【財務省】円安で厳しさ増す財政運営 問われる片山大臣の発信力

円安進行で高市早苗政権の経済財政運営が厳しさを増してきた。政府が11月21日に閣議決定した経済対策の規模が20兆円超と前年度を大きく上回り、為替市場で円が急落。1ドル=155円の節目からさらに売られ、昨年の為替介入の目安だった160円を見据える水準になってきたためだ。

 片山さつき財務相は日銀の利上げに理解を示しているが、円が買われる効果が期待される日銀の利上げは最短でも次期会合の12月半ばで、当面、為替の動向をにらんだ政府・日銀の神経戦が続きそうだ。

 片山氏は21日の閣議後会見で、円安進行に対しては日米財務相共同声明の考え方を踏まえ「過度な変動や無秩序な動きには必要に応じて適切な対応を取る」と発言。為替介入の可能性については「当然考えられる」と投機筋をけん制した。

片山さつき・財務相

 9月の日米財務相共同声明には介入について「過度の変動や無秩序な動きに対処するためのものに留保されるべきことで一致した」と盛り込まれており、米政府との連携をにじませ”口先介入”のトーンを強めた形だ。

 円が急騰したのは片山氏の関連発信も一因とされる。対ユーロでも一時180円台とユーロ導入来の円安になり、日本国債と株価とともにトリプル安に見舞われる中で、片山氏は19日、城内実経済財政担当相とともに日銀植田和男総裁と会談。

 その直後、記者団に対し、片山氏は「為替で具体的な話は出なかった」と語ったが、その後も円安が続いた。この発言は「円安容認ととられても仕方がない」(財務省幹部)と受け止められた。21日の会見でトーンが一変したのは”失言”払拭の意味合いもあったとみられる。

 高市首相の台湾有事をめぐる発言を受けての中国の反発で、日本経済の下押し懸念が出始めている中、政権の経済政策である「責任ある積極財政」の「責任」を一手に担う片山氏の発信力がぐらつけば政権運営は不安定になりかねない。

 経済対策は規模こそ与党内の積極財政派に配慮した形だが、肝心の物価高対策は「中途半端なバラマキ」(与党幹部)にとどまり、手取りを増やす効果は限られそうだ。金融市場の動向に加え、12月下旬想定の2026年度税制改正のとりまとめに向け、片山氏の手腕が問われる。

スガシタパートナーズ社長・菅下清廣「今は戦後7回目の大相場。材料が揃えば日経平均8万円を目指す展開も」