ソニーグループは、自社開発の「におい提示装置」で使う「嗅覚検査用カートリッジ」の将来的な医療現場での活用に向け、国内第II相臨床試験を開始したと3月30日に発表。「臨床現場での手軽で安定した嗅覚検査の実用化を通して、人々の健康への寄与をめざす」としている。
同社の嗅覚事業による取り組みで、国内第II相臨床試験では嗅覚感度の判定が必要な患者を対象に、このカートリッジを用いた嗅覚検査における嗅覚度の分類能力について探索的に評価。これにより、今後実施予定の第III相臨床試験の設計に必要なデータの取得をめざす。
ソニーが開発した“におい提示装置”「NOS-DX1000」は、学術研究・企業用途向けに2023年3月に発売済み。医療機器ではないが、多数の嗅素(においの素)を手軽に制御し、混在させずに均一に提示できる「Tensor Valve」(テンソルバルブ)テクノロジーを搭載しているのが特徴だ。
今回臨床試験を行う嗅覚検査用カートリッジは、同装置の専用カートリッジで、中には嗅覚検査に用いられる複数の嗅素を封入。においの漏れや混ざりを防ぎつつ、検査プロセスを簡便化することで、被験者と医療従事者の双方にとって負担の少ない嗅覚検査の実現をめざしている。
同装置は、においの提示を機械化して測定プロセスを簡易化する仕組みを備えるほか、室内へのにおいの汚染を抑制し、提示後には残ったにおい成分を速やかに除去する脱臭機構なども搭載。関連商品として、最大40種の嗅素をユーザー自ら注入できるカスタムカートリッジ「NOS-CK10」も2023年12月に発売している。
近年、嗅覚能力の低下は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患における前臨床症状や前駆症状のひとつとして報告されている。これらの疾患の早期発見の観点から、嗅覚検査を手軽に実施できることが医療現場で望まれていることが、今回の臨床試験の背景にある。
ソニーの嗅覚事業では、今回の第II相臨床試験の結果を元に、第III相臨床試験を計画し、早期に薬事申請ができるよう準備を進めていく。


