PTCジャパンは、6月20日から22日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「日本ものづくりワールド 2018」内の「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS)」にて、2018年3月より提供を開始した3D CADツールの最新版「Creo 5.0」の紹介や、ARとリアルタイムビデオ通話を融合させた「Vuforia Chalk」のデモ展示などを行っている。

Creo 5.0は、新たに開発されたトポロジー最適化機能の搭載などにより、よりアディティブマニュファクチャリングに向けた使い勝手を向上させたもので、今回の展示会でも、豊田自動織機、ストタラシス・ジャパンの協力のもと出力されたトポロジー最適化実施前後の造形物の展示などを見ることができる。

  • Creoを用いたトポロジー最適化のデモ

    Creoを用いたトポロジー最適化のデモ

ARとビデオ通話で変わる遠隔サポート

また、同社ブースの目玉の1つとなるのが、「Vuforia Chalk」。これまで同社のThingWorxのデモなどでは、あらかじめ対象物にマッチしたARデータなどを作りこんでいく必要があったが、Vuforia Chalkはその発展系として、ARデータがない場合においても、ビデオ通話を通じて、遠隔地にいる指揮者が映し出されている画面上にマーキングや指示を書き込むことで、サポートの精度を向上させようというもの。

  • 従来のAR活用デモ

    従来のAR活用デモでは、マーカーの有無は別として、あらかじめ用意されていたデータをARとして表示する、という形での活用が主であった

例えば、操作パネルに複数のつまみやボタンがあって、どれをどう操作すれば分からないという際に、遠隔サポートを活用して、「左から何番目の…」という指示を受けても、どこの左からなのか、といったいまいち分かりにくいことが多かった。Vuforia Chalkは、画面に映っている物体にマーカーが無くてもオブジェクトとして認識し、モニタ上に指で丸や矢印などを書き込んで示すことができるため、「この書き込んだ丸を最初に、次に、この三角を…」といったような指示が可能になる。

  • Vuforia Chalkのデモの様子

    Vuforia Chalkのデモの様子。見えづらいが、iPadでPCを映し、その右下部にチェックマークを記入すると、ビデオ通話先のiPhoneにもリアルタイムでチェックマークが同じ場所に記述された

2018年6月よりサービスの提供が始まっており、30日間は製品版を無償で利用することが可能(その後、継続利用で有償利用、年間契約、に移行)。サービス提供地域は、6月時点で日本のほか、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、インド、イタリア、韓国、メキシコ、オランダ、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、イギリス、アメリカとなっているが、今後、順次、対応地域は拡大していく予定だという。また、ビデオ通話に対応するスマートフォン/タブレット端末としては、6月時点では、iOS版がARKitに対応しているiPhone 6s以降の世代のiPhone(iPadは5th Gen、iPad Pro各種)となっており、一方のAndroid版はSamsung ElectronicsのGalaxy S7以降の世代の端末となっている。

パートナー戦略も拡充

このほか、同社ブースでは、同社のパートナー企業の紹介も行われている。中でもスウェーデンのTactonのソリューションがCreoでも活用できるようになったことが、今回のトピックスとなっている。Tactonのソリューションは、受注設計製品向けの見積もりや製造用の3Dモデル、2D図面を迅速に作成することを可能とするというもの。なお、Tactonについては、日本法人はまだなく、日本ではエクサが代理店として窓口業務を担当しているという。