Microsoftは、設定アプリに各種カスタマイズ機能を統合する取り組みを進めている。この取り組みはまだ道半ばではあるものの、多くの挙動を設定から制御できるようになっている。
本稿では、そうした設定項目の中から、あまり知られていないが使ってみると便利な機能を5つ紹介する。これらの中に、一つでも必要な機能があればうれしく思う。
近くのWindowsパソコンにファイルをコピーする「近距離共有」機能
Windows 11ノートPCから、その隣においてあるWindows 11ノートPCやデスクトップPCにファイルをコピーしたいと思ったことはないだろうか。すぐそこにあるのに、ファイルを簡単にコピーすることができない。
Macにはユニバーサルクリップボードと呼ばれる機能があり、MacやMacBook、iPhone、iPadの間で手軽にテキストやファイルをコピー&ペーストできる。なぜこの機能がWindowsにはないのだろうと、どちらも使うビジネスマンは不思議に思ったのではないかと思う。
しかし、実際にはWindows 11にもAppleのユニバーサルクリップボードに似た機能は搭載されている。この機能は「近距離共有」と呼ばれ、設定を有効にすればすぐに使うことができる。
近距離共有は設定アプリの [システム] → [近距離共有] → [近距離共有] → [オフ] を [自分のデバイスのみ] または [近くにいるすべてのユーザー] に変更することで使える。ファイルの共有を行いたいすべてのWindows 11 PCで同じ設定を行い、同じMicrosoftアカウントでサインインをしておく。
機能を有効にしたら、ファイルエクスプローラーからほかのデバイスにコピーしたいファイルを選択し、メニューから「共有」を選択する。
続いて表示される共有ダイアログから「近距離共有」を選択する。
続いて表示される近距離共有ダイアログから、共有先として設定したWindows 11 PCが表示されるので対象となるデバイスのアイコンをクリックする。
共有先のWindows 11 PCにファイル共有を受け付けるかどうかのダイアログが表示されるので、許可すればファイルのコピーが行われる。
多少面倒な手順を踏む必要があるが、これまではUSBメモリやOneDriveを経由したファイル共有を行う必要があったところが、近距離共有を使うことで直接ファイルをコピー可能になる。一度使うとなかなか手放せない機能だ。
Windowsパソコン間でテキストのコピペを行う「デバイス間のクリップボード履歴」機能
Windows 11のシステムクリップボードには、Windowsパソコンの間でテキストのコピー&ペーストを実現する機能が用意されている。この機能は「デバイス間のクリップボード履歴」と呼ばれている。先ほどの「近距離共有」と似ているが、仕組みが異なる。
この機能は設定アプリの [システム] → [クリップボード] → [クリップボードの履歴] → [オン] と、[システム] → [クリップボード] → [デバイス間のクリップボード履歴] → [オン] で使える。コピーしたテキストが常にほかのデバイスでも使えるようにするには [システム] → [クリップボード] → [デバイス間のクリップボード履歴] → [コピーしたテキストを自動的に同期する] を選択しておく。
テキストをコピーしたら、貼り付けたい方のパソコンで Win+V キーを押してクリップボードの履歴を表示させ、そこから対象を選べばよい。ほかのWindowsパソコンでコピーしたテキストが表示されているはずだ。
Windowsパソコンの間でテキストをコピーしたいと思うことは結構ある。この機能を使うには同じMicrosoftアカウントでサインインしている必要があるが、動作するなら便利に使える。
ただし、この機能は動作しないという報告も多い。職場での利用のために組織用Microsoftアカウントの設定を行ったことがあるパソコンなどでは動作しないという報告があり、筆者の環境でも企業用アカウントを登録したパソコンでは使えなかった。その状態で利用できるようにするにはWindows 11のクリーンインストールが効果的な対策となるため、使えない可能性があることは留意されたい。
なお、ちょっとした裏技になるが、先ほど取り上げた「近距離共有」を使って「デバイス間のクリップボード履歴」のようなこともできる。Microsoft Edgeのアドレスバーに、適切なURIを入力した状態でさらに「?コピー&ペーストしたいテキスト」のように文字列を追加し、このURIを「近距離共有」でほかのWindowsパソコンへ送るという方法だ。この方法であればテキストをファイルに保存することなく、テキストをほかのWindowsパソコンに送れる。
「近距離共有」は「デバイス間のクリップボード履歴」と違い使えることが多いので、「近距離共有」を使いこなすようにするのは悪くない選択だ。
アプリケーションを強制終了するタスクバーの上の「タスクの終了」
アプリケーションが不具合を起こして制御できなくなった場合、タスクマネージャーから対象のアプリケーションを終了する対処を取ることがある。この操作はタスクバーから一発でやる方法が提供されている。それが「タスクの終了」機能だ。この機能を有効にすると、タスクバーのアプリアイコンのメニューに「タスクを終了する」という項目が表示される。この項目を選択すれば処理は完了だ。
設定アプリの [システム] → [詳細設定] → [タスクの終了] → [オン] で「タスクの終了」を有効にできる。
「タスクの終了」はそもそも使う頻度が少ないというか、まったくないことが好ましいのだが、現実はそうも言ってられない。念のため、この機能を有効にするというのは悪くない。
パソコンから離れたら自動的にロックする「動的ロック」機能
職場などの不特定多数が存在する場所で、Windowsパソコンで機密性の高い情報を扱っているのなら、パソコンを離れる際は画面をロックする習慣を持つべきだ。Windows 11では、画面をロックするには Win+Lキーを押すだけでよい。この操作は、画面の右下にある「電源」ボタンからも行える。
ただし、自動化できればそれに越したことはない。Windows 11には「動的ロック」と呼ばれる機能が用意されており、ペアリングしたスマートフォンがパソコンから離れたら自動的にロックさせることができる。ロックが必須という環境であれば利用を検討したい機能だ。
この機能は設定アプリの [アカウント] → [動的ロック] → [その場にいないときにWindowsでデバイスを自動的にロックすることを許可する] にチェックを入れて有効化する。
スマートフォンは事前にペアリングしておく必要がある。手動のロック忘れを防止するうえでも効果的な機能だ。
ウィンドウをフルフルしてほかのウィンドウをすべて最小化
使っていて楽しい機能に、「タイトルバーウィンドウのシェイク」がある。これはウィンドウのタイトルバーをつかんでからフルフルと揺すると、そのウィンドウ以外のウィンドウがすべて最小化するというものだ。その状態でもう一度フルフルすると、もとに戻る。
この機能は設定アプリの [システム] → [タイトルバーウィンドウのシェイク] → [オン] で有効化できる。
依然としてこの機能があるということは、それ相応に利用するユーザーがいる可能性がある。興味があれば一度有効化して試してみよう。
便利な機能を使っていこう
Windows 11の設定アプリには、日々の作業効率や安全性を高めるための便利な機能が用意されている。本稿で紹介した「近距離共有」や「デバイス間のクリップボード履歴」は、複数のWindowsパソコンを併用するユーザーにとって恩恵が大きく、これまで手間のかかっていたファイル共有やテキストの受け渡しを簡略化できる。また、「タスクの終了」や「動的ロック」といった機能は、トラブル対処やセキュリティ意識の向上に寄与する実用的な設定だ。
これらの機能はいずれも標準で搭載されているにもかかわらず、意外と知られていない。設定アプリを一度見直し、自分の使い方に合った機能を有効化するだけで、Windows 11はより快適で安心して使える環境になる。本稿をきっかけに、設定項目を積極的に試し、自分なりの最適なカスタマイズを見つけてみよう。
![設定アプリ: [システム] → [近距離共有] → [近距離共有] → [自分のデバイスのみ] または [近くにいるすべてのユーザー] を選択](images/003.jpg)



![[デバイス間のクリップボード履歴]を有効にする](images/007.jpg)
![設定アプリ: [システム] → [詳細設定] → [タスクの終了] → [オン] で「タスクの終了」を有効化](images/008.jpg)
![設定アプリ: [アカウント] → [動的ロック] → [その場にいないときにWindowsでデバイスを自動的にロックすることを許可する] にチェックを入れて有効化](images/002.jpg)
![設定アプリ: [システム] → [タイトルバーウィンドウのシェイク] → [オン] で有効化](images/009.jpg)