IHIと米X-energy Reactor Companyは、高温ガス炉技術分野における協業の可能性の検討・推進を目的とする覚書(MOU)を締結したと3月13日に発表。X-energyが開発中の先進小型モジュール炉「Xe-100」などの導入支援に向け、主電源系機器における連携を進める。
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左がX-energy Executive Vice President & Chief Commercial OfficerのDinkar S. Bhatia(ディンカー・S・バティア)氏。右は、IHIで資源・エネルギー・環境事業領域 副事業領域長を務める、執行役員の長谷川恭之氏
この提携は、X-energyが144基の商業受注に対応するためサプライチェーンを拡大する中で、Xe-100の重要かつリードタイムの長い部品のサプライヤー基盤を拡充することを目的としたもの。原子力グレード部品の商業規模での製造機会を模索するための協力枠組みを確立し、日米の産業貿易上の優先事項と、X-energyの11ギガワット(GW)規模の商業パイプラインの実行の両方を支援するものと位置づけている。
X-energyの供給戦略においては、生産能力と供給の確実性を確保するために複数の認定メーカーとの提携を重視しており、IHIとの今回の合意は、X-energyの既存の商業サプライヤー契約を補完するものと期待されている。
今回の合意に基づき、両社はX-energyの高温ガス炉(HTGR)で使われる重要部品の製造機会について共同で評価を行う。X-energyは「IHIは、HTGR向けの安全上重要な各種部品の製造において豊富な経験を有するほか、日米の小型モジュール炉(SMR)サプライチェーンの広範な開発を支援するため、日本の材料サプライヤーや部品メーカーとの強固な関係を築いている」としている。
IHIによれば、今回の協業範囲は以下の通り。主電源系機器の将来的な製造に関する協業と、情報交換のための協力枠組みを提供するとしている。
- 原子炉圧力容器
- 原子炉内構造物
- 蒸気発生器 圧力容器
- 蒸気発生器 内部構造物
- クロスベッセル
米メリーランド州ロックヴィルに本社を構えるX-energyは、Kam Ghaffarian(カム・ガファリアン)博士が2009年に設立した、地上エネルギーと宇宙推進の両方の用途向けに原子力ソリューションを開発する新興企業。同氏は、Intuitive MachinesやAxiom Spaceといった新興宇宙企業の共同設立者としても名を連ねている。
X-energyは現在、米国と英国における商業パートナーシップを通じて、11GW超の新規原子力発電を開発中。
米テキサス州では米国エネルギー省の「先進原子炉実証プログラム」(Advanced Reactor Demonstration Program)の下で、4基の原子炉からなる発電所の建設計画を推進しており、それに続いてエナジー・ノースウェスト(Energy Northwest)による「カスケード先進エネルギー施設」(Cascade Advanced Energy Facility)も予定されている。これは2039年までにAmazonと共同で、少なくとも5GWを稼働させる複数のプロジェクトの第一弾と位置づけられている。また、英国初の先進原子炉群として、セントリカ(Centrica)から6GWの供給確約も得ているとのこと。
今回のIHIとのMOU締結を受けて、X-energyの最高商業責任者(CCO)であるディンカー・バティア氏は「新規原子力発電所を大規模に導入するには、単一のサプライヤーでは到底及ばない生産能力と専門知識、そして事業推進に尽力する提携パートナーによるグローバルな連携体制が必要だ。IHIとの協業の機会を模索し、日本の優れた製造技術と米国のイノベーションを融合させ、両社が共有する優先課題を推進できる可能性に期待している」と述べている。