鹿児島県のトカラ列島にある中之島(十島村)で、国内では45年ぶりに新種の鳥が見つかったと、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)と森林総合研究所(茨城県つくば市)が発表した。「トカラムシクイ」と名付けた手に乗るサイズの鳥で、伊豆諸島に生息する「イイジマムシクイ」に似ているが、DNA解析や鳴き声を調べた結果、別の種であることが分かった。
山階鳥類研究所の齋藤武馬(たけま)研究員(分類学・系統学)によると、1989年に発表された論文でイイジマムシクイと同種の鳥が中之島にいるとされていた。だが、直線距離で1000キロメートルも離れた場所に分布する同種の個体群間では、なにか違いがあるのではないか、と疑問を持っていた。
齋藤研究員らの国際研究グループが約10年かけて、両者のさえずり、脚の長さ、くちばしの先から後頭部までの長さを計測し、これらの違いから中之島の鳥は新種であることを明らかにした。見つかった場所から「トカラムシクイ」と名付けた。
DNA解析では、イイジマムシクイとトカラムシクイは280万~320万年前に分岐したと推定された。これらの結果について、「身近な鳥という生き物でも、まだまだ研究し尽くされていないんだなと思った」と振り返る。学名の命名がともなう、新種の鳥が国内で見つかったのは、1981年に記載された沖縄本島のヤンバルクイナ以来45年ぶりとみられる。
トカラムシクイはトカラ列島の中でもいくつかの島に分布するが、中之島でしか確実に繁殖している記録がなく、絶滅が危惧されている。トカラムシクイの生息地では、松枯れやノヤギによる環境破壊、ニホンイタチなど外来動物による捕食の脅威など、生息環境の悪化が懸念されており、鳥だけでなく生息地を含めた保全対策が求められている。
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