液体水素環境下での高電流ニーズに対応する製品が登場
京セラは12月5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究成果として、液体水素環境において耐久性と気密性を確保するとともに高電流に対応した100A対応の「電流導入端子」と、コネクタ全体で最大110Aまで対応するハーメチックシールコネクタ「MS-8ピン端子」の2製品を開発したことを発表した。
液体水素のノウハウを持つJAXAの協力のもと、製品開発を推進
京セラはJAXAと2016年から液体水素用セラミックハーメチックシール技術の共同研究を行ってきており、2024年3月に実際に液体水素による実証実験で信頼性を確認した計測・制御用途向けハーメチックシールコネクタ「MS-10ピン端子」を製品化済み。今回の2製品は、そうした取り組みの成果を踏まえ、宇宙ロケットや産業用途において、より高電流を扱える電流導入端子への需要が高まったことを受けて開発されたものとなるという。
これらのハーメチックシールや端子などに用いられているセラミックならびにFe-Ni-Co合金は高圧ガス保安法に規定のない「例示基準外材料」という位置づけであることから、京セラは自分たちで液体水素に対する材料の基礎評価や製品での数々の実証試験を行い、独自の耐圧強度計算の要件を明確にすることで、その安全性を立証してきた経緯維があり、そうした取り組みを通じて高圧ガス保安協会から公式な評価を得るに至っている。
今回開発された2製品は、主に液体水素の貯蔵・運搬における汲み上げポンプや払い出し用ポンプ、さらに昇圧ポンプや発電機など、大電力の供給・取り出しが必要となる装置の電流導入用として使うことを想定したものとなるという。
なお、2製品ともにJAXA能代ロケット実験場にて液体水素環境下での耐久性および気密性に関する実証試験を実施し、信頼性を確認したもので、こうした液体水素環境で使用可能な高電流対応の電流導入端子およびハーメチックシールコネクタ「MS-8ピン端子」の開発は、世界で初めてだという。

