日本製鉄が業績を下方修正 USスチールの収益貢献はまだ見込めず

日本製鉄(橋本英二会長)は2026年3月期の連結純損益(国際会計基準)を当初見通しの400億円の赤字から、600億円の赤字(前期は3502億円の黒字)に下方修正することを発表した。

 下方修正の主な要因は、買収した米鉄鋼大手・USスチールの業績不振。米鉄鋼市況が当初想定していた以上に悪化している他、ペンシルベニア州で起きたUSスチールの工場での事故も業績に悪影響を与えた。

 そのため、当初は今期のUSスチールの利益面での貢献を800億円と見通していたが、これを「ゼロ」に修正。

 今回は、USスチールの中長期経営計画も公表。日鉄はUSスチールに対し、総額140億ドル(約2兆1500億円)規模の投資を行うことを表明しているが、2028年までに約110億ドル(1兆7000億円)を投じる計画。

 特に今、米国ではデータセンター建設が急激に増加中で、日鉄が世界最先端の技術を持つ「方向性電磁鋼板」が活用できるが、USスチールに設備と技術を導入して対応する方針。

 USスチールの技術者に日鉄の技術を受け止める素養はあるのか?これに対し日鉄副社長の森高弘氏は「問題ないと思っている。我々の派遣者がスキルを付けられるようにしていく。米国で事業をする時には労働者、技術者そのものがいるのかが問題だが、USスチールには揃っている」と強調。

 25年9月に米トランプ政権がUSスチールの工場停止計画を「黄金株」で阻止したと報じられたが、森氏は「施設の休止が念頭にあったわけではない」と話す。米政府によってUSスチールの改革がなかなか進まないのではないかという見方も出ているが、「事業の障害になっていることは一つもない」と強調。

 ただ、森氏は「設備の休廃止は基本的に考えていない」とも話す。成長投資だけでなく、不要な設備を休止させなければ生産性は向上しない恐れがあるだけに難しいカジ取りとなる