前回は、見出しのスタイルに「アウトライン レベル」の書式を含めておくのが基本だ、という話をした。これに関連する話として「見出しのスタイルに追加しておきたい書式」をいくつか紹介していこう。この機会に、「次の段落と分離しない」や「段落前で改ページする」など、見出しに活用できる書式の機能(動作)を学んでおくとよい。

  • 見出しの配置の自動制御

    見出しの配置の自動制御

見出しの前の間隔の自動調整

通常、文書を作成するときは、見出しの前に適当な間隔を設けるのが一般的だ。たいていの場合、この間隔は「改行」で確保しているケースが多いだろう。たとえば、以下に示した例では、ふたつの改行を挿入することにより「見出しの前の間隔」を確保している。

  • 見出しの前の間隔を改行で調整した場合

    見出しの前の間隔を改行で調整した場合

このような方法で文書を作成しても構わないが、もっと効率的に、自動で間隔を確保する方法もある。それは「段落前」の書式を活用する方法だ。「段落前」に適当な数値(行数)を指定しておくと、いちいち改行を入力しなくても、「見出しの前の間隔」を自動調整できるようになる。

念のため、書式を指定するときの操作手順を紹介しておこう。見出しの段落を選択して「段落」ダイアログを開く。続いて、「段落前」に適当な数値(行数)を指定し、「OK」ボタンをクリックする。

  • 「段落前」の書式で間隔を指定

    「段落前」の書式で間隔を指定

すると、指定したサイズ(行数)の間隔が「段落の前」に自動確保される。これで間隔を設けるために挿入していた「改行」は不要となる。

  • 「段落前」により設けられた間隔

    「段落前」により設けられた間隔

もともと入力されていたふたつの改行を削除すると、改行の入力なしで、当初と同じレイアウトに仕上げることが可能となる。

  • 間隔調整用の改行を削除した様子

    間隔調整用の改行を削除した様子

このように、「改行」ではなく、「段落前」の書式で間隔を調整する方法もある。この手法の便利な点は、いちいち改行を挿入しなくても“一定の間隔”を「段落の前」に設けられること。「改行」を入力する手間が省ける、というささいな効率化のように見えるかもしれないが、長い文書を作成するときに意外と重宝する書式となるので、ぜひ覚えておきたい。

ページまたぎの解消

続いては、「ページまたぎ」の問題を解消してくれる書式を紹介していこう。長い文書を作成していると、以下の図のようにページの最下段に見出しが位置してしまうケースもある。

  • 「見出し」と「本文」が分離してしまった例

    「見出し」と「本文」が分離してしまった例

このような場合は見出しの前に「改行」を挿入して、見出しを次ページに送ってやる必要がある。ただ「改行」を挿入するだけの簡単な作業であるが、何十ページもある長い文書では、それが面倒な作業になってしまう可能性がある。

というのも、文書の作成時点では問題が発生していなくても、後に本文の修正を行った際に行数が増減してしまい、その結果、以降のページで「ページまたぎ」が発生してしまう可能性を否定できないからだ。これを解消するには、以降のページで「見出しの位置に不具合が生じていないか?」を自分の目で確認していく必要がある。これはかなり面倒だ。

こういった「ページまたぎ」の問題を自動解消してくれる書式が「次の段落と分離しない」だ。この書式はその名の通り、次の段落(本文)と分離しないように配置を自動調整してくれる書式となる。

念のため、この書式の指定方法を紹介しておこう。見出しの段落を選択して「段落」ダイアログを開く。続いて、「改ページと改行」タブを選択し、「次の段落と分離しない」をオンにしてから「OK」ボタンをクリックする。

  • 「次の段落と分離しない」の書式指定

    「次の段落と分離しない」の書式指定

すると、見出しがページの最下段に来たときに、見出しを自動的に次ページに送る処理が行われる。よって、いちいち確認しなくても「ページまたぎ」の問題を自動的に解消できるようになる。

こちらも長い文書の作成に欠かせない書式となるので、ぜひ使い方(書式をオンにしたときの動作)を理解しておくとよいだろう。

  • 自動的に次ページへ送られた見出し

    自動的に次ページへ送られた見出し

見出しの位置調整用の書式をスタイルに追加する

これまでに紹介した「段落前」や「次の段落と分離しない」の書式は、そのつど自分の手で指定するのではなく、「見出しのスタイル」に含めておくのが基本だ。すでにスタイルを作成してある場合は、以下に示した手順で「段落前」と「次の段落と分離しない」の書式をスタイルに追加しておくとよいだろう。

ここでは「中見出し」のスタイルに書式を追加する場合を例に、その操作手順を紹介していこう。「中見出し」のスタイルを右クリックし、「変更」を選択する。

  • スタイルの変更画面の呼び出し

    スタイルの変更画面の呼び出し

スタイルの書式を変更する画面が表示されるので、「書式」ボタンをクリックして「段落」を選択する。

  • 「段落」ダイアログの表示

    「段落」ダイアログの表示

まずは「段落前」の書式を指定する。「段落前」に適当な数値(行数)を入力し、見出しの前の間隔を指定する。

  • 「段落前」の書式を指定

    「段落前」の書式を指定

続いて、「改ページと改行」タブを選択し、「次の段落と分離しない」をオンにしてから「OK」ボタンをクリックする。

  • 「次の段落と分離しない」の書式を指定

    「次の段落と分離しない」の書式を指定

元の画面に戻るので、「段落前」と「次の段落と分離しない」の書式が正しく指定されていることを確認し、「OK」ボタンをクリックする。

  • スタイルの書式変更の確定

    スタイルの書式変更の確定

以上で、スタイルの書式変更は完了。「中見出し」のスタイルが適用されていた段落の書式が一括変更される。間隔調整用の改行を挿入していた場合は、この時点で“不要になった改行”を削除しておくとよい。

  • 不要になった改行の削除

    不要になった改行の削除

なお、上記の書式変更を行うと見出しの前に「黒い点」が表示されるが、この点は「次の段落と分離しない」の書式が指定されていることを意味している。

同様の手順で「小見出し」のスタイルにも「段落前」と「次の段落と分離しない」の書式を追加する。こちらは「段落前」の間隔を「1行」に指定した。

このようにスタイルに書式を含めておくと、「見出しの前の間隔」や「ページの最下段に見出しが位置した場合」を気にすることなく、文書の作成を進めていけるようになる。

  • 「小見出し」のスタイルの書式を変更

    「小見出し」のスタイルの書式を変更

必ずページの先頭から開始する場合は?

「大見出し」のように“1階層目の見出し”を必ずページの先頭に配置したい場合もあるだろう。このような場合に活用できるのが「段落前で改ページする」という書式だ。この書式をオンにすると、その段落の直前に改ページが挿入され、必ずページの先頭に見出しを配置できるようになる。

この書式を利用するときも、スタイルに書式を含めておくのが基本だ。ここでは「大見出し」を必ずページの先頭に配置する場合を例に、その手順を紹介しておこう。「大見出し」のスタイルを右クリックし、「変更」を選択する。

  • スタイルの変更画面の呼び出し

    スタイルの変更画面の呼び出し

スタイルの書式を変更する画面が表示されるので、「書式」ボタンをクリックして「段落」を選択する。

  • 「段落」ダイアログの表示

    「段落」ダイアログの表示

「改ページと改行」タブを選択し、「段落前で改ページする」をオンにしてから「OK」ボタンをクリックする。

  • 「段落前で改ページする」の書式を指定

    「段落前で改ページする」の書式を指定

元の画面に戻るので、「段落前で改ページする」の書式が正しく指定されていることを確認し、「OK」ボタンをクリックする。

  • スタイルの書式変更の確定

    スタイルの書式変更の確定

このようにスタイルの書式を変更すると、「大見出し」を適用した段落が必ずページの先頭に配置されるようになる。

  • 自動的に改ページされた「大見出し」

    自動的に改ページされた「大見出し」

なお、この場合は「段落前」や「次の段落と分離しない」の書式を指定する必要はない。というのも、ページの先頭に見出しを配置した場合は、段落前の間隔は存在しない、見出しと“本文”が分離される可能性はゼロ、という状況になるからだ。よって、「段落前で改ページする」をオンにするだけで配置調整は完了となる。

今回紹介してきたように、「段落」ダイアログには見出しの配置を自動調整するための書式も用意されている。これらの書式をスタイルに含めておくと、配置の調整に気を配る必要がなくなり、それだけ文章の執筆に集中できるようになる。

長い文書を作成する際に大切なことは、調整作業に要する手間を可能な限り省くこと。そのためにも、Wordの便利な機能(書式)の使い方を覚えておくと役に立つだろう。