リコージャパンは3月19日、東京都建設局が進める石神井川護岸整備事業に伴い計画されている河川管理用道路の設計業務において、「RICOH Virtual Workplace(リコーバーチャルワークプレイス)」を提供し業務効率化を支援したことを発表し、説明会を開いた。
護岸上に計画された道路設計案をVR(Virtual Reality)空間上に再現し、シミュレーションを行うことで、関係者間の情報共有および合意形成を迅速に進められるようになり、業務効率化と生産性向上を実現したという。
なぜ建設現場で“手戻り”がなくならないのか
労働人口の減少や業務オペレーションの複雑化などを背景に、ICTを活用した生産性の向上が求められている。BIM(Building Information Modeling / Management)やCIM(Construction Information Modeling / Management)の導入も進んでいるが活用は局所的にとどまっており、デジタルツールの業務適用が急務とされる。
特に建設業においては、意匠・構造・設備の干渉や納まり不備が施工段階で発覚する場合もあり、後工程での変更対応がコスト増大と工期遅延の原因となっている。
建設業では複数の関係者がコミュニケーションを取りながら意思決定を行う場面が発生するが、その際には、関係者全員が資料を共有しながら建設プロセスや完成形のイメージを一致させる必要があり、合意形成に要する時間が課題となっていた。
リコー GENBA DX事業室の前鼻毅氏は「修正コストはプロジェクトのフェーズが進むごとに増えるとされ、施工段階での修正コストは設計段階の10倍以上だという調査もある」と語っていた。
そのため、従来は施工段階で発覚していた不整合や課題を設計段階から前倒しで解決する「フロントローディング」が注目されている。
フロントローディングにより早期に詳細な検討を行うことで、設計品質の向上と後工程での手戻り防止が期待できる。
VRで“完成後”を事前に体験できる「RICOH Virtual Workplace」
フロントローディングに役立つソリューションが、リコーの「RICOH Virtual Workplace」だ。
同ソリューションは、複数の3Dデータを組み合わせてVR空間上に計画構造物を再現し、関係者がヘッドマウントディスプレイを装着して完成後の現地にいるような臨場感を体感できる。
BIM / CIMやスキャンデータを組み合わせてユーザーがVR空間を作成でき、複数人が一緒にVR空間を共有しながら検討を進められる。OpenVRに対応し、自社でVR空間を作成するほか、リコージャパンがヘッドマウントディスプレイまで含めた提供も可能。
周辺環境も含めて可視化されたVR空間の中で施工上の課題を共有することで、施工着手後の変更や手戻りを回避し、設計検討業務の効率化を図る。
協議は2回から1回に、VRが変えた合意形成
東京都建設局が進める石神井川護岸整備事業に伴い計画されている、河川管理用道路の設計業務を受託したドーコンは、合意形成に同ソリューションを活用。洪水および災害の防止に向けた、河川環境の整備と保全に向けた検討を進めた。
発注者と受注者が一緒にVR空間を確認しながら検討できるようになったことで、施工後に想定される護岸と橋の接続部の高さの差異や、沿道と住居入口との高さの差異など、細部の取り合いについても改善イメージを共有できるように。実際に現場を見ているかのような臨場感のある齟齬のない情報共有が可能となり、円滑かつ効率的な合意形成が実現されたとのことだ。
RICOH Virtual Workplaceを導入したドーコン東京支店の主任技師 松田達生氏は「以前は二次元の図面を共有しながら複数人で検討していたのだが、VR空間を共有しながら議論をできるようになった。従来は2回ほど必要だった協議が1回で済むようになった」と話していた。





