一般の利用者が乗れない試験車両も含めて取り上げるので、果たして「身近」と言い切れるかというと疑問はあるのだが、外から見る機会ぐらいはあるだろう。ということで今回のお題は、新幹線電車の車体(構体)。→連載「航空機の技術とメカニズムの裏側」のこれまでの回はこちらを参照

  • 500系新幹線電車は、構体の主要部分にアルミハニカムパネルを用いたことで知られている。ハニカム構造は航空機でも多用されている 写真:井上孝司

軽く、圧力変動に強い構体

かつて0系新幹線電車は「翼のない飛行機」と呼ばれたことがあるらしい。確かに先頭部の形状は旅客機の機首を思わせる部分がある。しかし構体の構造は在来線の車両と基本的に同じで、飛行機みたいな構造を取り入れていたわけではない。

しかし試験車両では、飛行機と似た構造を取り入れた事例がある。なにしろ、「軽く作らなければならない」という要求があるし、それに加えて内外の圧力差が変動することで伸縮するところまで似ている。

しかも新幹線電車の構体は、トンネルを出入りする度に圧力変動にさらされるので、繰り返しの回数については飛行機より条件が厳しい。それに加えて対向列車とすれ違ったときには風圧を受ける。

それなら飛行機と同じ構造を試してみたら……という話になったのだろうか。そこで実際に用いられた構造は二種類ある。

ジュラルミンのリベット止め

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