発表時の演出として「スライドショー」の実行時に各素材をアニメーション表示させる機能も用意されている。ただし、PowerPointのアニメーションとは指定方法が大きく異なるため、Canvaならではの操作手順を学んでおく必要がある。特にタイミングの指定方法は少しわかりにくいので、時間に余裕があるときに実際に試しておくとよい。
アニメーションの指定
スライドショーを使って実際に発表するときに、各素材をアニメーション表示させる機能も用意されている。必須の機能ではないが、スライドショーを彩る演出の一つとして、その使い方を覚えておいても損はないだろう。ということで、今回はアニメーションの指定方法と、タイミングを調整する方法について解説していこう。
まずは、各素材にアニメーションを指定するときの操作手順から解説していこう。素材を選択し、ツールバーにある「アニメート」をクリックする。
指定可能なアニメーションが一覧表示されるので、好きなアニメーションを選択する。アニメーションを選択すると、その動作がスライド上で再現されるので、これを参考にしながらアニメーションを選択していくとよいだろう。アニメーションが気に入らなかった場合は、別のアニメーションをクリックして指定しなおせばよい。
アニメーションを指定すると、そのすぐ下に設定画面が表示される。ここでは「アニメーションを動作させるタイミング」を指定する。
両方 ………… 「開始時」と「終了時」の両方 開始時 ……… スライドを表示したとき 終了時 ……… 次のスライドへ移動するとき
そのほか、アニメーションの「速度」や「向き」を指定する項目も用意されているが、これらの項目は有料プランを契約している方だけが変更できる設定となる。無料プランの場合、これらの設定は変更できない。
アニメーションに「モーションエフェクト」を追加することも可能だ。こちらは、アニメーションと同時に「回転」、「ゆらめき」、「パルス」、「ウィグル」といった“動き"を追加する機能となる。
同様の操作を繰り返して、各素材にアニメーションを指定していくと、アニメーションの指定は完了となる。
そのほか、ページ全体を対象にアニメーションを指定する機能も用意されている。この場合は、「ページのアニメーション」タブを使ってアニメーションを指定すればよい。
アニメーションの指定が済んだら、実際にスライドショーを実行してみよう。スライドを表示するとき(開始時)や、次のスライドへ移動するとき(終了時)に、アニメーションが再現されるのを確認できるはずだ。
なお、スライドショーの操作方法は第10回の連載で詳しく解説しているので、まだ知らない方はあわせて参照しておこう。
アニメーションの削除
続いては、アニメーションを削除するときの操作手順を解説していこう。アニメーションを指定した素材を選択すると、その「アニメーション名」がツールバーに表示される。ここをクリックすると、「アニメーションの設定画面」を再表示できる。
アニメーションを削除するときは、編集画面の下部にある「アニメーションを削除」ボタンをクリックすればよい。モーションエフェクトも追加している場合は、「アニメーションをクリアする」ボタンをクリックすると、すべてのアニメーションを削除できる。
なお、スライドに適用したテンプレートによっては、初めからアニメーションが指定されている場合もある。これらのアニメーションも同様の手順で削除することが可能だ。すべてのアニメーションを一括削除したいときは、「Ctrl」+「A」キーを押して全素材を選択した状態でアニメーションを削除する操作を行えばよい。もちろん、初期設定されているアニメーションが嫌いでなければ、そのまま使用しても構わない。
アニメーションのタイミング指定
各素材に指定したアニメーションは、ほぼ同じタイミングで「左上に配置されている素材」から順番に実行されていく。このタイミングを調整することも可能だ。
タイミングを自分で指定するときは、以下の図で「赤く囲った部分」をクリックし、各ページのサムネイルを表示する。
各ページのサムネイルが一覧表示されるので、これを「タイミング表示」に切り替える。ウィンドウ下部にある「時間」をクリックする。
「サムネイル表示」が「タイミング表示」に切り替わり、各スライドの表示時間(5.0秒)が表示される。続いて、アニメーションを指定した素材を選択し、「…」のアイコンから「タイミングを表示」を選択する。
すると、各スライドの上に「素材タイムライン」(選択している素材の表示時間)が追加表示される。
ちなみに、各スライドの表示時間は「5.0秒」に初期設定されている。このままでは操作しづらいので、各スライドの右端をドラッグして表示時間を適当に延長する。
今回の例では、スライドの表示時間を「15.0秒」に延長した。この時間は、スライドショーを「自動再生」するときの“各スライドの表示時間"となる。普通にスライドショーを実行し、マウスのクリックでスライド表示を切り替える場合は無視されるので、表示時間を適当に延長しても特に支障は生じない。
これで準備は完了。続いては、各素材を表示するタイミングを調整していこう。素材をアニメーション表示するタイミングを調整するときは、「素材タイムライン」の左端をドラッグして開始タイミングを遅くすればよい。
すると、以下の図のような画面表示になり、スライドを表示してから数秒後に「個別配送の仕組み」のテキストボックスがアニメーション表示されるようになる。
あとは、他の素材についても開始タイミングを調整していくだけ。これで各素材を時間差でアニメーション表示できるようになる。
そのほか、「素材タイムライン」の右端をドラッグして終了タイミングを変更することも可能となっている。
ただし、こちらの設定は注意が必要だ。というのも、上図の場合、スライドが表示されてから6.0秒後に素材が自動的に消去されてしまうからだ。このため、口頭で説明している最中に「文字」や「画像」が消えてしまう……、といった事態に陥ってしまう。
よって、特別な意図がない限り、終了タイミングは右端まで伸ばしておくのが基本だ。こうしておくと、マウスをクリックして「次のスライド」に切り替えるまで、各素材を表示したまま維持できるようになる。
なお、タイミングの指定時に“アニメーションが動作する様子"を確認することも可能となっている。タイミング表示の左端にある「再生」ボタンをクリックすると、いちいちスライドショーを実行しなくても、スライドの編集画面でアニメーションの動作を確認できる。
そのほか、「現在の位置を示すライン」を左右にドラッグして、各時点の状況を編集画面で再現することも可能となっている。
アニメーションの開始タイミングを微調整したい場合に重宝するだろう。こちらも便利な機能となるので、使い方を覚えておくとよい。
以上が、Canvaに用意されているアニメーション機能となる。残念ながら、PowerPointのように「マウスのクリック時」にアニメーションを開始する機能は用意されていないようだ。アニメーションの開始タイミングは“秒数"で指定しなければならない。これは少し使い勝手の悪い仕様といえる。
このような仕様のため、アニメーションは“単なる演出"と考えて活用するのが一般的な使い方になる。「口頭で説明するタイミングに合わせて素材をアニメーション表示する」という使い方には向いていない。このあたりをよく理解したうえで、アニメーションを上手に活用していくとよいだろう。