NECと三菱地所は3月5日、顔認証技術の活用を軸とした統合型権限管理システム「ReconIDs(レコナイズ)」(商標登録申請中)を共同開発し、運用を開始したことを発表した。

今回発表されたシステムは、オフィスビルにおける共用部及び専有部セキュリティの権限管理を一元化するもので、オフィスビル運営の効率化・高度化を実現するという。

説明会には、三菱地所 DX推進部の篠原靖直氏、NEC スマートリテール統括部の吉廣祐氏が登壇し、同システムを紹介した。

  • 「ReconIDs」の利用シーン

    「ReconIDs」の利用シーン

「ReconIDs」の開発背景

昨今、社会全体でセキュリティの在り方を再考する動きが加速しており、オフィスビルや商業施設、公共空間においては、ICカードの紛失・盗難・なりすましといった、従来のICカードや暗証番号による認証では対応しきれない課題が顕在化しており、より高度で柔軟な認証手段へのニーズが高まっている。

篠原氏によると、「特にオフィスビルでは、共用部・専有部など、複数のICカードを持ち歩く煩雑さや、管理会社・テナント企業の管理部門における権限登録・管理の負荷が大きな課題になっている」という。

  • 「ReconIDs」の開発背景を説明する篠原氏

    「ReconIDs」の開発背景を説明する篠原氏

セキュリティと運用負荷の両面で改良が求められている中、顔認証は非接触でありながら高精度な本人確認が可能であり、感染症対策や利便性、安全性の観点からも実用性が高い技術であるため、セキュリティレベルと就業者の利便性の双方を向上させる手段として、顔認証の導入が急速に進んでいる。

また、複数拠点を利用するといった働き方の多様化に伴い、ビルをまたいだセキュリティ管理の必要性が高まっており、統合的な権限管理が企業のDX・業務効率化推進における重要な要素となっている。

このような背景を踏まえ、三菱地所とNECは業務提携契約を締結。現場の運用課題に即した、実用性と拡張性を兼ね備えたシステムとして、顔認証技術の活用を軸とした統合型権限管理システム「ReconIDs」を共同開発したという。

「ReconIDs」の特徴

「ReconIDs」の特徴としては、「複層的な権限設定による柔軟な管理運用」「複層的な権限設定による柔軟な管理運用」「クラウドベースによる高セキュリティ運用」の3点が挙げられる。

  • 「ReconIDs」のデモンストレーションの様子

    「ReconIDs」のデモンストレーションの様子

複層的な権限設定による柔軟な管理運用

共用部のセキュリティを管理するビル所有者・管理会社は、テナント企業ごとに一部の権限を付与することで、各企業が独自に従業員の情報登録・管理を行える仕組みを構築できる。

これにより、ビル所有者・管理会社側が個人情報を直接扱う必要がなくなり、プライバシーの保護と管理業務負荷の軽減が実現する。

複数拠点・ビルをまたいだ一括管理

「ReconIDs」では、共用部・専有部を含めた複数ビルのセキュリティを、一つのアカウントで統合的に管理することが可能。

複数の拠点を持つ企業は、ビルごとに異なるセキュリティの権限情報を個別に管理する必要がなくなる。

クラウドベースによるセキュリティ運用

登録された顔情報や権限情報は、クラウド上で高いセキュリティ環境のもと管理される。 これにより、情報漏洩リスクを低減するとともに、ネットワーク接続環境があれば、遠隔からの登録・管理に加えて、利用者個人が自身で顔写真を登録することもでき、柔軟な運用が可能になる。

  • 「ReconIDs」の特徴・イメージ図

    「ReconIDs」の特徴・イメージ図

今後の導入予定

「ReconIDs(レコナイズ)」は2025年10月より、三菱地所プロパティマネジメントの本社の専有部セキュリティに先行導入され、実運用を開始しており、利用者からは、顔認証による入退管理の利便性と、権限付与の即時性が高く評価されているという。

また、2026年2月には三菱地所本社(大手町パークビルディング)および三菱地所グループ社員が利用できるグループオフィスであるMIX丸の内(丸の内二丁目ビル)への導入も完了し、複数拠点をまたいだ運用も開始しているとのこと。

  • すでに導入されてる丸の内二丁目ビルと大手町パークビルディング

    すでに導入されてる丸の内二丁目ビルと大手町パークビルディング

今後、三菱地所グループ運営管理ビルへの導入を順次予定しており、これらの導入を通じて、本システムを三菱地所グループ内での標準的なセキュリティインフラとしての位置づけを強めるとともに、他社施設や外部テナントへの外販(2027年度以降の施設導入を想定)も本格化していきたい考え。

また、利用者や施設管理者の多様なニーズに応じて、「ReconIDs」自体の機能も継続的に拡充していくとともに、認証手段についても顔認証にとどまらず、静脈認証など他の生体認証技術の導入も視野に入れるなど、利用シーンやセキュリティ要件に応じた柔軟な対応を目指す。

さらに、本人認証を起点とした各種サービスとの連携を図ることで、利用者にとってシームレスでストレスのないユーザー体験の実現を目指す。なお、権限管理の柔軟性を高めることで、オフィスだけでなく、商業施設や複合施設など多様な空間への展開も可能。これにより働く人や来街者の体験価値を向上させ、まちの価値向上に資するプラットフォームへ進化させる考え。