前回は、Acrobatを使ってメールでPDFを配布し、トラッカーで管理する方法について紹介しました。今回は共有フォルダーを使った方法について紹介します。

フォームの配布と回収

おさらいになりますが、AcrobatにはPDFフォームの配布と回収の機能が付いており、大きく次の2つの方法が選択できます。

  • Adobe FormsCentralを使う
  • Acrobatとトラッカーを使う

今回は、Acrobatとトラッカーを使う方法のうち、社内共用サーバーのネットワークフォルダーを使う方法の手順を説明します。

Adobe FormsCentralを使う方法については、38回39回の記事をご覧ください。

PDFを配布する

配布するPDFフォームをAcrobatで開きます。

[ツール]をクリックして(1)[フォーム]の[配布]をクリックします(2)。

[ツール]をクリックして(1)[フォーム]の[配布]をクリック(2)

[フォームを配布]ダイアログボックスが表示されるので、「内部サーバー」を選択して[続行]をクリックします。

「内部サーバー」を選択して[続行]をクリック

[フォームを配布]ダイアログボックスの表示が変わります。ここで、PDFフォームを保存する共有フォルダーを選択します。ここではWindowsネットワーク上に社員がアクセスできるネットワークフォルダーがあると仮定して、「ネットワークフォルダー」を選択して(1)[参照]をクリックします(2)。

「ネットワークフォルダー」を選択し(1)[参照]をクリック(2)

[フォルダーの参照]ダイアログボックスが表示されるので、PDFフォームの配布・回収に利用するネットワークフォルダーを選択し、[OK]をクリックします。

PDFフォームの配布・回収に使用するネットワークフォルダーを選択し(1)[OK]をクリック(2)

[フォームを配布]ダイアログボックスに戻るので、指定したネットワークフォルダーが表示され有効であることを確認し(1)、[次へ]をクリックします(2)。

指定したネットワークフォルダーが表示され有効であることを確認し(1)、[次へ]をクリック(2)

[フォームを配布]ダイアログボックスの表示が変わります。上の選択肢で、PDFフォームの配布方法を選択します。ここでは、「Adobe Acrobatを使用して送信」を選択します(1)。

「Adobe Acrobatを使用して送信」を選択すると、AcrobatからPDFフォームの入力依頼メールを配信できます。「ローカルコピーを保存し、後で手動送信する」を選択すると、ネットワークフォルダー以外にローカルPCにも配布用のPDFフォームを保存でき、手作業で配布できます。

「Adobe Acrobatを使用して送信」を選択すると、下の選択肢でメールのタイプを選択できます。ここでは、「メッセージ中のリンクとして」を選択します(2)。

「メッセージ中のリンクとして」を選択すると、PDFフォームを保存したネットワークフォルダーのリンクがメールで送信されます。「メッセージの添付ファイルとして」を選択すると、メールにPDFフォームが添付されて送信されます。

選択したら[次へ]をクリックします(3)。

「Adobe Acrobatを使用して送信」を選択し(1)、「メッセージ中のリンクとして」を選択(2)。[次へ]をクリック(3)

サーバープロファイルの名称を入力します。ネットワークフォルダーの場所などが、指定した名称のプロファイルとして保存され、次回からプロファイルを選択するだけで、同じネットワークフォルダへの保存が簡単にできるようになります。入力したら[次へ]をクリックします。

サーバープロファイルの名称を入力し(1)、[次へ]をクリック(2)

[宛先]欄で、PDFフォームの送信先のメールアドレスを指定します(1)。[宛先]ボタンをクリックするとアドレス帳を開いて選択できます。アドレスは直接入力することもできます。複数のアドレスを入力するには「;」(セミコロン)で区切ってください。ここで指定したアドレスは「BCC」として送信されます。

「タイトル」や「メッセージ」の本文は、デフォルトでPDFフォームの名称が入った文面が入力されます。必要に応じて変更してください(2)。

「トラッカーが円滑に機能するよう、受信者の名前および電子メールを収集する」オプションはチェックします(3)。

設定したら[送信]ボタンをクリックします(4)。

[宛先]を設定し(1)[タイトル][メッセージ]を入力(2)、オプションにチェックして(3)[送信]をクリック(4)

送信が完了すると、「トラッカー」ウィンドウが表示されます。[フォーム]の[配布]に送信したPDFフォームが表示され(1)、配布したPDFフォームの詳細な情報や、返答状況が右側に表示されます(2)。

内容は、基本的にメールに添付して配布する方法と同じなので、詳細は、前回の記事を参照ください。

違いとして「データの収集を停止」が表示されます。ネットワークフォルダーを使う方法では、PDFフォームに入力されたデータを回答者が送信すると、メールではなく自動的にネットワークフォルダーに回答データが保存されます。「データの収集を停止」をクリックすると、フォルダーへの保存ができなくなります。ここが、前回紹介したメールでPDFを配布・回収する方法との大きな違いの1つです。回収の期限を明示的にしたいアンケートなどに適しています。

「トラッカー」ウィンドウの[フォーム]の[配布]に送信したPDFフォームが表示され(1)、配布したPDFフォームの詳細な情報や返答状況が右側に表示される(2)。

PDFフォームのファイルですが、元のPDFフォームファイルはそのまま残り、同じフォルダーに送信用のPDFフォーム「NNNN_distributed.pdf」と、集計用の「NNNN_responses.pdf」という2つのPDFファイルが作成されるのは、前回と同じです。

指定したネットワークフォルダーには、PDFフォーム用のフォルダーが作成されます。

フォルダー内には、送信用のPDFフォーム「NNNN_distributed.pdf」が保存されます。また「Responses」フォルダー内に、回答者からのデータが保存されます。

指定したネットワークフォルダーには、PDFフォーム用のフォルダーが作成される

フォルダー内には、送信用のPDFフォーム「NNNN_distributed.pdf」が保存される。また「Reponses」フォルダー内に、回答者からのデータが保存される

メールの受信者の操作

メールを受信したユーザーの操作がどのようになるかを見ておきましょう。

受信者はメールに記載されているネットワークフォルダーにアクセスし、PDFフォームをAcrobat ReaderやAcrobatで開きます。PDFの上部にはメッセージバーが表示され[フォームの送信]ボタンが表示されます。受信者は、PDFフォームに入力後[フォームを送信]ボタンを押してデータを送信します。

PDFフォームに入力し(1)、[フォームを送信]ボタンをクリック(2)

[フォームを送信]ダイアログボックスが表示されます。電子メールアドレスと氏名を入力して[送信]ボタンをクリックすると、メールが送信されます。

メールアドレスと氏名を入力し(1)、[送信]ボタンをクリック(2)

「返答の送信が完了しました」と表示されたら、回答の送信は完了です。回答データは、メールで返信されるのではなく、回答データだけがネットワークフォルダーに保存されます。

「返答の送信が完了しました」と表示されたら送信完了。回答データがネットワークフォルダーに保存される

メールの回答を収集

配布したメールの回収について見ていきましょう。

ネットワークフォルダーを使った方法では、メールでの返信がありません。そのため集計用のPDFフォームを開いて確認します。

「トラッカー」ウィンドウを開き、「集計を表示」をクリックします。

「トラッカー」ウィンドウを開き、「集計を表示」をクリック

集計用のPDFファイル「NNNN_responses.pdf」が表示されるので[開始]ボタンをクリックします。

[開始]ボタンをクリック

受信したPDFフォームのデータがリスト表示されます。集計用のPDFフォームについては、前回を参照ください。

集計用のPDFに返信された内容がリスト表示される

トラッカーでの管理

[トラッカー]ウィンドウには、返答があった人のメールアドレス欄には、受信者名と返答が表示されます(1)。「はい」の横の数字は、返答を受信した回数です。詳細は前回を参照ください。

前にも書きましたが「データの収集を停止」をクリックすると、回答者からの送信を受け付けなくなります。再開はできません。また、集計用のPDFフォームは、最新の状態で保存されます。

[トラッカー]ウィンドウで返答状況を管理できる。「データの収集を停止」をクリックすると、回答者からの送信の受付を終了できる

もちろん、集計用のPDFフォームから回答データをCSVファイルに保存できます。前回を参照ください。