日本語入力が必要になるアプリのうち「最も使用頻度が高いのはWord」という人も多いだろう。そこで今回は、Wordに用意されている「日本語入力の補助機能」について紹介していこう。Word独自の機能となるため他のアプリでは利用できないが、こういった機能があることも覚えておいて損はないはずだ。

  • Wordに用意されている日本語入力の補助機能

    Wordに用意されている日本語入力の補助機能

起動直後からIMEオン

他のアプリと違って、Wordは起動した直後からIMEがオンの状態(全角入力モード)になっている。このため、そのままタイピングしていくだけで即座に日本語の入力を開始できる。

  • 起動直後に文字を入力した様子

    起動直後に文字を入力した様子

非常に便利な配慮といえるが、逆にそれがアダとなってしまう人もいるようだ。というのも、いつも最初に「半角/全角」キーを押すクセがついているため、間違ってIMEをオフにしてしまうミスを起こしてしまうようである。

つまり、WordだけIMEオンの状態で起動することが、ミスを誘発する原因となってしまうのだ。このような場合は、IMEを自動的にオンにする機能を無効化しておくとよい。「ファイル」タブを選択し、左側のメニューから「オプション」を選択する。

  • オプション設定の呼び出し

    オプション設定の呼び出し

Wordのオプションが表示されるので「詳細設定」を選択する。この画面にある「日本語入力のオン/オフを自動的に切り替える」がIMEを自動的にオンにする機能の設定項目となる。

  • IMEの自動オンに関する設定

    IMEの自動オンに関する設定

勝手にIMEがオンになるのが嫌な人は、この項目のチェックを外しておくとよいだろう。もちろん、「自動的にIMEがオンになって便利!」と思う人は、初期設定のままWordを使用していけばよく、設定を変更する必要はない。

再変換とクリップボード履歴

続いては、「再変換」と「クリップボード履歴」について紹介していこう。通常、すでに入力されている文字を変換しなおすときは「変換」キーを利用する。Wordでは、この操作を「Space」キーでも実行できるようになっている。誤変換されている文字を選択して「Space」キーを押すと、変換候補が一覧表示されるので、正しい候補を選択しなおす。これで正しい漢字に修正できる。

  • 文字を選択して「Space」キーを押す

    文字を選択して「Space」キーを押す

  • 再変換の候補が表示される

    再変換の候補が表示される

また、「クリップボード」グループの右下にある「小さい四角形」をクリックすると、これまでにコピーした文字の履歴を表示できる。もちろん、これらの語句をクリックして、その文字をカーソル位置に挿入することも可能だ。

  • クリップボード履歴の活用

    クリップボード履歴の活用

なお、再変換については第6回、クリップボード履歴については第2回の記事でも紹介しているので、あわせて確認しておくとよいだろう。

カッコの種類を自動的に合わせる

続いては、「カッコの種類」を自動的に合わせるテクニックを紹介していこう。カッコを含む文章を入力するときは、前後のカッコを含めた形で“よみ”をタイピングするとよい。

  • 前後のカッコを含めてタイピング

    前後のカッコを含めてタイピング

「Space」キーを押して漢字変換すると、以下の図のようになる。最初は「前のカッコ」が変換対象になっているはずだ。

  • 「Space」キーで漢字変換

    「Space」キーで漢字変換

さらに「Space」キーを押してカッコの種類を変更していくと、「後のカッコ」も同じ種類のカッコに自動修正される。

  • カッコの種類の変更

    カッコの種類の変更

このように、前後のカッコを含めた形で“よみ”をタイピングしておくと、「カッコの種類」を自動的に統一できるようになる。これもWord独自の機能となる。

この機能を「すでに入力されている文字」に応用することもできる。前後のカッコを含むように文字を選択し、「Space」キーを押して再変換を実行する。あとは「カッコの種類」を一覧から選択するだけ。すると、それに合わせて「後のカッコ」も同じ種類に統一される。

  • 文字を選択して「Space」キーで再変換を実行する

    文字を選択して「Space」キーで再変換を実行する

  • 再変換で「カッコの種類」を変更した様子

    再変換で「カッコの種類」を変更した様子

このため、タイピング時に「カッコの種類」を気にする必要はない。とりあえず「( )」をタイピングしておき、それを「好きな種類のカッコ」に変換する、という考え方で操作を進めていっても構わない。

今日の日付の自動入力

Wordには「今日の日付」を自動入力する機能も用意されている。たとえば「令和」と入力すると、以下の図のようなポップアップが表示される。

  • 「令和」と入力した直後の表示

    「令和」と入力した直後の表示

この状態で「Enter」キーを押すと、「今日の日付」を自動入力できる。

  • 自動入力された「今日の日付」

    自動入力された「今日の日付」

日付を西暦で記したい場合は「2025年」のように入力すればよい。この方法でも、同様のポップアップを表示できる。あとは「Enter」キーを押すだけ。これで「今日の日付」を自動入力できる。

  • 「今日の日付」を西暦で入力する場合

    「今日の日付」を西暦で入力する場合

なお、Microsoft IMEの予測入力にも「今日の日付」を自動入力する機能が装備されている(詳しくは本連載第8回を参照)。こちらはWord以外のアプリでも利用できるので、あえて覚えておくほどの機能ではないかもしれない。

定型句の活用

Wordには、よく使うフレーズを「定型句」として登録しておけるスニペットツールも用意されている。最後に、この機能の使い方を紹介しておこう。

まずは、フレーズを定型句として登録するときの操作手順だ。登録したい文章を選択し、「挿入」タブにある「クイックパーツ」→「定型句」→「選択範囲を定型句ギャラリーに保存」を選択する。

  • 定型句の登録手順(1)

    定型句の登録手順(1)

以下のような画面が表示さるので、このフレーズに適当な「名前」を付けてから「OK」ボタンをクリックする。

  • 定型句の登録手順(2)

    定型句の登録手順(2)

同様の手順を繰り返して、よく使うフレーズを何個でも「定型句」として登録しておける。登録した定型句を文書に挿入するときは、その位置にカーソルを移動し、「クイックパーツ」→「定型句」から「挿入する定型句」を選択すればよい。

  • 定型句の挿入(1)

    定型句の挿入(1)

  • 定型句の挿入(2)

    定型句の挿入(2)

また、登録時に指定した「名前」を文書に入力して定型句を挿入する方法も用意されている。たとえば、先ほど示した例では「ご多忙」という名前で定型句を登録した。この名前を文書に入力すると、以下の図のようなポップアップが表示される。

  • 名前を入力して定型句を挿入(1)

    名前を入力して定型句を挿入(1)

以降の操作手順は「今日の日付」を自動入力する場合と同じだ。そのまま「Enter」キーを押すと、定型句が挿入される。

  • 名前を入力して定型句を挿入(2)

    名前を入力して定型句を挿入(2)

念のため、登録した定型句の管理方法も紹介しておこう。「挿入」タブにある「クイックパーツ」→「定型句」を選択し、管理したい定型句を右クリックする。すると、以下の図のような右クリックメニューが表示されるので「整理と削除」を選択する。

  • 定型句の右クリックメニュー

    定型句の右クリックメニュー

先ほど右クリックした定型句が選択された状態で「文書パーツ オーガナイザー」が表示される。この状態で「削除」ボタンをクリックすると、その定型句を削除できる。「プロパティの編集」ボタンをクリックした場合は、定型句の登録時と同じ画面が表示される。こちらは定型句の「名前」を変更したい場合などに活用するとよいだろう。

  • 文書パーツ オーガナイザー

    文書パーツ オーガナイザー

ということで、今回はWordに用意されている「日本語入力の補助機能」について紹介した。Wordを使用する機会が多い人は、こういった機能が用意されていることを学んでおくと、日本語入力を少しだけ高速化できるかもしれない。Word限定の機能ではあるが、覚えておくと役に立つだろう。