太陽誘電は12月26日、東京科学大学(科学大) 未来産業技術研究所、東京理科大学(理科大)、フタバ産業との4者共同で、化学燃料を効率的に電気変換し、高温で動作する固体酸化物形燃料電池(SOFC)を手のひらサイズまで小型化して、その発電を実現する高断熱・耐熱マイクロリアクターの開発に成功したことを発表した。
エッジデバイスへの直接給電実現にも期待
AIやドローン、ロボットなどといった先進技術が社会のさまざまな分野で導入されつつある近年、これらの機器を駆動するための高エネルギー密度かつ長寿命な電源に対するニーズが拡大している。そうした電源の有力候補として注目を集めているのが、SOFCだ。化学燃料を高効率で電気に変換できる次世代エネルギーデバイスとして期待されるSOFCは、リチウムイオン電池と比較しても高いエネルギー密度を誇り、燃料多様性といったメリットも有するという。
しかし従来、SOFCの用途は大型定置用電源に限られており、手のひらサイズまでの小型化に向けては多くの課題を残していた。そこで太陽誘電など4者による今回の共同研究では、高い断熱性・耐熱性を両立できる“カンチレバー構造”を持つマイクロリアクターと、多層断熱構造設計の筐体を組み合わせ、高い熱安定性を有する金属支持型SOFC(MS-SOFC)セルを採用したとのこと。その結果、常温から5分以内で600℃以上へと昇温し、高速起動・発電が可能で、体積も5cm×5cm×5cmほどという小型化を実現できたとする。
太陽誘電によると、今回開発されたMS-SOFCセルは、金属材料による支持体を設けることで急速昇降温に対応できたといい、さらに積層セラミックコンデンサをはじめとした電子部品事業で培われた材料技術を活かし、電解質の薄層化を行ったことで、SOFCとしては中温領域である600℃~750℃で0.7W/cm2以上という高い発電特性を実現できたとした。
太陽誘電など4者は、今回の開発により従来の大型定置用燃料電池を手のひらサイズまで小型化することで、ポータブルエネルギーシステムへの展開が可能となり、将来的にはエッジデバイスへと直接給電できる高エネルギー密度電源としての応用が期待されるとする。そして太陽誘電としては、素材の開発から出発して製品化を目指し、今後も社会に新しい価値を届けるとしている。
