NTT、TBSテレビ、TBSアクトは11月14日、映像・音声プロダクションの効率化と高度化を目的として、約3000キロメートル離れた拠点間のバーチャルプロダクションにおける映像制作向けゲームエンジンのリモートGPUを、IOWN APN(All-Photonics Network)で接続する実証に成功したことを発表した。
この成果により、IOWN APNを活用することで、高品質で迫力のある映像制作が拠点規模によらず広範囲で実施可能となることが期待できるのだという。遠距離に分散された複数のGPUをIOWN APNで接続することで、制作現場に高性能な機材を常設せずとも高品質な映像制作を低遅延で実現できると考えられる。
実証の背景
映像制作においては、多くのスタッフを現地に派遣する必要があるという業務効率化の課題や、人口減少による映像・音声系技術者数の不足といった課題が顕在化している。
そうした中、映像プロダクションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)として、バーチャルプロダクションという手法が注目されている。バーチャルプロダクションとは、現実の被写体と仮想空間をリアルタイムで融合して撮影する映像制作技術で、LEDウォールに映し出した背景映像と被写体を同時に撮影する。
バーチャルプロダクションには実際のロケーション撮影や大規模なセットの構築が不要であり、撮影後の合成作業を短縮できる。さらに、リアルな照明演出により演者の演技を引き出しやすくなるなど、コスト削減とクリエイティブの自由度向上の両面から期待されている。
しかし、映像処理には多くのGPUを必要とするため、消費電力や構築期間などが課題として挙げられる。
実証の概要
今回の取り組みでは、従来は同一拠点内に設置していた、映像制作向けのGPUを柔軟に割り当てできる遠距離の拠点の共通基盤に設置し、IOWN APNを用いて接続した。この環境においてリモート化に伴うさまざまな拠点間のデータを、IOWN APNによって低遅延で伝送できることを確認。これにより、従来のようなスタジオにあるGPUを使う場合と変わらない品質での映像制作業務が可能であることが実証された。
技術的なポイント
実証では、映像制作向けゲームエンジンの長距離リモート接続にIOWN APNを活用することで、低遅延かつゆらぎなしの拠点間接続を実現し、装置間の安定した時刻同期や、遅延を最小限に抑えた伝送を可能とした。
また、装置構成のシンプル化とさらなる低遅延化のために、NVIDIA_Rivermax技術を採用し、SMPTE ST2110規格の非圧縮映像の大容量伝送をGPUメモリダイレクトで低遅延送信可能としている。
映像制作向けゲームエンジンには、バーチャルプロダクションをはじめゲーム開発やCG開発、XRの3D空間開発などに利用されるゲームエンジンであるEpic GamesのUnreal Engineを利用。
GPUはNVIDIA RTX PROを活用し、GPUを柔軟に割り当てできる共通基盤については複数のGPUを一元管理し柔軟に割り当て可能なCDI(Composable Disaggregated Infrastructure)メーカーであるLIQIDのプロダクトを使用した。

