NTTドコモは2月5日、2025年度第3四半期の連結決算を発表し、記者説明会を開いた。連結での営業収益は対前年924億円(2.0%)増の4兆6597億円、営業利益は同885億円(10.6%)減の7454億円、四半期利益は同564億円(9.6%)減の5288億円と、増収減益となった。
EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた利益)は同559億円(4.1%)減の1兆3224億円だった。
代表取締役社長の前田義晃氏は「収支面では厳しい状況にあるが、これは、将来に向けて今取り組むべき施策を進め、必要なコストを投下していることによるもの」だと説明した。
販促強化とネットワーク強靭化で顧客基盤強化を狙うドコモ
説明会ではまず、前田氏がNTTドコモの重点的な取り組みとその成果について紹介した。同社は中長期的な成長のため、2025年度を成長に向けた変革の年と位置付け、販促強化とネットワーク強靭化に取り組んだという。
販促強化においては、新料金ドコモMAXのサービス向上とスマートライフ事業との連携により、エンゲージメントの高い顧客基盤を構築している。MNP(Mobile Number Portability)競争力の向上に向けたコストを重点的に投下し、セールス全体の強化を図った。
その成果として、MNPは4カ月連続で黒字化。ドコモMAXの加入も250万契約を突破し、年間目標である300万契約の達成も確実だとしている。大容量プランの加入比率が拡大したことで、ARPU(Average Revenue Per User:ユーザー当たりの平均売上高)は50円増加した。
ネットワーク強靭化に向けた取り組みでは、基地局の増設や最新装置への入れ替えを図った。2025年度下期は上期に比べて5G基地局を約3倍構築しており、このペースは2026年度も継続する予定だ。こうした取り組みにより、ダウンロードスループットが向上し、主要都市中心部の約90%以上のエリアで下り100メガビット / 秒以上を達成した。
「販促の強化とネットワーク強靭化によって構築した顧客基盤をベースに、スマートライフや法人事業の拡大によって中長期的な成長と増収基調への転換を実現する」(前田氏)
コンシューマ事業はMNP競争の激化でコスト増
事業セグメント別に営業収益を見ると、コンシューマ事業はスマートライフ事業が対前年1074億円(11.9%)増の1兆119億円、コンシューマ通信が同846億円(3.4%)減の2兆4292億円となり、合わせて172億円(0.5%)増の3兆4059億円だった。法人事業は同864億円(6.5%)増の1兆4260億円だ。
成長領域であるスマートライフ事業と法人事業が増収となった一方で、コンシューマ通信は端末購入プログラム(いつでもカエドキプログラム)の影響で減益だった。
営業利益は、コンシューマ事業のスマートライフ事業が同188億円(9.5%)増の2166億円、コンシューマ通信が同1286億円(30.7%)減の2902億円となり、合わせて1098億円(17.8%)減の5069億円となった。法人事業は同212億円(9.8%)増の2385億円だ。
スマートライフ事業の金融・決済を中心とした持続的な成長と、コスト効率化による利益改善、住信SBIネット銀行の連結子会社化により、特殊要因を除くと335億円の増収となった。コンシューマ通信の領域では、端末購入プログラムと販促費用の増加が影響し、1286億円の減益だった。
「選べる特典」拡充でドコモMAXなど大容量プランの魅力度を向上
上記の通りコンシューマ通信は減収となったものの、モバイル通信サービスの減収幅は縮小傾向にあるという。顧客基盤の強化に向けた施策により、MNPの増減はプラスに復調。大・中容量プランの獲得も好調で、ARPUも増回傾向だ。
ドコモMAXは250万契約を突破し、年間目標である300万契約を達成する確度が高い。「選べる特典」では従来の「DAZN for docomo」「NBA docomo」に、2月25日から「Lemino」と「dアニメストア」を追加する。スポーツ観戦やテーマパークチケットなど「特別な体験価値」も拡充し、魅力度を今後も高めるとのことだ。
強固な顧客基盤の構築に向けて、3月1日から「dバリューパス」(月額550円)を開始する予定だ。従来の「スゴ得コンテンツ」を拡充し、コンビニ大手3社のクーポンやChargeSPOTの無制限使い放題など、日常的なお得を提供する。
同社の増収をけん引するスマートライフ事業では、金融、マーケティングソリューション、エンタメの3事業の成長と、住信SBIネット銀行の連携が奏功した。
金融・決済の取扱高はdカードPLATINUMなどによって順調に伸長しており、銀行を軸に通信サービスなどとの連携で顧客体験の向上に貢献する。マーケティングソリューションはインテージとの連携により、収益を拡大している。
法人事業はコンタクトセンターのAI活用が拡大
対する法人事業では、インテグレーション事業とプラットフォーム事業が拡大し、増収に寄与した。特に大企業向けでは公共、製造、流通業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)やセキュリティビジネスの需要が高いという。
また、CX(Customer experience:顧客体験)の向上に取り組む企業では、AIを活用したコンタクトセンター改革などが進んでいるとのことだ。CX領域の収益は前年同期比で15%伸長している。具体的には、問い合わせに対する自動応答やオペレーターの支援、応対内容の要約などアフターコールワークの効率化などを実現している。
中堅・中小企業向けには、地銀・信金案件やドコモビジネスパッケージの拡大や、GIGAスクール構想に伴う案件を獲得したとのことだ。
MNP競争の激化の影響で通期業績予想を下方修正
NTTドコモは通期の業績予想を下方修正し、営業利益は2025年5月の決算発表時に公表した9660億円から、830億円減の8830億円とした。当期利益は570億円減の6120億円、EBITDAは830億円減の1兆6630億円だ。
業績予想の下方修正の主な要因は、MNP競争の激化と長期化に伴う販促強化費用の増加だ。これにより1130億円の減益を見込む。また、端末購入プログラムの収支悪化が300憶円の減益に響く予想だ。対して、アセット売却による収支改善500億円と、住信SBIネット銀行の連結影響100億円も織り込んでいる。








