先行き不透明感が増す国際情勢、 イラン問題が混沌とする中─ 【 日本の針路と経済人の役割 】

混沌とする世界情勢の中で……

 

 混沌とする世界情勢の中で、日本は新たな政治・経済秩序をどうつくるか─。 

 米国とイスラエルのイラン攻撃で世界全体が混迷し、イランによる〝ホルムズ海峡封鎖〟で全石油資源が高騰。1バーレル=100ドルと年初の倍の金額に。これは世界最大の産油国である米国にも跳ね返り、ガソリン価格が急騰。クルマ社会の米国にも甚大な影響を与えている。 

 世界最大の産油国は米国(日量約2000万バーレル)で、2位は中東・サウジアラビア(同約1080万バーレル)である。その米国内ですら世界の石油先物相場の跳ね上がりの影響から免れないという現実。 

 今回のイラン攻撃は友国・イスラエルのネタニヤフ政権の〝勧‌誘〟があったとされる。当初、短期間で決着がつくと米トランプ政権は見込んでいた節があるが、今や完全に〝膠着状態〟。 

 イランの前最高指導者・ハメネイ師など指導者層は今回の米国の作戦で殺害されたと言われるが、イランではイスラム主導による体制の崩壊は起きていない。イランのガバナンスは正規軍と革命防衛隊の二本立てとされる。 

 専門家筋によると、いま正規軍と革命防衛隊は米軍とイスラエル軍の地上侵攻に備えて準備を進めていると言い、「地上戦になると従来の航空戦とは違って米側にも被害が出る。航空戦以上の被害が広がる可能性がある」と指摘する。 

 また、防衛専門家は「米国は地上戦に二の足を踏むのではないかとみているが、もし攻撃に踏み切った場合、核汚染がイラン国内のみならず、湾岸全体に広がる危険がある」と指摘する。 

 下手をすれば第3次世界大戦に突入ということだが、イランは核濃縮を進めており、地上戦が始まった場合には、米軍・イスラエル軍側にも相当深刻な被害が出る可能性が大きい。こうした状況下で、日米首脳会談が3月19日(木)に開かれる。 

 訪米した高市早苗首相にトランプ大統領が日本に対して「イラン制裁にもっと関わるべきだ」と呼びかけた場合に、日本がどう呼応するかということが今回の首脳会談のポイントとなる(2026年3月16日時点)。 

 現在の日本国憲法、そして関連する法律の枠内で直接日本は海外の戦闘に加わることができないと規定されている。しかし、日本の機雷敷設に対する掃海技術の高さから「トランプ大統領は掃海を要請してくるのではないか」という見方もある。 

 機雷の掃海は軍事行動とみなされ、日本の艦船が攻撃を受ける可能性が高い。日本にとっても、今回のイラン問題は非常に微妙かつ重要な要因を含む。 

 日本は1953年のイランとの国交回復以来、イランと友好関係を結んできた。日本は西側からイランが制裁を受けている中、イラン産原油を出光興産の「日章丸」が日本に運び込んだ。 

 そうした経緯もあって、イラン側は日本への敬意を払い、日イ両国は友好関係を維持してきた。この両国の関係が今後どう推移するのかについて予断を許さない状況が続く。 

 今は、日本にとってはまさに〝股裂き〟の状態である。

 

日本の自立・自助の国づくりへ

 

 国際政治はまさに有為転変。第1次世界大戦を受けて、1945年に第2次世界大戦が終わった後、80余年が経つ。その間にもキューバ危機、ベトナム戦争、アフガン戦争、さらには湾岸戦争など、世界各地で戦争や紛争が続いてきた。 

 日本はこの間、平和が続いたという受け止め方があるが、現実の世界では戦争や紛争があちこちで起きてきたということ。 

 こうした中で日本では「自分の国は自分で守る」という考えが強くなってきた。核を持つ中国、ロシア、そして北朝鮮の3カ国に取り囲まれ、どう自らの平和を守り抜くかという戦後最大の課題である。 

 1951年のサンフランシスコ講和条約の締結(発効は1952年)で主権は回復したものの、日本国内に米軍基地は存在し、日米同盟という体制で日本の平和は保たれてきている。 

 世界最大の経済大国・軍事大国である米国によって第2次世界大戦後の国際秩序は構築されてきた。その米国の国力が相対的に低下し、関税などで自国優先主義を強力に推進。ロシアは2022年にウクライナに武力侵攻し、中国は台湾侵攻の準備を着々と進めている中、いつ何時、日本の近隣で緊急事態が発生するか分からない。 

 既に市場は危機管理状態にある。原油相場は1㌭=100㌦に近い水準。金の価格も2025年12月以降、急上昇するなど先行き不透明感が増して波乱気味である。こういう中で日本の安全保障をいかに確保し、強い経済を構築するかという現下の命題である。 

 産業界は人口減・少子高齢化で国内市場が縮小することも配慮してグローバル化を進めてきた。このグローバル市場がいま混沌としている。かつて世界中の投資家による円買いが進んだものだが、昨今はドル買いが先行し、円安が続く。通貨の相場は、その時のその国の国力を表すと言われるが、その見方によれば、日本の存在感は低下していることの現われとも言える。 

 今後、世界情勢が混沌としていく中で、日本の基本軸をどう見据えるか。同盟国の米国に対しても筋を通すべきは通し、何とか秩序を取り戻したいものである。政治の領域で対立が続く中、世界中にネットワークや経済的拠点を持つ経済人の使命と役割は重い。この混乱・混迷は当分続く。その中で合理性を持つ経済人こそに〝つなぐ〟機能と役割が求められる。 

 つなぐ役割を担うのは学界も同じである。大学改革を進める某大学トップは「各国や各地域の頭脳を集めるプラットフォームの役割を果たし、国と国をつなぐ役割を持ちたいと思う」と話す。日本でも産学連携が大事な時であり、まさに転換期だ。 

 自らの針路は自らの力で切り拓く─。「大きな構想力を持ち、欧州やアジア、あるいは新興国の有志と手を取り合い、新しい国際秩序の構築に向けて行動するときが来ている」という指摘もある。使命感と覚悟が求められる時代である。