キリンホールディングスは11月4日、独自素材「L.ラクティス プラズマ」が新型コロナウイルスおよびインフルエンザウイルスの増殖を抑制することを明らかにした。この研究成果は、タイ・バンコクで11月2日から4日にかけて開催された第20回アジア太平洋臨床微生物学・感染症会議(APCCMI)で発表された。

  • インフルエンザウイルス(H1N1)

    インフルエンザウイルス(H1N1)

  • 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)

    新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)

研究の概要

同社のヘルスサイエンス研究所は、マレーシアのマラヤ大学・熱帯感染症研究教育センター(TIDREC)との共同研究で、L.ラクティス プラズマで刺激した健常者由来の免疫細胞の培養上清を、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスに感染した細胞に添加したところ、濃度依存的な抗ウイルス効果を確認したとしている。

L.ラクティス プラズマは、免疫細胞の司令塔とされる「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)」を活性化し、IFN-α(インターフェロンアルファ)を誘導することが知られている。今回の結果から、呼吸器ウイルス全般の増殖を抑制し、ウイルス種を問わない広範な感染予防効果を持つ可能性が示唆されたという。

同社はこれまでにも、L.ラクティス プラズマがデングウイルス(DENV)、チクングニアウイルス(CHIKV)、ジカウイルス(ZIKV)、ロタウイルスなど複数のウイルスの増殖を抑制することを報告している。今回の成果を含め、少なくとも6種類のウイルスへの効果の可能性が確認されたことになる。

今後は、日本国内および国際的に感染症の課題となっているその他のウイルスに対しても、L.ラクティス プラズマの効果検証を進め、その可能性をさらに明らかにしていく構えだ。

  • デングウイルス(DENV)、チクングニアウイルス(CHIKV)、ジカウイルス(ZIKV)に対する抗ウイルス効果

    デングウイルス(DENV)、チクングニアウイルス(CHIKV)、ジカウイルス(ZIKV)に対する抗ウイルス効果