サイボウズは10月27日と28日、年に1度のサイボウズの総合イベント「Cybozu Days 2025」を幕張メッセ(千葉市)で開催した。「Cybozu Days」は、kintoneをはじめとしたサイボウズのクラウドサービスやノーコードツール活用法、経営戦略、プロジェクトマネジメント、伴走支援など、さまざまな切り口からDX(デジタルトランスフォーメーション)の最新情報を紹介する総合イベント。今年で開催10年目を迎えた。
10月28日には事例セッションとして、流通加工を専門とした物流業を営む東京都のチクブパッケージシステムと、せんべいやおかき・あられなどを製造・販売する新潟県の岩塚製菓が、サイボウズ Officeとkintoneの活用事例を紹介した。
サイボウズ Officeとkintoneの連携機能が拡大
このセッションでは、まずサイボウズ エバンジェリスト 渋谷雄大氏が、次のようにサイボウズ Officeとkintoneの違いを説明した。
「サイボウズ Officeは、ITが苦手でこれからデジタル化する企業でも簡単に導入しやすいことを大事にしているツールで、入れたらすぐに使えます。一方kintoneは、どちらかというと自分たちの要望に合わせてどんどんアプリを作っていけるというのが特徴です」(渋谷氏)
同氏によれば、サイボウズ Officeにもカスタマーアプリというアプリ作成機能があるが作り方が異なる。サイボウズ Officeはメニューから選んで作っていき、kintoneはより直感的に画面のレイアウトも作っていける違いがあるという。
また、サイボウズ Officeは基本的に外部連携はできないが、kintoneは外部システムとの連携や機能拡張(プラグイン)が豊富に存在するという相違点もある。
「最近はサイボウズ Officeとkintoneの連携が広まっており、とくに便利なのがkintoneとサイボウズ Officeのカレンダーが連携できるようになった点です。スケジュール連携など、サイボウズ Officeとkintoneを一緒に使うと選択肢もどんどん広がります」(渋谷氏)
また、「社内の情報共有をまずサイボウズ Officeでしっかりと行っていただいて、さらに自分たちの業務のデータ管理ややり取りはkintoneで行うことで、さらに幅を広げていけます。こういった使い分けをしながら活用できるというのが、この2つの製品の特徴になっています」とも説明した。
実際のアプリでの数字を見るとユーザーはメリットを感じる
渋谷氏に続き、チクブパッケージシステム 経営支援サービス部 システム推進室 室長 筋 由樹廣氏が登壇し、自社のサイボウズ Officeとkintoneの使い方を紹介した。
同社は2013年に、スケジュール、掲示板、メールを中心とした情報共有ツールとしてサイボウズ Officeを導入。そして、2020年にkintoneを導入した。
筋氏はkintoneを導入した背景について、「社内にExcelが溢れていました。今でもちょっと溢れ気味ではありますが、その中で一番大きな課題としてあったのが、事業所ラインの作業実績です。作業実績をExcelで行う際にみんなが同時に入力するので、誰かがファイルを使っていると他の人が開けないという事象が発生しました。これを避けるためにシートを分けると、転記が発生します。月が終わるとまた集計が入り、転記・集計に時間がかかり、誰が入力して、誰が入力していないのかを把握しづらい状態でした」と説明した。
そこで、同社はいろいろなシステムの導入を検討したが、作業実績だけを入力できるシステムはなかった。他にもいろいろな工程があったり、マスターを登録する手間が発生したりと、さまざまな課題があったという。作業実績入力の機能だけを切り出して使えるシステムを探したところ、kintoneにたどり着いた。
「フィールドを配置するだけで思ったようなアプリができるため、非常に楽でした。IT人材ではない文系の管理職でも、自分の好きなようにアプリができました。これがkintone導入の決め手になりました」(筋氏)
kintone導入から1週間かからず作業実績のアプリが完成。その後、同社が現場の意見を聞きながらフィールドを修正したり、後からデータを追加したりしながら改善を行った。現場への落とし込みに1カ月程度はかかったが、無事、作業実績管理アプリによるExcel脱却を果たすことができたという。
現在は月の予算を日単位に変換し、予実を比較しながら進捗管理を一目で画面を共有できる状況にしているほか、トラック荷物の受付の連携にもkintoneを使っているという。
当初はkintoneの社内導入に関して、社員はやりたくないという反応だったが、実際にアプリを動かして数字が見える化されたことで、社員は喜んでいるという。特に社長からは、これまでは半月先にならないと現在の実績が分からなかったが、入れたデータがすぐに集計されるため感謝されている。
これからkintoneを導入する企業に向けたアドバイスについて、筋氏は「最低10アカウントから利用できるので、スモールスタートしてユーザーを増やしていき、他の業務や他の部署に展開していくといった使い方もできます。まずは試してみるのがいいかと思います」と語った。
また、kintoneのユーザーコミュニティ「キンコミ」は、ユーザーの質問に対して他のユーザーが答える仕組みだ。そのため、決まった答えではなく、その人の経験に沿った答え、現場に沿った答えがいろいろな視点で返ってくるので勉強になるとも、アドバイスしていた。
ユーザーがシステムを自分作って使うことで、リテラシーが上がる
続いて事例を紹介したのは、岩塚製菓 情報システム部 部長 関隆志氏だ。同社はサイボウズ Officeを2016年から利用し、2021年からはkintoneも導入。さらに、2022年からはメールワイズをkintoneと連携しながら使っているという。
同社のサイボウズ Officeは、主にスケジュール共有や掲示板を用いた社内発信のほか、画面上部のメニューには他システムへのリンクも設置し、出社したら必ずログインする「社内システムの入り口」になっている。
同社は、顧客から商品に対する意見を受け付ける、お客様相談室の案件を管理するためにkintoneを導入したという。以前は各意見をAccessで管理していたが、関氏しかわからないシステムになっており、属人化している点や、製造部門に意見を共有する際に紙に印刷して手渡しするというアナログなやり方が課題になっていた。
さらに、CTIによる電話システムとの連携ができない点も問題になっていた。当初はさまざまなパッケージを比較検討したが、コストが合わずにパッケージを選択できなかったという。同社が最終的にkintoneを選んだ理由としては、自分達でメンテナンスできる点、安価である点、そして、他のシステムと連携できる点があった。
「お客様からの意見はWebフォームや電話でもらいますが、kintoneのプラグインのFormBridgeを同時に導入し、そこから登録されるようになっています。CTIの連携により、電話番号をキーに、新規のお客様は新規の画面が立ち上がり、過去にお電話をいただいているお客様の場合は過去履歴が出てきます。製造部門や品質管理部門と情報連携もされているようになり、当初、紙で共有していたものは、現場でパソコンやタブレットで閲覧できるようになって作業ロスを削減できています。属人化のリスクをなくし、情報システムとしてのメンテナンスもできています」と、関氏は導入後の効果を説明した。
また、kintone導入による副次効果もあったという。顧客からの意見に対し、担当部署間でコメント欄を使い意見交換するようになった。
「やり取りもきちんと残るので、そこで確認できるようになっています」(関氏)
さらに、現在はkintoneの活用は他の部署にも広がり、総務課が以前は紙やExcelで管理していた台帳管理をkintoneで行うようになった。
「50代の総務課長が自らアプリを全部作りました。10数個あったと思いますが、それを全部やってしまいました。これにより、全部門は台帳管理をkintoneで行う必要があり、kintoneが(他の部署に)一気に広がったという経緯があります」(関氏)
kintoneの利用は取引先にも拡大し、精米業者と電子取引を行っているほか、運送会社ともkintoneでやりとりを行っている。
kintoneのメリットについて関氏は次のように語った。
「コミュニケーションのツールとしても使えますので、それが良いところだと思います。また、年代関係なく誰でもアプリが作ることができ、システムを作って使うことで、リテラシーがすごく上がりました。なかなか伝わりづらいですが、本当にそれはやっていて思います」
最後に同氏は、システムを社員に利用してもらうために実施したことについて、「一部署ずつ巡って、情報システム(の社員)が現場に行って一緒に教えています。すごくそれが大事です。マニュアルを作って終わりではなく、情シスが一緒に教えるとだいぶ違うと思います」と語った。








