デル・テクノロジーズ(以下、デル)は11月13日、「Dell PowerProtect」ポートフォリオの機能強化について発表した。これにより、高速でスマートなサイバーレジリエンスの実現を支援するという。

ポートフォリオ拡大の背景

サイバー脅威が高まる中、レジリエントな組織の構築はもはやITだけの問題ではなく、中核的なビジネス戦略となっている。サイバー攻撃を受けた際に重要なデータを保護し、迅速に回復できるかどうかが、事業継続の鍵となる。

デルが実施した調査によると、79%の組織が今後12カ月以内に破壊的な出来事が起きることを懸念しており、サイバーレジリエンスを重要視していることが明らかになった。

デルの「PowerProtect」ポートフォリオは、強固な保護、迅速なリカバリ、安心して運用できる信頼性の高い基盤を提供する。よりスマートで迅速な保護、インテリジェントな自動化による運用の簡素化、データを保護するために必要な柔軟性を提供し、ミッションクリティカルなサイバーレジリエンスを実現するとのことだ。

サイバー レジリエンスへの包括的なアプローチ

防御の強化には、単一のツールだけでなく、シームレスに連携するように設計された包括的なポートフォリオが必要となる。「PowerProtect」ポートフォリオはサイバー脅威に対して、防御、検知、復旧のための多層防御を提供する。また、拡張を念頭に構築されており、エッジからコア、クラウドに至るまで、ユーザーの業務を保護するように設計されている。

同社は「PowerProtect」ポートフォリオ全体にわたる新たな機能強化により、さらなる進化を遂げたという。これらのイノベーションはセキュリティ態勢を強化し、サイバーレジリエンスを合理化することで、組織が競争上の優位性を獲得できるよう貢献する。

「PowerProtect Data Manager」

「PowerProtect Data Manager」は現代のサイバレジリエンスの基礎となる。最新リリースでは、エコシステム、セキュリティ、スケーラビリティを拡大するための機能強化が図られている。

Dell NativeEdge連携により、共同設計されたエッジコンピューティング向けのサイバー レジリエンスソリューションを提供する。これにより、「Dell NativeEdge」インフラストラクチャ上の仮想マシン(VM)のイメージレベルのバックアップとリカバリが可能になり、エッジワークロードの保護ギャップが解消される。

Nutanix AHV保護では、Prism Centralとのネイティブな統合によって、エンタープライズグレードのサイバーレジリエンスをNutanixのハイパーコンバージド環境にまで拡張する。このマルチハイパーバイザーアプローチにより、AHV向け個別のバックアップソリューションが不要になるため、管理が簡素化され、多様な仮想化プラットフォームにわたって一貫した保護機能を維持できるようになる。

Anomaly Detection(異常検出)レビュー分析ページは新たなセキュリティ分析インタフェースで、バックアップ操作をセキュリティインテリジェンスに変換。一元化された異常管理と実行可能なワークフローによりランサムウェア調査を効率化し、インシデント対応を迅速化する。

Archive to Object(オブジェクトへのアーカイブ)の強化により、仮想マシン、ファイルシステム、SQL Serverワークロードに対するMicrosoft Azureのサポート、およびAIXプラットフォームのサポートにより、長期間の保存期間を延長し、さまざまなインフラストラクチャーにわたって費用対効果の高い一貫したデータ ライフサイクル管理を実現する。

「PowerProtect Data Manager」アプライアンスは、保護と管理を単一の効率的なエクスペリエンスに統合し、管理オーバーヘッドを50%削減するとのことだ。「PowerProtect Data Manager」アプライアンスと「Data Domain」の一元管理により、インタフェースによる一貫した運用が可能となる。

「PowerProtect Backup Services」

デルのクラウドネイティブSaaSソリューション「PowerProtect Backup Services」は、ハイブリッドワークロードとクラウドワークロードを保護するように設計された機能強化により、柔軟性を向上。

Azure Blob Storageのサポートでは、Microsoft Azureのワークロードを、エージェントレスでクラウドネイティブなSaaSで保護できるようになった。これにより、より多くのストレージオプションと運用を簡素化できる。

GovCloudおよびハイブリッドワークロード向けの高度なランサムウェア拡張機能は、提供範囲を政府機関へと広げ、専門的で安全性の高いクラウド環境で稼働するハイブリッド ワークロードに堅牢なランサムウェア保護を提供する。

「PowerProtect Data Domain Operating System」

今回の機能追加により、「Data Domain」アプライアンスを支えるソフトウェアが強化された。VTL(仮想テープライブラリ)のセキュアスナップショットにより、VTLの不変性が可能になる。HDD(ハードディスクドライブ)とオールフラッシュストレージの速度と効率性を活用して、バックアップアプリケーションに影響を与えることなく脅威や人為的ミスからバックアップを保護する。

Azure上の「Dell PowerProtect Data Domain Virtual Edition」の容量が384テラバイトに増加し、さらなるバックアップの統合が可能となった。これは、AWS M7iインスタンスのサポートとともに、コンピューティングコストを削減しながらクラウドを大規模なワークロードに活用するのに役立つ。

「Dell PowerProtect Cyber Recovery」と「CyberSense」

レジリエンス戦略において重要なことは、破壊的なサイバー攻撃から復旧する能力だ。「PowerProtect Cyber Recovery」は、重要なデータを隔離されたエアギャップのある保管庫で保護できる。

「Cyber Recovery」と「CyberSense」の最新アップデートにより、セキュリティと運用効率が強化された。デルはサイバー攻撃やデータ損失が発生した場合に、さまざまな環境にわたる重要なワークロードを確実に復旧できるよう取り組んでいいる。

HYCUが作成したバックアップを安全に保管および復元できるようにすることで、ユーザーのサイバー レジリエンスとセキュリティ対策の強化を継続して推進する。Azureで384テラバイトまでの「Data Domain Virtual Edition」を使ったデータ隔離(ヴォールティング)をサポートし、1台の「CyberSense」サーバを複数のサイバーリカバリーサーバにわたって管理できるようにすることで、リソース割り当ての最適化と運用の改善を支援する。