日立製作所は1月29日、2026年3月期 第3四半期(3Q)連結決算の概要を公開。売上収益は2兆7143億円、調整後EBITA(Adj. EBITA)は3462億円と、コアフリーキャッシュフロー(コアFCF)は2891億円と、3Qとしてはいずれも過去最高値を達成したことを明らかにした。
通期では6つの目標値すべてを上方修正
決算説明会に登壇した日立 執行役専務の加藤知巳CFOによると、3Q全体の売上収益は前年同期比で10%増加。親会社株主に帰属する四半期利益は1656億円で、271億円の増加となり、またAdj. EBITAも644億円の増加となった。その要因としては、好調が続くエナジー領域に加え、モビリティやDSS(デジタルシステム&サービス)セクターも堅調に成長したことを挙げ、売上収益とAdj. EBITAは3Qとして過去最高を達成したという。加えてコアFCFの面では、エナジーの前受金による影響で834億円の大幅増加となり、こちらも過去最高だとした。
これを受け日立では、エナジーに加えてモビリティおよびCI(コネクティブインダストリーズ)においても2026年3月期全体の目標を上方修正。日立グループ全体としても、売上収益・Adj. EBITA・当期利益・コアFCF・ROICの目標値を上方修正したといい、これらすべてのKPIにおいて前年に比べ改善する見込みであると明かした。
エナジーが引き続き好調 - 事業構造改革も進捗
事業セグメント別でみると、送電網設備に対する堅調な需要継続と受注残の着実な売り上げ転換が続くパワーグリッド事業が牽引するエナジーセグメントは、前年同期比で33%増と大幅に増収。モビリティについても、為替影響に加えてLumada事業を含む鉄道信号システム事業を中心に好調に推移し、14%の増収となった。
一方で前年比3%の増収となったDSSセグメントについては、DX/モダナイゼーション需要によるフロント・ITサービスが好調に推移。対してストレージ事業については、かねてより進める構造改革の推進によってコスト削減が進んでおり、収益性が改善されたとする。またCIセグメントでは、前年のインダストリアルデジタル大口案件の反動減によって減収とはなったものの、Lumada事業の拡大もあり利益自体は増益。通期では売上収益200億円・Adj. EBITA70億円の上方修正が行われている。
なお、日立の企業価値向上を目的として進められている事業ポートフォリオ入れ替えについては、具体的な実績として、2025年11月に日立建機の株式売却を完了。25.4%だった議決権所有割合は18.4%まで下がり、持分法適用会社から外れたとする。さらに2025年12月には、Astemoの株式の一部を本田技研工業(Honda)に売却することに合意したことが発表されており、2027年3月期第1四半期の完了を予定する同売却が完了すると、Astemoも日立の持分法適用会社から外れるといい、資本効率向上に向けた施策を着実に実施しているとした。
併せて自己株式取得も追加で実施されたといい、株主還元約5000億円の自己株式取得が計画通り2025年12月に完了したとのこと。さらに2026年1月30日~4月30日の期間において、追加で1000億円の自己株式取得を行うことも発表されており、3000万株(自己株式を除く発行済み株式総数に対する割合:0.67%)の取得に向けて取り組みを進めていくという。
ストレージ事業強化による底上げも「実現可能」
そして全社レベルで推進しているLumada事業については、売上収益が1兆1140億円まで拡大し、前年同期比で51%増加したとのことで、日立連結の業績改善を牽引しているとする。特にエナジー・モビリティ・CIの領域では、HMAXやAI技術などを活用した欧米各国での事例が拡大していることから、今後もその展開を強化し、各セクターでの継続的・安定的な収益基盤を構築するとしている。
なお加藤CFOは、データセンタ需要の継続的な需要増加などにも伴って、全体的に好調な推移を遂げている事業状況に対する自信はのぞかせつつ、日立の平均的な利益率から遅れをとっているストレージ事業などについては、引き続き構造改革を続け外部企業とのパートナリングなども強化していくことで全社平均程度の数字まで引き上げることを目指すとし、「実現可能な目標だと考えている」と語った。また同社は、2026年4月1日付で事業体制を変更し、“フィジカルAI”によるLumada 3.0の成長に向けた取り組みなどを強化することで、さらなる成長に向けて動いていくとしている。



