三井不動産は、国内初の民間企業による“フル電動旅客船”の定期航路開設を発表。日本橋・豊洲間で4月から運行を開始する。旅客船「Nihonbashi e-LINER」2隻を同社が建造・保有し、運航事業は観光汽船興業が実施する予定だ。
日本橋を起点とした舟運ネットワーク構築をめざし、三井不動産が立ち上げた舟運プロジェクト「&CRUISE」の一環として展開する事業。定期航路は、日本橋船着場(中央区防災船着場)と、豊洲船着場(ららぽーと豊洲)の2地点を結び、2隻で運航予定としている。
同プロジェクトでは、三井不動産が船主となり、日本橋川沿いエリアの「日本橋リバーウォーク」とウォーターフロントのさまざまな拠点を結ぶことで、舟運が日常的な風景となることや、2030年代の築地市場跡地再開発のまちびらき以降、日本橋・豊洲・築地と新旧三大市場を拠点とする、舟運ネットワークのさらなる拡大をめざしている。
このプロジェクトを通じて同社は、買い物や通勤などの日常使いをはじめ、ウォーターフロント周辺観光スポットへの国内外旅行者の移動手段として“空・水・風を感じるWell-beingな移動体験”を提供するとアピール。有事の際には海上アクセスルートを確保し、人・物資の輸送に充てることや、船からのスマートフォンなどへの逆給電を提供することも想定している。
Nihonbashi e-LINERは、国内最大級となる約300kWhのリチウムイオン二次電池を搭載したフル電動旅客船で、永久磁石式水冷電動モーター(90kW)2基を推進装置として搭載。定期航路を航行するのに必要な電力はバッテリーでまかない、主機関や発電機などの内燃機関は全廃しているため、航行中のCO2排出がなく、静音、低振動、燃料臭気ゼロも特徴とアピールしている。
船内の内装材は天井や壁面、床、船内トイレにいたるまで、環境に配慮した素材を多く採用。客室座具には、有害な化学物質(PFAS:有機フッソ化合物)を使わず、再生ポリエステルなどを活用した高耐久素材テキスタイルをしつらえている。
船員2人を含めて最大62人が乗船でき、フリーWi-Fiや充電コンセントなどを装備。バリアフリー対応となっているほか、船外に2台の自転車を積み込める。航続時間は8時間以上(速力6ノット・空調機未使用・電池環境温度25度)で、試運転最高出力は8ノット以上。外形寸法は全長17m、型幅4m(いずれも防舷材を除く)。総トン数は約17t。建造は三重・伊勢市の造船所で行われた。
船舶に供給する電力は再生エネルギーを使用することになっており、豊洲船着場に隣接する給電設備には4基の急速充電器を配備。「ららぽーと豊洲」内にある高圧受電設備から送電・再変圧した電気を供給する。




