ENEOSは2月19日、鈴与商事およびフジドリームエアラインズ(FDA)と連携し、国土交通省の「令和7年度地産地消によるSAF導入支援実証事業」の一環として、富士山静岡空港においてSAF(持続可能な航空燃料)の環境価値を活用した供給実証を実施すると発表した。
成田空港に供給するSAF環境価値の一部を富士山静岡空港に割り当て
今回の実証では、ENEOSが成田国際空港に供給したSAFの環境価値の一部を富士山静岡空港に割り当て、鈴与商事がFDAに供給するジェット燃料に充当する仕組みを採用する。昨年度にENEOSが検証したマスバランス方式に加え、EUで導入されているフレキシビリティ制度を参考にした、柔軟なSAF供給モデルの社会実装を推進する。
この実証事業の背景には、供給拠点から離れた地方空港へのSAF物流における制約がある。EUでは2025年1月から航空燃料の2%をSAFとすることが義務化されており、2030年までにはその割合が6%へ段階的に引き上げられるなど、脱炭素化に向けた動きが進んでいる。日本国内でも全国各地の空港でのSAF供給が求められており、官民協議会において市場効率化に向けた検討が進められている。
ENEOSは今回の実証を通じ、SAF環境価値を活用した供給スキームの課題抽出や分析を行うほか、トレーサビリティ確保やダブルカウント防止を目的としたレジストリの必要性についても検証する。得られた知見をもとに、国産SAFの制度設計について国土交通省を支援する方針だ。なお、この取り組みについては2月24日に開催予定の「空のカーボンニュートラルシンポジウム」において講演が予定されている。
編集部メモ
SAFはSustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略。廃食油などのバイオマス資源を原料とする航空燃料を指し、従来の石油由来の燃料と同等の性能でありながら、Co2排出量を約60~80%削減するとされている。環境価値販売は、再生可能エネルギーなどの「CO2を排出しない」という付加価値を「環境価値」として証書/クレジット化し、取引する仕組み。
今回の取り組みでいえばENEOSが成田国際空港へ供給するSAFの環境価値の一部を鈴与商事が富士山静岡空港でFDAに供給する通常のジェット燃料に割り当てることで、FDAが富士山静岡空港で一定のCO2削減を実施したという扱いになる(成田国際空港におけるSAF利用によるCO2削減量はその分を差し引かれたカウントになる)。実際にSAFを地方空港などにも供給するためには物流の整備が必要となるが、環境価値を利用すれば基幹空港へのSAF供給体制の整備だけで全体としてのCO2削減が達成できるというのが狙いだ。
