リコージャパンとセキュアは3月9日、オフィス空間などフィジカルセキュリティ分野の事業拡大を目的とした資本業務提携契約を締結したことを発表した。出資額は9.6億円。両社はデータ活用とAI分析により、ワークプレイスのDX(デジタルトランスフォーメーション)とセキュリティ強化を同時に実現できるソリューションの創出を目指す。

  • (左から)リコージャパン 取締役 常務執行役員 デジタルサービス企画本部 本部長 宮本裕嗣氏、セキュア 代表取締役社長 代表執行役員 CEO 谷口辰成氏

    (左から)リコージャパン 取締役 常務執行役員 デジタルサービス企画本部 本部長 宮本裕嗣氏、セキュア 代表取締役社長 代表執行役員 CEO 谷口辰成氏

リコージャパンはワークプレイス事業を強化

近年は人手不足への対応や多様な働き方を促すための取り組みとして、労働生産性の向上とリスク対策を両立するワークプレイス構築への関心が高まっている。

こうした市場環境に対し、デジタルサービスの会社へ変革を図るリコーグループは注力領域の一つにワークプレイスエクスペリエンス(以下、WE)事業を挙げている。WEとは、社員がオフィスで働く際に感じる体験や印象を向上させることを目的とした取り組みを指す。

働く場所にとらわれないコミュニケーション環境の構築や質の高いコラボレーションを支援して最適な働く空間を提供することで、創造力の発揮を促進する。

  • リコーの注力領域

    リコーの注力領域

オフィス空間を支援する「RICOH Smart Huddle」

WE事業を展開する際にリコージャパンが掲げるビジネスコンセプトが「RICOH Smart Huddle(リコースマートハドル)」だ。オフィス設計やオフィス家具の選定、工事の施工および管理まで同社が手掛ける。

RICOH Smart Huddleのコンセプトにおいては、オンライン / オフラインを問わない情報共有を可能とする「コミュニケーションサービス」と、オフィス空間を使う人が価値を最大限に発揮できるワークプレイスを実現する「スペース(空間)マネジメント」を展開する。

  • 「RICOH Smart Huddle」のコンセプト

    「RICOH Smart Huddle」のコンセプト

空間利用を可視化する「RICOH Spaces」

このうち、「スペース(空間)マネジメント」を具体化するソリューション群が、"はたらく"を可視化する「RICOH Spaces」。座席や会議室の予約管理、来客受付、稼働実績の分析など、空間の利用状況の管理からデータ管理までを一貫してサポートする。

同社がRICOH Spacesを展開する上で、サーバやPCなど情報資産に対する不審者の侵入、盗難、破壊の防止など、フィジカルセキュリティ(物理的な対策)を求める声が増えてきたとのことだ。

フィジカルセキュリティ領域でセキュアと協業

そこで同社は、顔認証の入退室管理システムや管理カメラ、空間内の来店・混雑分析を得意とするセキュアとの協業を開始する。フィジカルセキュリティ領域の事業を拡大することで、ワークプレイスのDXとセキュリティ強化の両立を進める。

  • リコージャパンはフィジカルセキュリティ領域の事業を拡大する

    リコージャパンはフィジカルセキュリティ領域の事業を拡大する

リコージャパンは2018年からセキュアのソリューションを一部販売開始。2022年に本格的に展開を開始して以降は、年率換算で約17%の成長率を記録しているという。

リコージャパン 取締役常務執行役員の宮本裕嗣氏は「ワークプレイスのDXを進める上で、フィジカルセキュリティに関するセキュアの高い知見やスキルを、リコーグループの顧客基盤の中で価値提供していきたい」と述べていた。

  • リコージャパン 取締役 常務執行役員 デジタルサービス企画本部 本部長 宮本裕嗣氏

    リコージャパン 取締役 常務執行役員 デジタルサービス企画本部 本部長 宮本裕嗣氏

ハードとソフトを一体で提供するセキュアのフィジカルセキュリティ

国内に500~600万台以上設置されているとされる監視カメラは、主な用途は防犯や事後確認の映像記録にとどまる。フィジカルセキュリティ領域の既存市場は、主にビル建設時に設置される設備が多く、大手電機メーカーやゼネコン・サブコンが手掛けていた。

しかし最近では、いわゆるバイトテロのような内部人材による不正などを受け、大企業だけでなく中堅・中小企業にも防犯やセキュリティのニーズが拡大しており、設備の設置と運用に関するニーズも多様化しているという。

RICOH Spacesとのデータ連携

こうした課題に対しセキュアは、監視カメラをビジネス課題を解決するためのツールと位置づけ、ハードだけでなくソフトやネットワークも含めた一連のソリューションとして展開する。

  • セキュアが提供するソリューションの特徴

    セキュアが提供するソリューションの特徴

両社は今後、セキュアが提供するフィジカルセキュリティ分野のデータと、RICOH Spacesとのデータ連携を予定している。無人受付システム、会議室予約システム、座席管理システムを手掛けるリコージャパンのソリューション群にセキュアの入退室管理システムを組み込むとのことだ。

  • RICOH Spacesにセキュアのソリューションを組み込む

    RICOH Spacesにセキュアのソリューションを組み込む

ワークプレイス全体のエコシステム構築へ

さらに将来的には、他社ソリューションの位置管理システムや勤怠管理システムなどを組み込み、エコシステムを拡大してワークプレイス全体の価値最大化を目指す。

セキュア CEOの谷口辰成氏は「リコージャパンとの協業により、これまでになく広い業界に当社のソリューションを届けられるようチャレンジしていきたい」と語っていた。

  • セキュア 代表取締役社長 代表執行役員 CEO 谷口辰成氏

    セキュア 代表取締役社長 代表執行役員 CEO 谷口辰成氏