【株価はどう動く?】株価は「中東リスク」を織り込んだか?下落調整の終わりを読む

 過去の下落率を 比較すると……

 2026年2月26日、日経平均は5万9332円で当面の天井を付けました。その後、2月28日に米国・イスラエルによるイラン攻撃が始まって株価が急落して以降、下落トレンドが続いています。

 今後は、底値目途がどこになるかが重要なポイントになります。今後の動きとして、中長期波動出発点である25年4月7日のトランプ関税ショックによる安値、3万792円から、26年2月26日までの上げ幅の3分の1押しの5万円近辺、昨年11月、12月の安値である4万8000円台、中長期波動から当面の天井までの上げ幅の半値押しである4万5000円台といういずれかが考えられます。

 3月末時点では、5万円近辺で下げ止まる楽観シナリオではないかと見ています。2026年2月に5万9332円を付けた後、米国・イスラエルのイランへの猛烈な攻撃があったにも関わらず、日経平均は3月23日に付けた5万688円が当面の安値となって、下げ渋っている状況です。

 イランショック、中東リスクを、株価がかなり織り込んだのかもしれません。

 もし、3分の1押しの5万円近辺が当面の安値で、ここで日柄調整に入ると、比較的早く日本の株価は底入れして、戻ってくる可能性が出てきます。

 3月23日の5万688円が一番底となって、この後、もう一度下げて二番底を付けた後、株価が上昇してくるのではないかと見ていましたが、3月30日に、この安値をザラ場で下回って二番底が入りそうです。

 ただ、2月26日に6万円寸前で天井を付けて大きく下げていますから、通常は底入れするのには時間がかかります。どれくらいの時間がかかるのかを時間の波動で見ると、一相場あって天井を付けた後の最も短い波動は2ないし3カ月、次の約半年、さらに長引く場合は、12ないし13カ月です。

 振り返ると、08年のリーマンショックは10月に天井を付けました。世界大恐慌になるのでは?という危機でしたが、底入れしたのは09年3月9日、ちょうど6カ月でした。

 今回は地政学リスクで市場は中東危機の拡大を懸念して下げていますが、リーマンショックほどの危機ではないのではないかと思われます。

 リーマンショックは「システミックリスク」(個別の金融機関の支払不能等が他の金融機関、金融システム全体に波及するリスク)で、当時の大手投資銀行・リーマンブラザーズが破綻した他、いくつかの銀行、投資銀行が破綻し、他社に合併されました。

 この危機を半年で織り込んだわけです。ですから私は、今回のイランショックによる悪影響は長くて3カ月ではないかと見ています。今の中東リスクは早ければ4月下旬、どんなに遅くとも5月末までに決着がつく、あるいは一段落して、株価はその後戻ってくるというのが時間の波動から見た読みになります。

 もし、中東危機がさらに拡大して長引くようなら、数カ月の日柄調整を要するかもしれません。どちらにしても、4月から5月末にかけて、投資家の皆さんは危機が去るまで我慢が必要です。「待てば海路の日和あり」というところでしょうか。

 底入れした後、株価がもし上がるなら、国内要因では「高市トレード」が再び復活します。そして石油価格が頭打ちとなり落ち着いてくれば、米国もまた再び金利を下げる方向に向かうでしょう。今は原油価格が高く、金利も高止まりしています。

 石油価格が下がる、下落トレンドに入ると、日柄から言って5月中旬に、新しいFRB(米連邦準備制度理事会)議長が就任します。この時期から米国は利下げするかもしれません。これは米国株にプラスで、連動して日本株も上がるでしょう。

 ただし、米国が利下げすると日本は円高になる可能性があります。円高で日本の株がどれだけ下がるのかを見極めたいのですが、過去の円高で最も下げたのは24年8月5日です。これが日銀のサプライズ利上げがあり円高になったのを嫌気して、日経平均が4400円下げました。

 ただ、後から見ると絶好の買い場で、この時に株を売った人は皆、損をしています。こうした学習効果がありますから、この後、5月以降に多少円高になっても株価には前回ほど響かないのではないかと見ています。

 当面は中東情勢を見守る動きですが、相場の波動から言えば4月下旬、遅くとも5月下旬までに株価の下落調整局面が一段落し、中東リスクを織り込んで、5月連休前後から株価は反騰を開始し、夏場に高値を付ける可能性が高いのではないかと予想しています。

 野村證券が発行している情報誌『野村週報』は直近、日経平均の「下落率」を特集していました。第1位は87年10月20日の「ブラックマンデー」で14・9%下落しました。

 第2位が24年8月5日の日銀のサプライズ利上げショックで12・4%、第3位が08年10月16日のリーマンショックで12・41%、第4位が11年3月15日の東日本大震災リスクで10・55%、第5位は1953年3月5日の「スターリン暴落」で10%の下落でした。

 今回のイラン攻撃ショックのランキングはどうか。26年3月9日に日経平均は2892円下げました。これが5・2%でした。ちなみに20位を見ると6・61%ですから、今回の下落は20位にも入っていませんでした。

 『野村週報』では大きく株が下げる時には、2つのタイプがあると指摘しています。1つはリーマンショックのようなシステミックリスクです。もう1つが戦争、紛争などの地政学リスクや大災害です。後者の場合には、一過性ということで比較的短期に下落が終わっています。

 今回のイラン攻撃ショックが一過性のものならば、2ないし3カ月で今の下落調整局面は一段落するのではないかと見ています。ですから5月末に向かって個人投資家にとっては、絶好の買いチャンスがやってくる可能性があります。

 特に11月の中間選挙を意識したトランプ大統領は年央までに問題解決して、年後半は米国に好況、株高を呼び込むような政策を出してくるのではないかと予想しています。