実際に発表を行うときは、参加者に提示するスライドだけでなく、発表時に読み上げる原稿も準備しておく必要がある。そこで今回は、PowerPointの「ノート」という機能を使って発表用原稿を作成する方法を紹介していこう。ついでに、ノートを印刷するときのテクニックにも触れておくので、あわせて一読しておくとよいだろう。

「ノート」に発表用原稿を入力

PowerPointの各スライドには、発表用原稿やメモなどを記述できる「ノート」という領域が用意されている。まずは「ノートの領域」を表示する方法から紹介していこう。

編集するスライドを選択し、PowerPointのウィンドウ下部にある「ノート」をクリックする。

  • 「ノートの領域」を開く操作

すると、以下の図のような画面表示になり、各スライドの「ノート」に文字を入力できるようになる。ここには「発表時に読み上げる原稿」のほか、「発表時に注意すべきポイント」、「各スライドに対するコメント」などを自由に記述できる。

  • 「ノートの領域」に発表用原稿を入力

「ノートの領域」が狭くて使いづらい場合は、領域のサイズを変更するとよい。この操作は、「スライド」と「ノート」を分ける罫線を上下にドラッグすると実行できる。

  • 「ノートの領域」のサイズ変更

ノートの編集が終わったら、ウィンドウ下部にある「ノート」をもう一度クリックする。すると「ノートの領域」が非表示になり、通常の編集画面に戻る。

  • 「ノートの領域」を閉じる操作

以上が、各スライドのノートを編集するときの基本的な操作手順となる。ただし、ノートに文字を入力できるだけで、書式指定などのカスタマイズには対応していない。そこで、画面表示を「ノート」に切り替えて編集作業を進めていく方法も覚えておくとよい。

「ノート」の画面表示モード

各スライドのノートを編集する際に、画面表示を「ノート」に切り替えて作業を進めていく方法もある。「表示」タブにある「ノート」をクリックすると以下の図のような画面になり、上部に「スライド」、下部に「ノート」が配置されたA4サイズの用紙が表示される。

  • 画面表示を「ノート」に変更

このままでは文字が小さすぎて読みづらいので、ズームを操作して表示倍率を拡大しておこう(もしくは「Ctrl」キーを押しながらマウスホイールを上へ回転させる)。

  • 表示倍率(ズーム)の拡大

すると、以下の図のような画面表示になる。あとは、ノート(発表用原稿)に文字を追加したり、文字を修正したりするなど、自由に編集作業を進めていけばよい。

  • 「ノートの領域」に文字を入力

さらに「ノート」の画面表示では、文字の書式を指定することも可能となる。重要な部分を「太字」や「赤色」にするなど、ノート(発表用原稿)が読みやすくなるように工夫しておくとよい。なお、この操作手順は「ホーム」タブを使って書式を指定していくだけなので、特に詳しく説明しなくても理解できるだろう。

  • 「ノートの文字」の書式指定

ちなみに、ノートの文字は「左揃え」で配置されるように初期設定されている。これを「両端揃え」に変更するときは、「Ctrl」+「A」キーですべての文字(すべての段落)を選択し、「両端揃え」のアイコンをクリックする。こうすることで、少しは読みやすいレイアウトになると思われる。

  • 「両端揃え」の指定

ノートの編集が済んだら、ウィンドウの右下にある「標準」のアイコンをクリックする。すると、スライドだけが表示される「通常の編集画面」に戻すことができる。

  • 「標準」の画面表示に戻す操作

「ノート」の印刷

作成したノートは印刷して利用するのが基本となる。続いては、ノートを含めた形で印刷する方法を紹介していこう。

「ファイル」タブを選択し、左側のメニューから「印刷」を選択する。すると、ウィンドウ右側に「印刷プレビュー」が表示される。最初は、各用紙に「スライド」だけが配置された印刷プレビューが表示されるはずだ。

  • 印刷プレビュー

ノートを含めた形で印刷するには、印刷レイアウトを「ノート」に変更する必要がある。この操作は「フル ページ サイズのスライド」と表示されている項目をクリックし、「ノート」を選択すると実行できる。

  • 印刷レイアウトの変更

印刷プレービューが更新され、上部に「スライド」、下部に「ノート」が配置された印刷イメージが表示される。

  • ノートの印刷イメージ

あとは、「印刷」ボタンをクリックして印刷を実行するだけ。これで、発表用原稿を「紙の書類」として手元に置いておくことが可能となる。

発表用原稿の文字数が多い場合は?

これまでに紹介してきたように、PowerPointの「ノート」を使って発表用原稿を作成することも可能である。ただし、発表用原稿の文字数が多いと、少しだけ困った現象が生じてしまう。

今回も、画面表示を「ノート」に切り替えて作業する場合を例に、詳しく解説していこう。「ノートの領域」に多くの文字を入力していくと、以下の図のように「ノートの領域」から文字がオーバーフローしまうケースもある。

  • 「ノートの領域」のオーバーフロー

この場合、「ノートの文字」が1枚の用紙に収まらなくなるため、印刷結果が2枚以上に分割されてしまう。こういった問題を解決するには、

 ・文字サイズを小さくして、何とか領域内に収める
 ・要点だけを「箇条書き」で記した発表用原稿にする

などの対策が必要になる。

とはいえ、「文字サイズを小さくする」といっても限度があるし、「要点だけでは心許ない・・・」という方もいるだろう。そこで、印刷時のレイアウトを改善するテクニックを紹介しておこう。

まずは「スライドのサイズ」を小さくする。「ノート」の画面表示では、各スライドが画像として配置される仕組みになっている。このため、右下のハンドルをドラッグして「スライドのサイズ」を小さくすることが可能だ。さらに、「スライド」そのものをドラッグして、位置を移動することも可能である。

  • 「スライド画像」のサイズ変更と移動

続いては「ノートの領域」を大きくする。「ノートの領域」はテキストボックスで作成されているため、上のハンドルをドラッグすると「ノートの領域」を大きくできる。

  • 「ノートの領域」のサイズ変更

このように、各領域のサイズを調整することで、(文字サイズを小さくしなくても)多くの文字を配置できるようになる。

  • ノートの印刷イメージ

これでもまだ足りない場合は、「ノートの領域」の下のハンドルをドラッグして、「ノートの領域」をさらに大きくしてもよい。

このように少し工夫することで、ノート全体を1枚の用紙に収める方法もある。この手法を活用できる場面はかなり多いので、ノートに関連するテクニックとして覚えておくとよいだろう。