Copilot in Windowsを使ってみよう(15) ロゴをつくる

Copilot in Windowsにはプロンプトからテキストや音声による指示で画像を描画させる機能が備わっている。OpenAIのDALL･E 3をベースにした機能で、現在提供されている無償の汎用生成AIチャットとして特徴的だ。今回はこの機能を使ってロゴを作成する例を取り上げる。

連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照。

Copilotでロゴをつくる

Copilot in Windowsには画像生成を実現するDALL･E 3が備わっており、テキストや音声による指示で画像を生成することができる。便利な機能ではあるものの、自分の想像している画像を描いてもらうのはすごく難しいことは前回説明した。

とは言ってもこの機能を活用するユースケースはいくらでもある。そのひとつに、自分では考えつかないようなデザインや絵を生成させてアイデアの材料にするといった使い方がある。

今回は製品のロゴ案を作成する段階でこの機能を使う例を紹介する。Copilotでは対話することでロゴの作成を進捗させることができる。どのような感じで作業を行うことになるのか取り上げるので、自分で使う際の参考にしてもらえれば幸いだ。

残業時間管理システムのロゴをつくる

残業時間管理システム「時間守護」というものを開発しているというストーリーで話を進める。このシステムの開発を進めつつロゴもつくる必要があり、このロゴのアイデア出しにCopilotを使うことにする。まず、次のような指示をCopilotに出して大雑把にロゴ案を出してもらう。

「現在開発部で業務の残業時間管理システムとして『時間守護』と呼ばれるシステムを開発しています。残業が特定の従業員に偏らずにだいたいどの従業員にも同じように残業の割当ができるような管理システムです。このシステムの開発に合わせて、システムのロゴを作成する必要があります。残業時間管理システム『時間守護』に合う、かっこいいロゴをいくつか提案してください。」

残業時間管理システムのロゴをいくつか作成して提案するよう指示、および生成された画像

経営層や営業担当と議論して特に右下のロゴがイメージに近いということになったとする。

作成されたロゴの案その3 - このロゴが好評

今度は次のようにイメージに近いロゴから、さらにロゴっぽくシンプルなデザインに変更するように指示を出す。

「右下のロゴが好評です。右下のロゴをベースに、さらにシンプルにしたものをいくつか提案してください。」

右下のロゴをベースにさらにいくつかのロゴを生成するように指示、および生成された画像

今回は右上の画像がロゴとして判別しやすいとして好評だったとする。

作成されたロゴその2 - ロゴとして見やすいとして好評

先ほどの指定では「右下のロゴ」と指示をしたが、どうも意図が伝わっていないように見える。今度は次のプロンプトのように、指示したいロゴをダウンロードしてからプロンプトに入力した上で、このロゴをベースにさらにいくつかのバリエーションを生成するように指示を出す。

「このロゴが好評です。このロゴをベースにさらにいくつかのバリエーションを生成してください。」

好評だったロゴをベースにさらにいくつかのロゴを生成するように指示

結果として次のようなロゴ案が生成された。

作成されたロゴの案その1

作成されたロゴの案その2

作成されたロゴの案その3

作成されたロゴの案その4

どうも指定したロゴに関しては無視されているような気がするが、ロゴ案としてかなり良い感じにイメージが出来上がってきた。あとは開発メンバーや社内の他の従業員なども含めた投票でロゴを絞り込んでいくことにした、といった具合だ。

このようにCopilotを使った画像の作成は、対話を繰り返すことで画像を生成し直しながら進めていくというのがひとつのやり方となる。現在のところ、画像そのものに対して細かい変更指示を出して編集するといったような使い方はかなり難しい。会話しながら新しい画像を生成して目的とする画像に近付けていくといった使い方になる。

会話を成り立たせるのは結構難しい

今回取り上げたロゴの作成サンプルではCopilotと対話をしながらロゴの作成を行っているが、一部対話が成り立っていないところがある。これはCopilotと人間に限らず、人間と人間の対話でも起こる。対話の中で自分のイメージを相手に明確に伝えるというのは、それ自体がスキルであり、結構難しいことだ。

Copilotを使って可能な限り自分の意図する画像を生成させるには、プロンプトで行う指示を可能な限り具体的なものにするとともに、明確でかつ多くの情報を与える必要がある。それでも意図する画像になるとは限らないので、試行錯誤することになるだろう。さらに、生成AIはその構造上同じ指示に対して同じ画像を生成するとは限らない。そういった特徴を把握した上でうまく使っていく必要がある。

意図した画像を生成させることは難しいのだが、例えば最後に掲載した4つの画像のようなロゴサンプルを自分だけで一からつくれるかと言われれば、ほとんどのユーザーにとってそれは無理ではないかと思う。実際には本サンプルでつくったロゴの生成には数分しか経っていないわけであり、Copilotのような生成AIがもたらす劇的な業務効率の改善効果が実感できるだろう。

Copilotの画像生成機能は使いこなせるとかなり強力な武器になる。この機能を使うユーザーのパイはそれほど多くないかもしれないが、必要なユーザーにとってはきわめて強力な道具になることは間違いないところだ。