Terra Drone(テラドローン)は11月7日、クマよけスプレーを搭載したドローンの開発が完了したことを発表した。上空から遠隔操作で唐辛子スプレーを噴射する仕組みにより、クマに接近することなく背後や側面からの全方位噴射に対応できる。自治体を中心に同製品を展開する。

  • クマよけスプレーを搭載したドローン

    クマよけスプレーを搭載したドローン

開発の背景

2025年は日本各地でクマの人身被害および市街地付近での出没が記録的水準に達している。環境省などの集計では、4月以降の負傷者が100人、死者が12人を超え、過去最悪の水準で推移している。被害は特に秋田や岩手など東北地方で深刻で、住宅地・商業施設・学校周辺といった生活圏での目撃情報が相次ぐ。

秋田県では事態の深刻化を受け、自衛隊が後方支援に入る異例の対応も開始。同県内の目撃件数は8000件超と前年比約6倍に達し、わな設置や見回り体制の強化が進められている。一方で、致死的な対応の是非をめぐる多様な意見や要望が自治体に集中し、現場では安全確保と配慮の両立に加えて、説明・相談対応の負荷増加も課題となっている。

さらには、ハンターの不足や高齢化、野生動物の致傷を目的とした常設訓練・運用を前提としない関係機関(自衛隊や警察など)の任務制約により、現場の選択肢が限られるケースもある。

テラドローンはドローンを活用した社会課題の解決を目指し、これまで測量・点検・農業分野においてドローンソリューションを開発してきた。2025年1月に発売した自社開発の屋内点検用ドローン「Terra Xross 1」では、従来同等機種比で約3分の1の価格を実現している。

同社はドローン設計・開発のノウハウを生かし、上空からの広域探索とオペレーターの安全確保を両立する手段として、遠隔操作でクマよけスプレーの噴射が可能なドローンを開発した。

製品概要

今回開発したドローンは、上空からの探索で状況を把握しつつ、オペレーターがクマと安全な距離を保ったままクマよけスプレーを噴射可能。ドローンの遠隔操作によりクマの背後や側面へ回り込みが可能で、さらに全方位からの噴射もできるため、風向き待ちの時間を減らし、最小限の噴射での対応を支援する。

クマよけスプレーは、トウガラシ由来の辛味成分「カプサイシン」を主成分とする非致死的な防護手段とされる。一般的な噴射距離は約5メートル~10メートルとされており、カプサイシンが目や鼻などの粘膜に強い刺激を与えることで、人間の数千倍の嗅覚を持つクマを一時的にひるませ、突進や接近から退避する時間を確保できる。

北米の研究では高い抑止効果が報告されており、銃器より扱いの熟練依存が小さい点も評価されている。日本においても環境省や自治体のガイダンスにおいて、遭遇時の有効な最終防護手段としての位置付けが示されている。

  • ドローンの製品パーツ

    ドローンの製品パーツ