
『ユニクロ』の成長を参考に
国と企業の関係もしっかりと構築する時。グローバルへの反発で、ナショナリズム(自国第一主義)が台頭し、関税戦争などで国と国とがぶつかり合う。 しかし、現実に、国にしても、企業、個人にしても、単独では生きてはいけない。
経済安全保障などを考慮しつつ、互いの価値観の相違を認め、共存・共栄できる策を追求する時代である。それは困難を伴う作業になるであろう。
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さん(1949年=昭和24年生まれ、76歳)には本誌『財界』でも度々情報発信してもらっているが、「異文化との交流が自分たちの成長を生み出してくれた」と自らの生き方を総括。
『ユニクロ』は米中対立の中でも、米国に出店し、中国にも店舗を構え、世界中で多くの『ユニクロ』ファンを獲得している。
電気自動車の米テスラを率いるイーロン・マスク氏。トランプ政権入りしたが、政策で対立し、今は政権から離脱してやや苦境になるが、テスラも米国と中国を二大市場として成長。
柳井さんは35歳で起業。正確には山口県宇部市で父親から衣料品店を受け継いで、起業家人生をスタート。カジュアル衣料分野で、ZARA(スペイン)、H&M(スウェーデン)に次ぐ、世界3位の座に就く企業に育て上げた。2位の座は目前にあり、世界トップを目指す挑戦姿勢は今も変わらない。
「いいモノを適正価格で提供する」という基本軸が成長の背景にある。この経営理念が国を越えて、世界の人々に愛される製品づくりの原動力となっている。
挑戦意欲に溢れる起業家が集まる国を、日本も目指していかねばならない。今は、国と企業の関係を捉え直す好機である。