Top500で1位獲得も当初のLINPACK性能はピークの40%程度
ASCI Whiteは2000年11月のTop500登録時のピーク演算性能は12.288TFlopsで、LINPACK性能は4.938TFlopsであった。ピーク演算性能は10TFlopsの大台に載ったがLINPACK性能はピークの40%程度という状態であった。
(2000年11月のTop500で)2位になったASCI Redはピーク性能が3.207TFlopsに対してLINPACK性能は2.379TFlopsをたたき出しているのに対してASCI WhiteはLinpack性能が低すぎるのであるが、これはチューニングを行う時間があまりなく、フルの性能を引き出せていなかったためであると思われる。
ASCI Whiteは次のTop500となる2001年6月には、まったく同じCPU数でLINPACK性能を7.226TFlopsに引き上げ、同年11月のTop500も併せて3期にわたって1位を獲得した。
このスパコンの消費電力は3MWで、さらに冷却に3MWを必要とした。このような大型のコンピュータの冷却はチラーで冷却した空気を床下から供給し、この空気で筐体内部の熱を運び出し、その熱をコンピュータルームの空調で冷却するというやり方が普通であった。このような冷却では機器の消費電力と、チラーや空調の消費電力が同程度になるのは、比較的良いほうで、冷却に必要な電力の方が大きいというデータセンタも珍しくなかった。
ASCI Whiteについて書くということで、インターネットで調べ始めてみて、ASCI Whiteの表立っている情報は非常に少ないことに驚いた。ASCI White自体が軍事研究に使われる機密指定のスパコンであったことが、現在においても資料がほとんど無いということにつながっている理由なのではないかと思われる。
(次回は9月18日に掲載します)