全然変わっていない版面設計画面

「QuarkXPress 8」は、文字グリッドに対応し、組版がしやすくなったという話を聞いていた。従来のバージョンでは、文字グリッドの概念がなかったために、版面を設定する初期画面の状態で、既に電卓との戦いが始まっていた。ある意味、文字数、段落長、行間等、あらかじめすべて計算しておいて設計していかないとちゃんと組めないという、コンピュータ・ソフトらしからぬ仕様なのは、ユーザーならご存知の事と思う。

それがグリッドシステムを採用した事で簡単になるかと思いきや、図1の画面である。全く何も変わっていないのだ。これには落胆した筆者だが、実は版面の指定方法は別に隠れていたのである。

図1 新規プロジェクト作成時の画面。この時点では従来のQuarkXPressと同じ計算による版面設計が必要に感じてしまう

計算機はもう不要? グリッドシステムを活かした設定方法

計算無しにドキュメントを作ると微妙にグリッドがずれるため(図2)、いろいろと機能を試していたところ、ようやく発見したのが「マスターガイド&グリッド」という機能だ。この中にさらに「調整」という項目があり、そこをクリックすると、出てきましたよ、グリッド設定のための画面が図3だ。

図2 何も計算せずにデフォルトの状態でグリッドを表示させるとガイドとグリッドが合っていないのがわかる

図3 マスターページを表示させ、「ページ」→「マスターガイド&グリッド」→「詳細ボタン」をクリックすると、グリッドベースで版面設計が可能になる

ここでは行あたりの文字数(Quarkではセル数と呼んでいる)と版面内の行数を設定する事で、自動的にマージンガイドを調整してくれる。もちろん、マージンの幅や行間、文字間隔も指定可能だ。これを使って設定したのが図4。見事にマスターガイドとグリッドが一致しているのがわかる。

InDesignの場合、これらの設定を初期の画面で行うため、QuarkXPressのやり方に違和感があるユーザーも出てくるかもしれないが、計算機無しで版面設計ができるようになった事は大きな進歩と言えよう。

図4 設計どおりに版面ができた画面。この機能が今までのQuarkXPressに欠けていた部分でもある。ようやく8で日本語組版の基本ができ上がった

図5 文字の単位はQとポイント。ルーラーの単位は目的に合わせていろいろ変更する事ができる

ちなみに、図版では単位をミリとポイントで表示させているが、初期設定で使用する単位を変更する事が可能だ(図5)。日本語版なだけに、デフォルトの設定が日本向けになっていない点が少々気になるが、アップデータ等で対応してほしいところである。

これなら3.3ユーザーが重い腰を上げて最新環境に移るための一つの要因になるのではないだろうか?そろそろいい加減に古い環境を捨てて新しい環境で作業を行う時期が来ているのだ。

※本稿では開発途中のQuarkXPress 8日本語版を使用しています。発売時には仕様変更されている可能性がありますのでご了承ください。