本連載の第3回〜第5回で紹介したように、「段落罫線」や「網かけ」を使って見出しなどのデザインを作成することも可能だ。ただし、その書式設定はお世辞にも簡単とはいえない。このような設定作業を何回も行うとなると、気が遠くなってしまう人もいるだろう。
そこで、いちど作成したデザインを手軽に再利用できるように「書式だけをコピーする方法」を紹介していこう。いくつかやり方があるので、状況に応じて最適な方法を選べるように、それぞれの使い方を覚えておくとよい。
コピー&ペーストを活用した書式の複製
まずは「コピー&ペーストを活用する方法」から紹介していこう。初心者でも思いつきそうな操作手順といえるが、念のため確認しておくとよいだろう。
(1)書式のコピー元となる段落を選択し、Ctrl + Cキーを押してコピーする。
(2)書式を複製したい位置にカーソルを移動し、先ほどコピーした段落をCtrl + Vキーで貼り付ける。
(3)貼り付けた段落の文字を「新しい見出しの文字」に書き換える。
(4)不要になった見出し(書式を指定していない見出し)を削除する。
これで同じ書式を維持したまま「別の見出し」を作成できる。つまり、書式だけをコピーした場合と同じ結果を得られたことになる。
コピー&ペーストして文字を置き換えるだけの単純なテクニックではあるが、Wordに慣れている人でも多用する、使い勝手のよい書式の複製方法といえるだろう。特に1〜2ページ程度の短い文書を作成するときは、これが最も手軽に使える方法だ。
もっと積極的にコピー&ペーストを活用していく方法もある。たとえば、これまでに作成したデザインを以下の図のような形でWordファイルに保存しておくと、この文書から段落をコピー&ペーストするだけでデザインを再利用できる。
要するに、過去に作成したデザインをストックしておいて再利用する、という作業の進め方だ。これで、そのつどデザインを作成する作業から解放されるようになる。
書式だけをコピー&ペーストできるコマンド
Wordには、書式だけをコピー&ペーストできるコマンドも用意されている。続いては、このコマンドの使い方を紹介していこう。
(1)書式のコピー元となる段落を選択し、「書式のコピー/貼り付け」コマンドをクリックする。
(2)マウスポインタの表示が以下の図のように変化していることを確認する。
あとは、書式を貼り付けたい部分を指定するだけ。ただし、この作業は操作方法に応じて結果が変化することに注意しなければならない。
まずは失敗例から紹介していこう。以下の図は、書式を貼り付けたい段落をクリックした場合の例となる。この場合、「段落の書式」は問題なく貼り付けられるが、「文字の書式」はクリックした位置にある単語だけに適用されてしまう。
段落全体に書式を貼り付けるには、段落の最初から最後までをなぞるようにマウスをドラッグしなければならない。すると、段落全体に「段落の書式」と「文字の書式」を貼り付けられる。
このように、もとの文字はそのままにして、書式だけをコピー&ペーストできる機能が「書式のコピー/貼り付け」となる。便利な機能なので、この機会に使い方を覚えておくと重宝するだろう。
書式だけをコピー&ペーストするショートカットキー
3番目のテクニックとして紹介するのは、書式だけを「ショートカットキー」でコピー&ペーストする方法だ。通常のショートカットキーに「Altキーを追加する」と覚えておくとよい。
(1)書式のコピー元となる段落を選択し、Alt + Ctrl + Cキーを押す。
(2)書式を貼り付けたい段落を選択し、Alt + Ctrl + Vキーを押す。
この方法でも「書式だけ」をコピー&ペーストできる。なお、少し前までは、Ctrl + Shift + CとCtrl + Shift + Vが「書式だけのコピー&ペースト」を実行するショートカットキーに設定されていたが、現在は仕様が変更されている。以前の方法に慣れている方は混同しないように注意すること。
念のため、コピー&ペーストに関連するショートカットキーの最新版を以下にまとめておこう。
コピーする操作
- 文字と書式をコピー:Ctrl + C
- 書式だけをコピー:Alt + Ctrl + C
貼り付ける操作
- 文字と書式を貼り付け:Ctrl + V
- 文字だけを貼り付け:Ctrl + Shift + V
- 書式だけを貼り付け:Alt + Ctrl + V
スタイルを使った書式の一括指定
最後に紹介するのは、文字や段落の書式を一括指定できる「スタイル」を活用する方法だ。ページ数の多い文書を作成するときは、この方法が最も王道の使い方といえる。
この方法を使用するときは、最初に「指定したい書式」をスタイルとして登録しておく必要がある。以下の手順で操作する。
(1)自分で書式を指定した段落を選択し、以下の図に示したボタンをクリックする。
(2)スタイルの一覧が表示されるので、「スタイルの作成」を選択する。
(3)好きなスタイル名を入力し、「OK」ボタンをクリックする。
すると、選択した段落に指定されていた書式を「スタイル」として登録できる。あとは、このスタイルを段落に適用するだけ。段落内にカーソルを移動し、先ほど作成したスタイルをクリックする。
スタイルが適用され、「文字の書式」と「段落の書式」が一括指定される。
以降も同様の手順で書式を一括指定できる。スタイルはWordの重要な機能のひとつであり、ページ数の多い文書を作成する際に欠かせない機能なので、ぜひ使い方を覚えておきたい。この連載でも、いずれスタイルの詳しい使い方を紹介していく予定だ。
スタイルを活用するときは、適用時に選択する文字にも注意する必要がある。段落内の一部の文字を選択した状態でスタイルを適用すると、その文字だけにスタイルが適用されてしまう。段落全体にスタイルを適用したいときは、「段落内にカーソルを移動」もしくは「段落全体を選択」の状態にしておく必要がある。間違えないように注意しよう。
ということで、今回は「書式だけ」をコピー&ペーストする方法を4つ紹介した。いずれの方法も便利に活用できるので、それぞれの使い方をよく理解しておくとよい。Wordのスキルが向上し、作業時間を大幅に削減できるようになるはずだ。


















