ヒトとAI 【 私の雑記帳 】

サイバー攻撃の多発に…

 

 サイバー攻撃が相次ぐ。今年10月に入り、大阪公立大学や焼肉きんぐ、大和証券の委託先企業のサーバーが攻撃を受け、さらにはGMOリサーチ&AIや第一ライフグループの人事システムなども襲撃された。サイバー攻撃によって顧客などの個人情報が盗み取られ、その悪用が懸念される。

【著者に聞く】関通社長・達城久裕『サイバー攻撃 その瞬間 社長の決定 被害企業のリアルストーリー』

 AI(人工知能)が登場し、その活用で企業の生産性は向上。AIを開発する企業は数兆円単位の設備投資でさらなる開発を急ぐ。

 人工知能が人間の知能を超え、社会に劇的な変化をもたらす転換点を示す〝シンギュラリティ(Singularity)〟という言葉も登場してきた。急速な開発が進む一方で、人はAIをコントロール(制御)できるのかというテーマも現実問題としてわたしたちに重くのしかかる。

 一連のサイバー攻撃も、AIがシステムの弱点を見つけ出し、システム全体を乗っ取ってしまうというマイナス面が現実化したもの。最先端技術は〝両刃の剣〟という側面を持つ。人類社会にとってのプラス(好都合)面とマイナス(不都合)面の2つを併せ持つ。矛にもなれば、盾にもなり、新しい技術が登場するたびに、人類はこのテーマに悩まされてきた。

 

 18世紀後半にイギリスで始まった産業革命。蒸気機関の普及で綿工業、製鉄、蒸気機関車などが飛躍的に発展した。当時、最新技術の蒸気機関は、人から職を奪うとして憎悪の対象となり、〝機械打ちこわし〟運動が起きた。しかし、人類社会は便利さ、効率の良さを追求し、最先端技術を取り込んで発展を遂げてきたという歴史である。

 今回のAIも、人間の知恵や能力を超えることによって、人類が想像しない〝不都合な真実〟をもたらしかねないが、何とかこれを乗り切らねばならない。

 今年6月、米アンソロピック社が最先端AIモデル『クロード・ミュトス』の提供を全ての顧客に対して停止する─と発表した時、〝AIの危険性〟を世界中が知ることになった。AIの活用は進めなければいけないが、分別の無いAI開発では、AIが自己増殖で暴走し、サイバー攻撃といった〝不都合な真実〟が今後ますます増えそうだということである。人類は知恵を出し合い、この難しい命題を克服していかねばならない。

 

日々の備えを!

 サイバーテロからどう身を守るか? ある専門家は、「普段から侵入されにくくする工夫、手立てを取っておくべきだが、日本の企業は概して、そうした備えが弱い」と、次のように続ける。

「家づくりでいえば、全体構造の設計の図面がありますね。水道管の配管や電線の修理をする時には、その図面を頼りに、すぐ対応、処置できます。しかし、企業のシステムに関しては、概して図面が残されていないんですよ。一覧性のある図面がないので、システムの脆弱性をカバーするために改善しようと思っても、仕事がしにくいのが現状です」

 脆弱性を克服するためのシステム改善にはそれなりの投資が必要。「その投資で大丈夫なのかと、緊張感ある経営判断も求められます」と、その専門家は語る。

 ランサム(身代金要求)型のサイバー攻撃は今後も増えるだろう。AIが独自に動く時代となれば、ますますその懸念は高まる。

 人がつくりあげたAIに、人は振り回されてしまうのか? 生成AIの時代は、プラス面もあるが、厄介な時代になったということでもある。AIとの共存・共栄に向けて、何とか皆で知恵を絞り出していきたいものだ。

【 財界BEST AI 100最優秀賞受賞 】 LegalOn Technologies CEO・角田望