デル・テクノロジーズは、同社が展開するスケールアウトNASソリューション「Dell PowerScale」の宇宙航空研究開発機構(JAXA)への導入事例を紹介。JAXAの宇宙科学研究所(ISAS)で、科学衛星・探査機から収集したデータのアーカイブや外部公開に活用する「科学衛星データ処理システム」のIT基盤で採用しており、2025年4月から本番稼働を始めた。
デルはこの導入事例について、JAXAの旧システムの性能を維持しながらストレージ容量を2倍以上に拡大し、圧縮・重複排除機能でデータ容量を約3割削減するなど、効率的なデータ管理とコスト削減も追求。「宇宙科学研究のさらなる発展を支える基盤を構築した」とアピールしている。
ISAS 科学衛星運用・データ利用ユニットの主任研究開発員である中平聡志氏は、同社製品を採用することでトータルコストを抑えながら、ニーズに合致したシステムを実現できたとし、「科学衛星・探査機データのアーカイブや公開に積極的に活用していく。今後は生成AIの活用なども進め、こうした取り組みで予想もしなかったような研究成果が生まれるように活動する」とコメントした。
ISASはJAXAの中核部門として、大気外での天文観測や太陽系科学、宇宙環境利用科学、これらの研究を支える宇宙工学など、幅広い領域にわたる宇宙科学研究を推進。科学衛星・探査機から収集されたデータのアーカイブや外部公開で、「科学衛星データ処理システム」を活用している。
近年、科学衛星・探査機の高解像度化と高度化に伴い、送信されるデータの容量が1日あたり数GBに達するなど大規模化。従来の環境では、年々蓄積されるデータの長期保存が困難になることや、アクセス集中時のレスポンス低下が懸念される状況だったという。
そうしたデータを将来にわたって適切に保存・管理し、研究開発に有効活用していくには、膨大なデータ量に対応する拡張性と、高負荷下でも遅延のない迅速な処理能力を兼ね備えた、次世代の高速ストレージ環境が求められていたことから、ハードウェアの更新を機に、Dell PowerScaleの導入が決まった。
デル・テクノロジーズは導入に先立ち、JAXA/ISASと共同でストレージの利用状況調査を実施。その結果、突発的な負荷の多くがリード処理であり、特定データにアクセスが集中する傾向が分かったという。
新たに導入したアクセラレータノード「Dell PowerScale P100」は、一度読み込まれたデータをキャッシュに蓄積するため、アクセス集中時でも迅速なレスポンスを確保でき、ストレージノードへの負荷も軽減できる点を特徴とする。
また、今回は高性能ストレージノードだけで環境を構築するのではなく、「Dell PowerScale A3000シリーズ」と「PowerScale P100」の階層構成とすることで、コスト効果の最大化を図った。さらに、複数ノードの同時障害に耐えられるデータ保護機能により、万一の障害時でも稼働を継続可能な環境を構築した。
その結果、ストレージ容量は、従来の性能を維持しながら2倍以上に増強。旧システムからデータを移行し、本番運用を開始してから半年以上が経過したが、PowerScaleが備える圧縮・重複排除機能「SmartDedupe」によって、実データの容量に対して約30%のデータ容量を削減できたという。アクセラレータノードの活用により、突発的なアクセス集中時も迅速なレスポンスを確保しているとのこと(いずれもJAXAの旧システムと比較実施した、共同分析による結果)。
なお運用面では、クォータ管理機能「SmartQuotas」で各研究プロジェクトへの容量を割り当て、専用管理ツールの「InsightIQ」でストレージの状況監視を実現している。
