日立製作所は3月27日、三菱UFJ銀行と、脱炭素型モビリティ向けの車両・充電インフラ導入を支援する事業共創モデル「NextGen(ネクストジェン)プロジェクト」を拡大する覚書(MoU)を締結したと発表した。両社は、ファイナンススキームとエネルギーソリューションを組み合わせ、電動化移行における課題解決をめざす。
NextGenプロジェクトは、日立のグループ会社で欧州を中心にEVソリューションなどを提供する日立ゼロカーボンが、Battery-as-a-Service(BaaS)事業の一環として、英国のファースト・バス向けに電動バス1000台のバッテリー充電マネジメントサービスを提供したことを起点とする。三菱UFJ銀行は2024年5月から、特別目的会社(SPV)を通じた同プロジェクトへの出資や、BaaS事業に基づく電動化資産の調達・運用支援を含む協業を進めてきた。
今回のMoUでは、英国で提供してきたバッテリー中心の支援を、より多くの国・地域や多様な設備・インフラにも適用できる仕組みへと拡大する。対象には、EVや充電インフラなどの脱炭素型モビリティ資産、エネルギーマネジメントシステムに加え、産業分野や電力網、データセンター向けの電力設備なども含まれる。また両社は、交通事業者による脱炭素型モビリティ資産導入に向け、SPVの構築・拡大も進める。
日立では、戦略SIBビジネスユニットが本プロジェクトを主導し、日立エナジーを含むグループ横断の知見を活用する。日立ゼロカーボンのデータドリブンなソリューションを基盤に、資産のパフォーマンス管理やライフサイクル最適化に関するマネージドサービスを提供するほか、「Lumada 3.0」を体現する次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の拡充を図り、モビリティ向け車両や充電インフラの運用高度化・効率化をめざす。
電動輸送分野への世界の投資額は2024年に約7500億米ドルに達し、エネルギー転換に向けた投資の中で最大の分野とされる。一方で、多くの交通事業者は資金調達の制約や、大規模な電動化移行に伴う運用面の複雑さに課題を抱えているという。両社は、資金調達とマネージドサービス、データ活用による運用最適化を組み合わせることで、NextGenプロジェクトを脱炭素移行を加速させる横展開可能な仕組みとして拡大する方針だ。
また、NextGenプロジェクト拡大の一環として、日立ゼロカーボンと三菱UFJ銀行は、ノルウェーの主要公共交通会社Boreal Norge ASおよび子会社Boreal Buss ASともMoUを締結した。Borealは3000人以上の従業員を擁し、複数地域で輸送サービスを展開し、850台以上のバスと35隻のフェリーを含む車両群を運営している。本協業では、同社の電動化移行計画の推進や運用リスクの低減に加え、サービスの最適化や運営契約の変化に対応した競争力強化への寄与を検討するとしている。
