終わりから秋がいいんですけどね。ただ、ここ数年は「夏がいいですよ」とかなり自信を持って言えます。なにしろ、木星と土星がバッチリ見えるのですから。

木星と土星がイイ感じ そして、土星の環が見やすい 木星と土星は、毎年見える時期がズレていきますが、今年~2020年はオリンピックイヤーくらいまで、夏が見ごろってのが続きます。

木星は、夕方に、西よりの空に見える、ずば抜けて明るい星です。他に明るい星がないので、まちがいようがないです。

NASAの木星探査衛星「Juno(ジュノー)」が撮影した木星 (C) NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Roman Tkachenko

土星もまあ、明るいのですが、同じくらいの星が4~5個あるので、ちょっとむずかしい。時間と方向がポイントになりますな。夜9時くらいに南の空のやや低めの空。色は白で、少し右に赤っぽい星=アンタレスが見えるのが目印になります。

NASAの土星探査衛星「Cassini(カッシーニ)」が撮影した土星 (C) NASA/JPL/Space Science Institute

まあ、それでも自信がイマイチなら、だれでもわかる「月」とならぶ日を目印にするのがよいですよー。土星が月とならぶのは、2017年は7月7日、8月3日、8月30日、9月27日です。その前後の日でも、まあまあ土星と月は近くにありますから、前なら月にむかって左、後日なら月にむかって右に明るめの星を見つけてもらえばOKでございます。

ところで、土星といえば「環=リング」なんですが、昨年~今年にかけて、環が開いてみえる、絶好の時期なのです。NASAが公開している以下の写真のなかで、いちばん環が立派なのが昨年~今年だと思ってください。このめぐりあわせは14年ごとでございますよ。

Rings and Seasons of Saturn (C) Damian Peach/SEN

なお、環をみるためには望遠鏡が必要なんですが、ちょっとよい感じの一眼レフを持っていたら、三脚にのせてズームして撮影し、それをさらに拡大すると、タダの星じゃない、環っぽいものが見えることがございますので、お試しくださいませ。

8月21日に日食があるぞ、ただしアメリカだ。

8月21日(日本では22日)、アメリカ合衆国を横断する形で、皆既日食が見られます。見えるエリアは、以下の図の青い線と線の間のエリア。最大2分40秒の天体ショーです。

2017年8月21日(米国時間)の皆既日食が観察できる範囲 (C) Fred Espenak (NASA's GSFC), MrEclipse.com, Google Maps

皆既日食では、以下の写真のような光景が見られ、一度見ると病みつきになる天体現象ってことで、日本からのツアーはパンパン、ではありながら、キャンセル待ちでいきなり入れるという話もあるのでございます。

(C) Babak Tafreshi (TWAN)

まあ、あまり無責任なことはいわないほうがいいですかね。皆既日食が見られるエリアは移動していきますが、その様子のシミュレーションもちと面白いですな。

The Total Solar Eclipse of August 21, 2017 - fly along with the shadow! from Eclipse2017.org on Vimeo.

The Total Solar Eclipse of August 21, 2017 - fly along with the shadow!

日本居残り組は、各放送局が中継をすると思いますので、そちらで楽しんで「キャッホゥ」しましょう。ネット中継もあると思いますよ。

宇宙施設が特別公開する夏!

夏は、宇宙関連施設の特別公開がある時期でもあります。

  • 日本最大級の望遠鏡・国立天文台岡山天体物理研究所のレアな特別観望会(8月11日) はがきで応募、締め切りが「7月22日必着!」ですよ。まあ、めったにないチャンス、限定たったの80人。太陽系外惑星も発見した望遠鏡をのぞけるのは超希少です。

  • JAXA相模原キャンパス(8月25・26日) はやぶさ探査機のふるさと、神奈川県の相模原市の大人気イベントです。今年は開催日注意ですな。毎年7月が恒例だったのですが、今年は8月末です。新幹線なら新横浜から横浜線で町田方面ですよ。

  • 国立天文台野辺山宇宙電波観測所(8月26日) 長野県は、鉄オタの聖地、JR最高点の野辺山の近所で開催。でっかいアンテナをめじるしにいけば、まず迷いません。JAXA相模原もこちらも、いつでもキャンパス内を見学できるんですが、特別公開はお祭りです。先生も大学院生もみんなが、楽しく迎えてくれますよ。

流星もなかなかよいですよ

さて、夏は流れ星もいい感じなのでございます。8月12日~14日は、流れ星が通常の10倍流れるというペルセウス座流星群のピーク。1時間空をみあげていれば、10や20の流れ星は数えられます。流れ星の見方は、われながらちゃんと書いているので、そちらをご参照ください

ロケット打ち上げはどうかな?

最近は、中国もインドもジャンジャン打ち上げをしておりますし、民間のスペースXなどがやはりジャンジャン打ち上げていますね。宇宙があったりまえになってきているってなもんです。

SPACE FLIGHT INSIDERというWebサイトには、今後の打ち上げ予定がいろいろ書いてありますが、そこからちょいとピックアップしてみましょう。

  • 7月28日は、国際宇宙ステーションの52期クルー3人が旅立ちます。ロシアのソユーズに乗ってまいりますな。
  • 8月1日には、その国際宇宙ステーションに無人貨物船が向かいます。打ち上げは民間のスペースXのファルコン9ロケットですな。

8月中には、そのスペースXがファルコンヘビーという大型ロケットのテスト打ち上げをします。将来火星に行く準備だというのですが、まじかよ状態です。

8月中にはもう1つ、飛行機から打ち上げるペガサスロケットで、ICONという地球の電離圏を調査する衛星が打ち上げられます。オーロラや太陽活動との関係など、謎多き地球の超高空を調べるのですね。むーん。

おっと、日本のことを落とすところでした。

8月11日には、GPSを補完する位置情報を知らせる「みちびき3号」がH-IIAロケット35号機で打ち上げられます。

今回はいままでのみちびきの「準天頂衛星」ではなく、システムの4機のうち1機だけの静止軌道衛星でございます。

このあたり、詳しくは内閣府のホームページを見ていただければ。

さて、そんなこんな書いていたら、かなりの分量に、9月~12月については、原稿をあらためて次回ということにいたしますね。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。