ソフトバンクは、ノキアと協力し、6G(第6世代移動通信システム)向けの周波数として検討されている7GHz帯の電波(センチメートル波)を利用した屋外実証実験を東京・銀座エリアで実施、都市部で良好なエリアカバレッジと通信品質の両方を確保できたことを11月19日に発表した。
今後、AI(人工知能)を活用したさまざまなサービスの普及に伴い、モバイル通信のトラフィックは急速に増加していくと予測されており、AIネイティブな社会を支える6Gには、大容量通信と広域な通信エリアの構築が欠かせない。ソフトバンクは今回の実証実験により、7GHz帯の電波がこれらの要件を満たし、都市部での展開において有効であることを確認したと説明している。
実験の概要と結果
今回の実験では、Massive MIMOに対応した7GHz帯の実験用基地局(ノキアの基地局と専用端末)を、東京・中央区の銀座4〜8丁目までの一部に3局設置。ビルの屋上にある3.9GHz帯の商用5G(第5世代移動通信システム)基地局と並べ、通信エリアの連続性(エリアカバレッジ)や通信品質、電波伝搬特性を3.9GHz帯と比較して評価した。
利用した電波周波数帯は、7,180~7,280MHz(FR3:Frequency Range 3、センチメートル波)。センチメートル波とは、波長が1~10cmの電波(周波数では3~30GHz)のことを指し、3GPP(Third Generation Partnership Project)ではFR3と呼ばれる7~24GHzが、次の新しい周波数として期待されている。
ソフトバンクでは測定車を使用して、対象エリアとその周辺における電波の受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)と通信品質を測定。その結果、大通りなどの見通しの良いエリアでは強い受信電力が確認できたほか、細い路地などの見通し外のエリアでも信号の受信に成功しており、7GHz帯による広域な通信エリア化が可能なことを確認したという。
なおRSRPはモバイルネットワークにおける受信電力の強さを表す指標で、マイナス数値で表され、数字が0に近いほど受信電力が強いことを表す。単位はdBm(デシベルミリワット)。
また、通信品質を示す指標のひとつであるSINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)の実測値を統計的に分析したところ、すべてのエリアで0dB以上となり、安定した通信が可能なことを確認。SINRの中央値は5.9dBで、良好な通信品質でエリア全体をカバーできていることを示したという。7GHz帯の電波は見通し外への回り込みが少ない反面、隣り合う基地局同士の干渉が発生しづらいため、品質が劣化しにくいという特性によるものと考えられている。
SINRは信号における干渉と雑音の比率(信号対干渉雑音比)のことで、数値が大きいほど通信品質が良く、安定して高速であることを表す。単位はdB(デシベル)。
基地局からの見通しが良い大通り沿いと、見通し外となる路地において、それぞれの基地局からの距離に対する端末の受信電力のデータを基に、電波伝搬損失(どの程度受信電力が低下するか)も評価。その結果、見通しの良い場所では、3.9GHz帯と7GHz帯の伝搬損失はほぼ同じ値となり、統計的に見ても中央値の差分は1dB未満だった。
一般的な電波伝搬モデルによる試算では、それぞれの周波数特性により7GHz帯が3.9GHz帯よりも6dBほど伝搬損失が高いとされるが、今回の評価では試算よりも低い数値となっている。ソフトバンクでは、大通りの両側にある建物によって電波が反射し、電波が分散しにくいことが要因のひとつと考察している。
一方で見通し外の場所では、3.9GHz帯に比べて7GHz帯の伝搬損失は全体的に大きく、統計では中央値の差分は約10dBとなった。この差分は、一般的な見通し外の電波伝搬モデルによる試算と一致しており、各周波数帯の回折特性や、建物の外壁などによる反射特性の違いによるものと推測している。
今回の実証実験の結果について、ソフトバンクは「7GHz帯においても、高出力で広域をカバーするマクロ局によって繁華街を広くカバーし、品質の良い通信エリアを構築可能なことを示した」とコメント。また、東京大学 大学院工学系研究科 教授であり、XGMF(XGモバイル推進フォーラム)共同代表の中尾彰宏氏は、ソフトバンクの同実験における評価について「7GHz帯を用いた6Gの有効性を日本から発信する非常に有用な内容だ」と述べている。




