Copilot in WindowsはWindowsの操作や設定変更に使えるところがポイントだが、まずはCopilot in Windowsならではの機能として、閲覧しているWebページの内容を要約する使い方を紹介する。

連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照

情報洪水を乗り越える: 生成AIの活用法

インターネットは素早くさまざまな情報を得ることができる。素早い情報伝達と大量の情報へのアクセスは世界を変える技術であり、インターネットが社会生活を大きく変えたことはこの20~30年で世界が実感してきた。

簡単に大量の情報へのアクセスできることが日常化すると、業務によっては日々大量の文章をチェックする必要性が生まれる。情報アクセス能力が向上しても仕事が減るわけではなく、むしろ増えるケースもあるのだ。

そこで今度は生成AI(Generative AI)ということになる。生成AIが最も得意とする処理の1つは文章を理解することであり、この機能は毎日の文書チェックにおいて大きな力を発揮する。

今回は、業界の動向を把握するために毎日ある程度の量の文章に目を通す必要があるケースを考えよう。サンプルとして次のスクリーンショットのようなWebページを用意した。

  • チェックする文章のサンプル - Microsoft Edge

    チェックする文章のサンプル - Microsoft Edge

内容の仔細な部分を理解する必要はないが、全体としての内容は理解しておく必要があるケースというのは結構ある。そうなるとこの文章そのものではなく、文章の要約が読みたいということになる。よくできた文章であれば要約や結論の節を読むことで代替をすることができるが、そもそも要約や結論が全体をカバーしているかを確認するためにやはり全文に目を通す必要があるという問題が出てくる。

生成AIはこうした文章を理解して概要を生成するといった処理を得意としている。かなりの数の自然言語を理解するため、文章が英語やスペイン語、中国語のように日本語ではないものであっても使用することができる。毎日ある程度の量のWebの情報を確認する必要があるのであれば、Copilot in Windowsは強力なツールとして利用できる可能性があるのだ。

Microsoft Edgeで見ているWebページの内容を要約する

Microsoft EdgeでWebページを開いた状態でCopilot in Windowsを開き、「Edgeで閲覧しているページの内容を要約してください。」と入力する。最初は次のようなダイアログが表示されるので、「許可」をクリックする。

  • Copilot in WindowsからMicrosoft Edgeのコンテンツを使用できるように許可する

    Copilot in WindowsからMicrosoft Edgeのコンテンツを使用できるように許可する

すると次のようにMicrosoft Edgeが閲覧していたWebページの内容の要約が表示されるようになる。

  • Copilotが要約したWebページの概要が説明されている

    Copilotが要約したWebページの概要が説明されている

Copilotが生成した要約は対象Webページの内容の概要になっている。全体から比較的満遍なく内容を網羅しており、よくできた概要になっている。

この操作はもともとMicrosoft Edgeに備えられたサイドパネル(旧:検出ボタンのチャット、旧:Bingボタンのチャット、現:Copilotボタンのチャット)から行うことができた。もちろん今でもこの操作は行うことができるが、Copilot in Windowsからも同じように操作することができる。Copilot in Windowsの方がWindowsの操作もできるなど対象範囲が広がるので、今後はCopilot in Windowsから行ってよいのではないかと思う。

Google Chromeで見ているWebページの内容を要約する

日本はMicrosoft Edgeのユーザーが世界的に見ても多いのだが、それでも日本のデスクトップにおけるEdgeのシェアは20%ほどだ。Google Chromeは65%以上を占めており、多くのユーザがGoogle Chromeを使っている(StatCounter調査)。

Google Chromeで先ほどを同じWebページを閲覧した状態でCopilot in Windowsに「Chromeで閲覧しているページの内容を要約してください。」という命令をする。

  • チェックする文章のサンプル - Google Chrome

    チェックする文章のサンプル - Google Chrome

Copilotは次のような回答をしてくる。

  • Copilot in Windowsの回答

    Copilot in Windowsの回答

Webページの内容を要約するのではなく、Google Chromeで閲覧しているWebページの要約を生成する方法を検索して、その結果をまとめたものを表示している。ここで表示されているのは拡張機能を使う方法、要約APIを使って要約する機能を自分で作成する方法、代わりにMicrosoft EdgeのCopilotボタン(旧:検出ボタン、旧:Bingボタン)のチャットを使う方法が示されている。

Copilot in WindowsはMicrosoftの開発している機能であり、今のところ直接的に連携しているアプリケーションは限定的だ。Copilot in Windowsの前身機能とも言えるCopilotボタン(旧:検出ボタン、旧:Bingボタン)が実装されていたMicrosoft Edgeとは連携しているが、それ以外に連携しているアプリケーションは少ない。

Microsoft Wordの文章の内容を要約する

Microsoftが提供する代表的なアプリケーションがOfficeであり、WordやExcelは特に広く使われているものの1つだ。パイが広いのでCopilot in Windowsから使えるかと言えば、現状では対応していない。

試しに先ほどのWebページのコンテンツをWordに流し込んでサンプルを用意する。

  • チェックする文章のサンプル - Microsoft Word

    チェックする文章のサンプル - Microsoft Word

Copilot in Windowsで「Wordで閲覧している文書の内容を要約してください。」と命じると次のような回答が得られる。

  • Copilot in Windowsの回答

    Copilot in Windowsの回答

CopilotはWordの文章を要約する方法をWebで検索しその結果を要約して伝えており、Webサービスを利用する方法を説明している。

MicrosoftはMicrosoft 365向けにCopilotの提供を開始しており、Copilotの提供する便利機能はそちらで提供していく可能性が高い。このため、Copilot in WindowsからWordやExcelに対して何らかの操作を求めるというのは実現できない可能性がある。しかしながら、Microsoftがどこまで機能を開放していくかは全くわからないというのが現状だ。ある時点である程度の機能がCopilot in Windowsから使えるようになるかもしれないし、無償の機能としてWordやExcelに機能が開放される可能性もある。このあたりは今後の動向を見ておく必要があるだろう。

まず知っておきたいこと - Edgeとは連携する

現時点で知っておきたいことは、Copilot in WindowsはMicrosoft Edgeとは連携が始まっているということだ。Edgeで閲覧している内容を要約するようにCopilot in Windowsから命令をすることができ、その結果も得ることができる。EdgeのCopilotボタンでできることと同じなのだが、Copilot in WindowsというWindows全体で使える機能から操作できるところがポイントだ。

Copilot in Windows自体がまだプレビュー機能であることからわかるように、MicrosoftはCopilot in Windowsでどこまで機能を提供するかを模索しているように見える。今後連携するアプリケーションは随時増えていくことが考えられるが、どのタイミングになるかは他の有償のCopilotサービスとの兼ね合いもみながら行われるものとみられる。有償のCopilotも業務効率の改善度合いによっては支払いの選択肢に入っていくので、今後このあたりの動向は見逃さないようにしていきたいところだ。

付録: ショートカットキー

ショートカットキー 内容
「Windows」+「C」 Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え

付録: 対応バージョン

OS バージョン
Windows 11 Windows 11, version 22H2以降
Windows 10 Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome

参考