アルファチャンネルによる透明化が可能に

InDesignのメリットのひとつとしてPhotoshopのネイティブファイルのサポートがある。これのおかげで、面倒なクリッピングパスの作成やグラデーション等のデザインエレメントが一段と使いやすくなっているのは確かだ。今回、QuarkXPress 8でもPhotoshopのネイティブファイルが扱えるようになったとのことで、早速試してみた。

まず最初に用意したのはアルファチャンネルにグラデーションのマスクを持つPSDファイルだ(図1)。これをQuarkXPressに張り込んだところ、何の変哲もないベタ塗りの画像になってしまった(図2)。正直、これでは意味がないが、いろいろいじっているうちに、コンテキストメニューの中に「設定」という項目を見つけた。実行してみたところ、画像に関する項目があった。そこには「マスク」をどう扱うかのオプションがあり、ポップアップメニューでアルファチャンネルを指定してみた(図3)。

図1 A4サイズにベタで塗った画像ファイル。アルファチャンネルにグラデーションマスクを用意してPSD形式で保存した

図2 図1の画像をそのまま張り込んだ状態。この時点ではアルファチャンネルの情報は無視されている

図3 コンテキストメニューで「設定」を実行して現れるダイアログの「画像」部分で、マスクをあらかじめ設定したアルファチャンネルを指定する

図4 ドキュメンの画像がアルファチャンネルで指定した通りのグラデーションに変化したのがわかる

すると、ドキュメントに張り込んだ画像が、アルファチャンネルで指定したグラデーションに変化したのである(図4)。しかし、これくらいはInDesignでもできるので、当たり前といってもいいだろう。問題は切り抜きが楽にできるようになるかである。

透明もサポートし作業効率がアップ

次に用意した画像は図5のように必要な部分のみ残された、いわゆる切り抜き画像である。もちろんパスは付いていない。背景は透明のままで、InDesignならば、そのまま切り抜きデータとして配置される。ではQuarkXPress 8ではどうだろうか?

早速、PSD形式に保存したものを「取り込み」コマンドで読み込んでみた。その結果が図6である。透明部分は透明として、切り抜かれた画像だけが張り込まれたのである。

図5 花の部分だけを切り抜いて、背景を透明にした画像データをPSD形式で保存。InDesignならこれらの透明データも反映されるが…

図6 黒いオブジェクトの上に先ほど保存した図5の画像データを配置した結果。見事に透明部分がドキュメントにも反映されているのがわかる

もちろん、InDesignユーザーなら驚くべき機能ではないが、従来のバージョンではできなかった事だ。InDesignに追われる立場から追う立場となり、様々な機能をどん欲に取り入れていこうとするQuarkの姿勢が伺える機能のひとつといえるだろう。

相変わらず旧環境で作業しているユーザーも、これでまたひとつバージョン3.3や4.1にしがみつかなくてもいい理由ができたのではないだろうか。時代は着実に進歩している。それに見合った機能の追加は正直に歓迎したい。

※本稿では開発途中のQuarkXPress 8日本語版を使用しています。発売時には仕様変更されている可能性がありますのでご了承ください。