大阪府が主催する初のeスポーツイベント「Osaka GeN Scrambled」(以下、ジェンスク)が1月30日から3日間にわたり、JR大阪駅周辺の複数会場で開催された。性別や世代を超えた「つながり」と「混ざり合い」をテーマに誰もが楽しめる新しいeスポーツのお祭りとして、無料で参加できる競技大会やイベント、展示会などに加えてビジネス向けプログラムも併催され、幅広い内容となっていた。

同イベントが開催された経緯や目的について、主催する大阪府政策企画部成長戦略局 成長戦略推進監 井上慎一氏と、民間企業として共催するマウスコンピューター代表取締役社長の軣秀樹氏に話を伺った。

  • 左から、大阪府政策企画部成長戦略局 成長戦略推進監 井上慎一氏、マウスコンピューター 代表取締役社長 軣秀樹氏

    左から、大阪府政策企画部成長戦略局 成長戦略推進監 井上慎一氏、マウスコンピューター 代表取締役社長 軣秀樹氏

--大阪府がeスポーツのお祭りを3日間かけて主催した経緯を教えてください--

井上氏: 一番のきっかけは大阪・関西万博で7月23日~24日に「大阪・関西万博と連携したゲーム・eスポーツの発信」イベントが開催されたことです。大阪府はeスポーツを有力コンテンツの一つとして盛り上げようとしており、万博のイベントとぜひとも連携したいということで、「大阪eスポーツラウンドテーブル」(Osaka eSports Growth Guild:OeGG、オーエッグ)を設立しました

府内でeスポーツに積極的に取り組んでいる団体や組織が参加し、情報共有や意見交換を通じて面的な広がりを生み出していく場を目指しており、万博での取組みだけでなく、総括となるようなイベントをやりたいという話が出まして、ジェンスクを開催することになりました。

--性別や世代を超えた「つながり」と「混ざり合い」というテーマには、どういう思いが込められているのでしょうか--

井上氏: eスポーツは若者に強い訴求力がありますが、一方で男女差や年齢差がなく、高齢者や障がい者も楽しめて、コミュニケーションや趣味にもなる、行政にも取り組みやすいコンテンツでもあります。ジェンスクではより多くの人たちにeスポーツを楽しんでもらい、さらに関連ビジネスにもつなげていこうと考えており、そのためにはeスポーツは誰でもできることをアピールする必要があります。そこで会場では、最新の『ストリートファイター6』とあわせて、太鼓の達人など親世代、シニア世代でも楽しめるゲームを用意しています。

--ジェンスクのマシンはすべてマウスコンピューターが提供されていますが、協賛を決められたきっかけは?--

軣氏: 協賛は私どもからアプローチさせていただきましたが、それもきっかけは万博です。マウスコンピューターはJESU(日本eスポーツ協会)のスポンサーをしており、万博会場で主催された「未来をつなぐeスポーツの力 -JAPAN ESPORTS CONNECT-」というイベントに機材を貸出していました。その会場に大阪府のブースがあり、「eスポーツを大阪から」というメッセージを発信していたのに共感し、われわれも「eスポーツはマウスから」と言いたい、というところからアプローチさせていただきました。

そこでOeGGの存在を知り、同じ万博の別会場で高校生のeスポーツ日本一を競う「STAGE:0」に関わっているということで、使用していた機材をそのまま提供することを決めました。

大阪との関係で言えば、日本橋と難波に直営店があり、PCの販売を通じてeスポーツを盛り上げてきました。当社は埼玉県春日部市からスタートして、秋葉原にショップを展開し、日本でもかなり早い22年前にゲーミングPCブランド「G TUNE」(ジーチューン)を立ち上げ、「ゲーミングPCならマウス」という地位を築いてきたと自負していますし、業界の支援も続けています。チームスポンサーもしていますが、店舗や製造拠点、サービスセンターがある地域と連携して、eスポーツを盛り上げていきたいという思いがありました。

その点、大阪府のOeGGはモデルケースとして各自治体に広がる可能性がありますし、さらにeスポーツでコミュニケーション力を高めたり、社会貢献をしたり、いろいろな支援でeスポーツ全体を盛り上げるお手伝いをしたいと考えています。

--eスポーツ業界全体の動きについても教えていただけますか?--

軣氏: 2025年(2024年)にNVIDIAのグラフィックカードが5000ナンバーに変わったほか、2025年のモンハン需要からパソコンでゲームをする層が広がりを見せています。当社ではそうした動きにあわせて、高価なイメージがあるゲーミングPCより少し価格を抑えた新しいブランド「NEXTGEAR」(ネクストギア)を2023年9月に立ち上げたところ、年代問わず選ばれ、全体の販売も伸びています。

--ゲームを楽しむ以外でもゲーミングPCを選択する人が増えているのでしょうか--

軣氏: ゲーミングPCは業務用PCとは性能がはるかに違いますので、普段から使っていただくと業務効率が必ず上がるのですが、導入いただく機会があまりありませんでした。最近は仕事でAIを使うようになってゲーム以外でも価値があると理解いただけ、これからニーズが高まるのではないかと見ています。

コロナ禍以降続いているテレワークでもハイパフォーマンスなPCはストレスがありませんし、息抜きにも使えます。液晶モニターも同じように、ノートPCには再現できないリフレッシュレートや高解像度、発色性を大画面で体験いただいた方が購入する傾向にあるようです。当社はゲーミング液晶ディスプレイを「G-MASTER」のサブブランドで販売していますが、今後はニーズにあわせて製品ラインナップを増やしていくつもりです。

--最後に今後の活動について教えてください--

井上氏: 大阪府としてはeスポーツの取り組みを一過性で終わらせたくないので、OeGGに加盟する専門学校や大学や企業と連携しながらいろいろ手を広げて、幅広い層に対してアプローチしていきたいと考えています。例えば、今回は初日にビジネスデイを設け、パブリックデイの2日間もビジネス向けのプログラムを用意して、運営やゲームの開発、周辺サービスなど、新たな取り組みを生み出していきたいですし、もちろんプレイヤーをもっと増やしていきたいと考えています。

eスポーツは何より体験することが大事ですし、私もパブリックデイのOeGG対抗戦、ストリートファイター6の大会に参加者として挑戦します。予選落ちになるかもとドキドキしてるんですが、とにかく私のようなゲームの素人でもダウンロードしてプレイできるというのを知ってもらいたいですね。あと、普段使っているパソコンで練習したので、本番のゲーミングPCではどれだけ快適にプレイできるのか、期待しています。

軣氏: きっかけはさまざまだと思いますが、eスポーツは何よりも楽しんで体験してもらうのが大事。特にマシンの使い心地はスペックだけ見てもわからないので、ジェンスクのようなイベントで実際に使っていただく場を提供してもらえることに感謝しています。そうして購入された方がインフルエンサーとなってくれるといいですし、「eスポーツといえば大阪」、そして「eスポーツで使うPCはマウス」というように盛り上げていきたいですね。