【金融国際派の独り言】長門正貢・元日本郵政社長「日本政治、国民全員で、もっと実現力!」

現代日本の課題は大きく、深い。経済外交安保・人口・生産性・エネルギー・財政赤字・円安、等々。諸課題解決のために、わが国の経・政・官・学、各界は懸命に対応しなければならない。特に米国に大きく後れた経済界・企業部門は内部留保600兆円超も有効活用し、トコトン成長を図るべきだ。同時に少し心配なのは日本の政治だ。

 最近の自民党総裁選とか参議院選挙での各政治家の主張では「手取りを増やす」、「日本人ファースト」等、耳障りの良い議論が中心で、我が国の大課題については深掘りした議論が見えなかった。近頃の日本政治は、政策を美しい言葉で打ち出しはするが行動が伴わず、結局、課題克服の緒に就いていない。

 何故か。政治家の力が落ちたのか。政界も玉石混交、ダメ政治家もいるだろうが、「何としても日本を立派な国に」と熱い志を持ち、わが国の諸課題に対し、その解決に知恵を尽くしている政治家も多い。

 ところが、彼らが当面打ち出す政策がいささか小さく、ビッグな国家戦略に真正面から取り組めてはいない様に見える。当面の選挙に勝っていかねばならないからだ。

 選挙で投票する側はどうか。投票者の視野や問題意識が国家の重大課題に十分追いついていないと感ずる。当面の手取り増とか日本人ファーストとか、多くの国民が当面のニーズや心地よい言葉に惑わされ、視野狭窄に陥っているのではないか。投票する国民の側にも問題があると感じている。

 今後は、各課題に直接関わっている官民のプロが、日本の大課題についてキッチリ説明責任を果たし、広く国民全員の肚に落とし込む必要がある。

 

 数年前、財務省次官が月刊誌に「我が国財政状況の危機的現状」について訴えるエッセイを載せた。その際、政界等から相当叩かれた由。真逆ではないか。「よくぞ分かり易く国民に問題を説明してくれた。ありがとう」と言うべきだろう。国民自身が、我が国の真の課題を第一優先テーマと真に認識すべきだ。

 この国民の理解のもと、各政治家は直近の小テーマに加えて、それら大課題克服に向けて一歩でも二歩でも歩を進めて行って欲しい。そうして初めて日本政治全体が課題克服に大きく動き出すのだと思う。

 国民全体の写し絵が政治だ。現在の日本政治の力を国民全員で押し上げて行きたい。現在ただ今は明治維新、敗戦後に比肩する大転換期だ。国民全員が真に覚悟して、国家課題に対峙して参りましょう。

 

 時あたかも、新内閣がスタートする。国会迷走は見飽きました。与党も野党も大奮闘、お願い致します。現代日本、持ち時間は少ないんです。