KDDIの松田浩路社長は、同社のビジネスイベントであるKDDI SUMMIT 2025の開催に合わせてメディア向けにラウンドテーブルを開催し、記者からの質問に答えた。その主なやりとりを紹介しよう。
「リアル」の取り組みにローソンを活用
KDDI SUMMIT 2025の基調講演で松田社長は、社会課題解決のためには「リアル」の取り組みが必要だと強調。ゲストで登壇した良品計画の堂前宣夫会長とのパネルディスカッションでは、無印良品の取り組みについて詳細を聞いていた。
なぜ無印良品の取り組みについて関心を持ったのかについて問われた松田社長は、自身がデジタルに関する技術畑の出身だからこそ、リアルに目を向けなければならないという考えだと説明。「KDDIの地域への取り組みはまだ浅いと感じている」と指摘し、リアルでの事業をどのように組み立て、地域へと落とし込んでいくか――という部分での学びを得たいという考えだったそうだ。
松田社長は、良品計画が「ど真ん中の事業」を伸ばしながら地域の活動を促進しており、地域に裁量を持たせることがコア事業にも好影響を及ぼして循環を実現している点が、KDDIのサテライトグロース戦略へのヒントにつながったという。
リアルという点では、KDDIはもともと全国にauショップがあり、地域貢献は前提として位置づけられている。しかし、規模の大きさやauユーザー以外も毎日訪れるという点で、ローソンの重要性が高いと判断。ローソンが地域に貢献し、KDDIの取り組みが広まることで地域の信頼・信用の向上に繋がっていくことを期待するという。
NotebookLMを使ったコンテンツサービスは2026年春提供
基調講演で松田社長が発表したGoogle Cloudとの提携は、コンテンツプロバイダーが保有するデータをGeminiやNotebookLMといったGoogleのAIサービスを活用してサービス化するというもので、2026年春にも提供予定。現時点で、ナタリーや価格.comなど6媒体が参加することが発表された。
松田社長は、コンテンツプロバイダーのコンテンツの無断利用やサイトのPV減少といった社会問題が背景にあり、それを解決する手段として検討したのが今回の提携だという。松田社長は「AIマーケット構想の焼き直しというわけではないが、KDDIのAIサービスとして提供する」と話す。
NotebookLMは自分で読み込ませたデータのみを使ったAIサービスだが、この技術を使って、コンテンツプロバイダーの良質なコンテンツを検索したり、ポッドキャストのような音声のまとめを生成したりといったサービスを提供する。
定額で複数のサービスが利用できるPontaパスのようなサービスにするなど、何らかの形で有料化し、コンテンツプロバイダーとのレベニューシェアの形態を考えているそうだ。すでに50近くのコンテンツプロバイダーに声をかけているとのことで、今後しっかりと増やしていきたいという。
金融サービスからのユーザーエンゲージメント強化も重視
今回の基調講演では、金融事業に関する言及がなかった。この領域では、提携していた三菱UFJ銀行との関係が変わり、auじぶん銀行/auカブコム証券(現・三菱UFJ eスマート証券)が再編されて以降、大きな動きがなかった。そういった点について尋ねると、「しっかりサービスとして近々打ち出していかなければならない時期に来ている」との答え。そして2026年に発表する中期経営計画では金融事業をどのように伸ばしていくのかを議論していると強調した。
NTTドコモによる住信SBIネット銀行の買収、三井住友フィナンシャルグループのOliveや三菱UFJフィナンシャル・グループのエムットといったデジタルバンクの動きもあり、デジタル×金融では競争が活発化している。松田社長は、こうした競争の活性化に関しては「いいことだ」と評価。JALが利用客の接点として金融事業に参入しており、こうした金融を軸としたユーザーとのエンゲージメントをKDDIも強化していきたいという考えを示した。




