半導体チップの大型化にともない、パネルレベルパッケージ(PLP)の重要性が急速に高まっている。GPUとHBMを混載するチップレットの生産性を高める確実な手段として基板サイズは大型化の一途にあり、すでに700mm角へのユーザーニーズが現れている。大型基板材料として再びガラスが存在感を高めていて、「米インテルの量産開始にタイミングを合わせて事業化したい」などと、話が具体的になってきた。工程部材であるキャリアやインターポーザーにはサファイアや炭化珪素の採用が検討されるなど、部材の刷新も進みそうだ。
都内で2025年12月に開催された「SEMICON Japan 2025」では、半導体の製造装置や部材大手がPLP対応の開発製品を出展。技術セミナーでもPLPが大きなテーマになった。
GPUもHBM(High Bandwidth Memory)も世代を重ねるごとに大型化が進み、120mm角チップレットを想定したPLP開発が進んでいる。
チップを封止するモールディング装置で世界シェアトップのTOWAは、すでに600mm角インターポーザー対応装置を出荷しており、海外のユーザーが実際の生産ラインに適用しているという。すでに700mm角PLPへのユーザーニーズもあるため、開発を進めているところだ。製造装置では、ディスコも最大400mm角ワークサイズに対応したダイシングソーを開発したと発表したばかりだ。
PLPへ向けてガラス基板を打ち出したのは、TOPPANと大日本印刷(DNP)の印刷2社。両社とも510×515mmのガラスコアをインターポーザーやFC-BGA(フリップチップ・ボール・グリッド・アレイ)向けに開発しており、ガラス固有の課題である“背割れ”を抑えて使い勝手を改善した。
TOPPANはガラス板厚0.4〜0.8mm、TGV(ThroughGlass Vias=貫通微細孔)口径/ピッチが60/130μm〜80/150μm。ビアの深さは50〜200μmの標準仕様をデモした。
一方のDNPは、1:10の高アスペクト比と信頼性の高さを訴求している。ハンドリングで傷つけないようにガラスは厚目に、インターポーザーは逆に薄くなる傾向にある。ビア口径100μm、板厚1mmの基板を埼玉・久喜で開発している。ガラスコア(2層)の上下を2層のビルドアップ基板ではさんだFC-BGAも試作し、2028年めどに事業化の予定だ。
長年にわたってガラス基板開発に取り組んできた新光電気工業は、無アルカリガラス基板を試作して評価中だ。シリコンとの熱膨張差が小さく、誘電率も優れるガラスだが、「材料系がまだ固まっていない」と、事業化にはまだ時間がかかるとみている。ユーザーにはインターポーザーとビルドアップ基板を併せて供給する計画を立てており、配線幅/配線間隔は1.5μmを目標としている。
一方、600mm角のインターポーザー採用を決めているラピダス(Rapidus)は、「まだ評価が定まっていないガラスコアは使わない」と慎重だ。熟成してきたガラスキャリアと樹脂インターポーザーで大型化に対応することにしている。
ただ、キャリアとしてはガラスよりも高機能なサファイアが注目されてきた。600mm角までの大型化は実現されていないサファイアだが、厚みにばらつきが小さく耐熱性があってガス汚染や変形に強いという特性がある。GPUやHBMのトランジスターが高密度化すると、発熱対策が要になるため、インターポーザーには放熱性に優れる炭化珪素が注目されている。
過去には何度も具体化が見送られてきたガラス基板。PLP時代に今度こそ実現するのか、その動向が注目される。
