今回は、Canvaにさまざまな機能を追加できる「アプリ」の一例として、AIを使って「画像生成」や「文章生成」を行う方法を紹介していこう。“ビジネスシーンで使用するプレゼンテーション"という観点では、利用する機会は滅多にないかもしれないが、最先端の技術に触れることができるので、興味のある方は試してみるとよいだろう。

AIで「画像」や「文章」を生成

Canvaの特長のひとつは、最先端のAI技術を積極的に取り入れていること。そこで今回は、AIを使って「画像」や「文章」を生成する方法を紹介していこう。

  • AIを使った画像生成、文章生成

適切な写真素材が見つからなかった場合や、魅力的なキャッチコピーが思いつかなかった場合などに試してみるとよい。

AIで画像を生成する「マジック生成」

それでは、さっそく具体的な操作手順を紹介していこう。まずは、入力した文章をもとに「画像」を自動生成する「マジック生成」の使い方を解説する。

この機能は「アプリ」として提供されているため、最初に「アプリを追加する操作」を行っておく必要がある。スライドの編集画面を開き、画面左側で「アプリ」の項目を選択する。続いて、検索欄に「マジック」と入力して「Enter」キーを押す。

  • アプリをキーワードで検索

検索キーワードに該当するアプリが一覧表示されるので、この中から「マジック生成」を選択する。

  • 「マジック生成」の選択

アプリの説明が表示される。ここで「開く」ボタンをクリックすると、Canvaに「マジック生成」のアプリを追加できる。

  • 「マジック生成」の追加

これで準備は完了。あとは説明文を入力して画像生成を試してみるだけだ。ここでは、「宅配便を自転車で届ける男性、日本の街並み」という説明文で画像を生成してみよう。

  • 生成する画像の説明文を入力

ちなみに「日本の街並み」の説明文は、風景や人物を“日本"に限定するために追加している。この説明文を省略すると、外国の風景(人物)で画像が生成されてしまう可能性が高くなる。

続いて、生成する画像のスタイルを選択する。今回は「写真」のスタイルを選択した。

  • スタイルを選択

最後に、生成する画像の縦横比を選択する。今回は「正方形」を選択した。あとは「画像を生成」ボタンをクリックするだけだ。

  • 縦横比の選択と画像生成の開始

数十秒ほど待つと、AIにより「4枚の画像」が生成される。この中から好きな画像を選択して利用すればよい。

  • AIにより自動生成された画像(4点)

生成した画像をスライドに配置するときの操作手順は、「写真素材」を利用する場合と同じだ。「生成した画像」をクリックすると、その画像をスライドに追加できる。

  • クリックしてスライドに画像を追加

すでに配置されている画像を差し替えたいときは、その画像の上に「生成した画像」をドラッグ&ドロップすればよい。

  • ドラッグして画像を差し替え

以上が、AIで画像を生成して利用するときの操作手順になる。手順そのものは特に難しくないが、「思い通りの画像を生成したい……」となると、なかなか上手くいかないケースが多いかもしれない。

先ほど生成した画像も、「自転車の見た目がおかしい……」、「荷物が固定されていない……」など、細かく見ていくと不適切な部分が散見される。このように思い描いていた画像が生成されなかった場合は、説明文を追加・修正するなどして画像を生成しなおす必要がある。

今度は、説明文を「荷物をバイクで届ける宅配ライダー、日本の街並み」に変更して画像を再生成した例を紹介していこう。

  • 画像の再生成

バイク(スクーター)の方が自転車より“見た目の構造"が簡単になるため、再現度は高くなっているような気もする。しかし、それでも若干の違和感がある。また、「荷物が固定されていない……」という問題は解消されていない。

このように、1~2回程度の画像生成では希望する画像を得られないケースが多いといえる。適切な画像を生成するには、説明文を追加・修正しながら、少しずつ改良を試みていく必要がある。このあたりは“慣れ"と“経験"が問われるだろう。

ちなみに、Canvaを無料プランで使用している場合は、「マジック生成」を使える回数にも注意しなければならない。無料プランの場合、合計50回まで画像生成を行うことが可能だ。使用可能な残り回数は、「マジック生成」の画面の最下部を見ると確認できる。

  • 「マジック生成」を使用可能な回数

合計50回を超えて画像生成を使用したい場合は、Canvaプロなどの有料プランを契約する必要がある。すると、画像生成を毎月500回まで使用できるようになる。

話を元に戻して、「マジック生成」で画像を生成した例を紹介していこう。今度は「バーでビールを飲むペンギン」という説明文で画像を生成した例だ。このように現実ではあり得ない画像を生成することも可能である。

  • 画像生成の例(1)

もちろん、「写真」だけでなく、イラスト風の画像も生成できる。以下の例は、先ほどと同じ説明文で、スタイルに「夢のような」を指定した場合の例だ。

  • 画像生成の例(2)

非現実的な画像を生成する場合は、イラスト風にしたほうが趣のある画像になるケースが多いかもしれない。ただし、それでも「思い描いていた画像」に仕上げるのは難しい。上図の例も、ペンギンの左手が“ビールジョッキ"のような形状になってしまっている……。

念のため、生成した画像を保存する方法についても紹介しておこう。生成した画像を一度でもスライドに配置すると、その画像が「プロジェクト」に自動保存される仕組みになっている。

  • 生成した画像の管理

このため、過去に使用した画像は、いつでも再利用することが可能である。具体的な操作手順は、画面左側で「プロジェクト」の項目を選択し、「画像」の一覧から利用したい画像をクリックまたはドラッグ&ドロップすればよい。

なお、ここで紹介した「マジック生成」のほかにも、Open AIの「DALL E」、Google Couldの「Imagen」など、Canvaには「画像を生成できるアプリ」がいくつか用意されている。無料プランの場合、合計3回までしか画像を生成できないが、興味のある方は試してみるとよいだろう。Canvaプロなどの有料プランを契約すると、これらのアプリを使った画像生成を毎月25回まで使用できるようになる。

AIで文章を生成する「マジック作文」

続いては、入力した文章やキーワードをもとに、AIに作文してもらう方法を紹介していこう。AIに文章作成を手伝ってもらいたいときは、「Canvaアシスタント」のアイコンをクリックし、「マジック作文」を選択すればよい。

  • 「マジック作文」の起動

すると、以下のような説明画面が表示されるので、「試してみる」ボタンをクリックする。

  • 機能の確認

これで準備は完了。あとは、作文してもらいたい文章の説明文を入力し、「生成」ボタンをクリックするだけだ。ここでは、「宅配便の配達時刻を10分単位で指定可能。好きなタイミングで荷物を受け取れるメリットを伝えるキャッチコピーを作成して」という説明文を入力してみた。

  • 説明文の入力

今回の例では、AIにより以下の図のような文章が生成された。ここで「再試行」ボタンすると、別の文章を再生成できる。「挿入」ボタンをクリックすると、現在の文章を入力したテキストボックスがスライドに追加される。

  • 自動生成された文章

  • スライドに追加されたテキストボックス

あとは、テキストボックスのサイズを整えて、文字の書式を指定するだけ。以上が「マジック作文」の基本的な使い方になる。

「マジック作文」により生成される文章は、必ずしも適切な文章になっているとは限らないが、キャッチコピーなどを考えるときの参考としては十分に活用できるだろう。というのも、「画像」と違って「文章」は自分で手軽に修正できるからだ。「マジック作文」により生成された文章をもとに、最適なキャッチコピーに仕上げていく、というのがベストな使い方になるだろう。

なお、「マジック作文」も使用回数に制限が設けられている。無料ブランの場合は、合計50回まで使用可能。有料プランを契約すると、毎月500回まで「マジック作文」を使用できるようになる。

使用可能な残り回数は「説明文を入力する画面」で確認できる。または、テキストボックスを選択し、「マジック作文」をクリックしてもよい。この画面でも、残りの使用回数を確認することが可能だ。

  • 「マジック作文」を使用可能な回数

そのほか、既存の文章を「短縮」してもらう、「もっとフォーマルに」文章を改変してもらう、などの作業をAIに依頼することも可能となっている。

今回の連載で紹介したように、AIを使った先進的な機能が用意されていることもCanvaの特長といえる。本格的にAIを活用していくには有料プランの契約が必要となるが、Canvaプロの利用料金は2024年5月から値下げされており、以前よりも手頃な価格で有料版を利用できるようになっている。

◆Canvaプロの新料金
・月単位:1180円(旧料金は1500円)
・年単位:1万1800円(旧料金は1万2000円)

今回の連載で紹介した「マジック生成」や「マジック作文」のほかにも、さまざまなAI機能を使用可能になるので、AIを積極的に試してみたい方は、この機会に有料プランへの加入を検討してみるとよいだろう。